陶芸工房 朝

アトリエ便りです。どうぞよろしく。

信州高遠(たかとお)美術館

2019年06月11日 | 美術館めぐり

 友人の個展を見に信州伊那市高遠にある「高遠美術館」まで行ってきました。  

  どこまでもどこまでも続く南アルプスと中央アルプスの間に広がる伊那谷、

そんな盆地の中をひたすらまっすぐに突っ走っている中央道。

その中央道を「伊那インター」で降りて、しばらく行くと小高い丘の上に高遠城址が見えてきます。

その丘をくねくねと登ると、芝生の庭の中に焼き物のオブジェが二体、そこが信州高遠美術館へのプロムナードでした。

 

 

美術館の入口の壁面と歩道部分には、陶芸家の倉田雄亮が製作した陶板が敷き詰められています。

 

 

壁面は打ちっぱなしのコンクリート、屋根は北側半分が瓦屋根で南側半分が銅板葺きで

建物は地形に沿って緩やかな弧を描いています。

緩やかな美しい曲線が波のように広がる瓦屋根、この屋根は全国瓦屋根コンクールで銀賞を受賞しています。

なんという美しい素敵な美術館でしょう! 

*  

室内の入ると、広い吹き抜けのロビーの先に、床から天井までガラス張りの回廊が広がっています。

ガラス窓の外は 一面の新緑、その緑の木々の間から高遠湖(ダム湖)がキラキラ光って見えます。

 

 

今回の「野田小栄子展」はこの回廊を舞台にしたインスタレーションです。 

 

  

左側にいるのが、今回の企画をしたアーティスト、野田さん、壁面も作品です。  

ロビーはコンサートができるように設計されており、オープニングでは

野田さんのお嬢さんがジャズピアノの演奏をしたとのこと。

                       自然をそのまま背景にしたこんな素敵な美術館で、ジャズとモダンアートの親子のコラボ、何という贅沢! 

 

*

 

帰り道、一日に一往復しかないという飯田線のワイドビュウー豊橋行き電車に乗って、

ひとりきりの貸し切り電車の窓から、天竜峡の美しい峡谷を眺めて、

「イツカワタシモ  アンナビジュツカンニ  ジブンノサクヒンヲ  ナラベタイ」

そんなことを想ったのでした。 

 

ソース画像を表示

写真はウイキペディアより借用 

 

それにしても、南信といわれるこの地域、いかにも遠いのです。 

 

 


かんなみ仏の里美術館

2019年05月29日 | 美術館めぐり

いつか行ってみたい、と思っていた「かんなみ仏の里美術館」に行ってきました。

「函南(かんなみ)」というのは、熱海市と三島市の真ん中にある小さな町、

「かんなみ仏の里美術館」は、JR函南駅から車で北に5分、箱根山への登り口にありました。

 

 

 箱根といったら都から関東に抜ける交通の要所だったし、関所もあったし、

鎌倉幕府にとっては要塞の地だったはずだから、

鎌倉時代の仏像たちがたくさんいるののだろう・・と想像していたのですが、 

薄暗い美術館の真ん中にデンと座していたのは、十二神将を従えたふっくらとした平安中期の薬師如来でした。

 

 

解説によると、この仏像は、ここ函南の桑原山新光寺というお寺に収められていたものです。

新光寺は、 弘仁7年(816年)に、桑原の地に建立されました。

史書(吾妻鏡)によると、新光寺はその後たびたび火災などに見舞われます。

それを、鎌倉時代になって、源頼朝や北条時政らが再興させます。

その時に、新たに鎌倉時代の仏像たちが奉納されました。それが国宝の阿弥陀如来像です。

*

それから、室町、戦国,江戸、明治、大正、昭和、平成、と千年の時が流れました。

仏像たちは、どうやって守られてきたのでしょうか?

平安の時代も、鎌倉の時代も、江戸時代だって、歴史に出てくる一部の貴族や武士をのぞいたら

大多数が貧しい農民です。箱根に近いこの地の農民たちの暮らしが豊かだったとは考えられません。

そんな中、桑原山地区の村人たちは仏像を大切に守り続けてきました。

そして24体の国宝級の仏像が現代に残されたのです。

 

そのことが、この地元美術館の意味であり、これらの仏像の重みなのだと思ったのでした。

 

 

 みほとけは 孤独に座して 永遠に微笑む

 

 

「かんなみ仏の里美術館」は、この地域に残された24体の国宝級の仏像を展示しています。

丁寧な展示と地元のボランティアさんの親しみやすい解説に、ローカル美術館の味わいを感じます。 

 


ふじのくに地球環境史ミュージアム

2016年03月14日 | 美術館めぐり

駿河湾を望む丘の上に、待望の「ふじのくに地球環境史ミュージアム」が誕生しました。

 

 正式オープンは2016年3月26日・場所は駿河区大谷の旧静岡南高校跡

 

30年の時を経て

 このミュージアム が実現するまでには、「しずおかに自然史博物館を創ろう」と活動を続けてきた人々の(NPO 静岡県自然史博物館ネットワーク)30年に及ぶ地道な活動があります。もともとは、多くのコレクターが長い年月を掛けて集めた膨大な資料や標本を一か所に集め展示したい、次世代につなげたい、そのための展示場所が欲しい、それがスタートだったように思います。(自然好きが高じていつの間にか膨大な駿河湾の貝の採集標本を抱え込んでいた夫もそんな仲間の一人でした)。しかし、30年という長い年月の間には、亡くなる方もあり、残された蒐集品を保管し役立てる仕組みづくりも、NPOの大きな仕事になっていきました。

 

 開館のご挨拶の中にも「この膨大な標本がなかったらこのミュジアムは誕生しなかったでしょう」という言葉がありました。化石岩石類、昆虫類、植物類、魚貝類、哺乳類、 動物類、 鳥類 etc の 標本は30万点にのぼり、収納庫に加工された教室に収納されています。それらが、貴重な資料を保管し次世代に伝えるという博物館の大きな役割の一端を果たしていることも確かなことです。

 しかし、新しい時代に向けたこのミュージアムの特色は、人と自然との共存のあり方  を提示していることです。

何万年かの地球の営みを通して自然との共存のあり方を考えるヒントを提示し、末永く人類がこの星と生存していくにはどうしたらよいのか 未来への提言 を考えています。屈強な六人もの専門分野の博士が顔をそろえてくれていることもうれしいことです。

 

                                                                                   正面玄関のパノラマ

 

 たくさんの子供たちが、ここに来ていろんな仕掛けの中から「自然」と「人」について考えてくれたら・・。いいえただ「自然っておもしろいな」「虫が好きだな」「植物が好きだな 」「化石っておもしろいな」 そう思ってくれるだけでも、ここに蒐集品を託した人たちにとっては本望なのじゃないかしら、と思ったのでした。 オープンまで後2週間です。おたのしみに。

 

 

 


obujet・オブジェ

2014年06月17日 | 美術館めぐり

 

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  バーナード・メドウス(イギリス)「恋人たち」

 

 三菱一号館は、東京駅に近いから新幹線を利用する私には、立ち寄りやすい美術館です。今回はバルテゥスの写真展を見に寄ったのですが、美術館の庭に置かれたオブジェの方が面白かったので写真に収めました。

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 題名は「恋人たち」ということですが、よく判りません。でも何やら得体のしれない存在感は伝わってきます。

 そもそもオブジェとは何なのでしょう。調べたら「アートにおける立体作品のジャンルで、彫刻が素材に手を加えて別のものを創り上げるのに対して、素材そのものの美しさ、存在感、意味、用途、などに注目するもの」とありました。

 

 実は、現代陶芸においても展覧会の作品のほとんどがオブジェです。陶芸の場合も、素材の土を焼成して別のものを創りだしますが、壺や食器はオブジェとは言いません。となると、土の存在感、意味、美しさを追求することが「オブジェ」の要素ということになるのでしょうか。

 土の存在感?

 土の美しさ?

 陶芸の新しい可能性? 

   そろそろ オブジェを創り始めなければならない身にとって

 は、 悩みの多い季節です。


東京都美術館・日工会展

2014年06月13日 | 美術館めぐり

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 東京上野公園。国立博物館、西洋美術館、科学博物館などと並んで赤レンガ造りの美術館があります。これが東京都美術館、今ここでは「バルテュス展」が開かれていて人々で賑わっています。

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 実は、今この美術館の2Fで「工芸美術日工会展」が開催されていて、ここに私も作品を出品しています。日工会は全国区の質の高い工芸美術展で、この展覧会もなかなか見応えのある展覧会になっています。

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 バルテュス展にお出かけになったら、ぜひ2F会場にも足を運んでみてください。身びいきかもしれませんが、「バルテュス展」とは異なる「立体作品の面白さ」が堪能出来る素敵な展覧会だと自負しています。


楽美術館・佐川美術館」

2013年10月23日 | 美術館めぐり

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  滋賀県の琵琶湖湖畔にある佐川美術館。

 こここには楽家15代目当主楽吉左衛門氏の作品

  と、氏自らが演出したユニークなガラスの茶室が

 あると聞いて出かけたのですが、生憎の休刊日。

 本来なら茶室の見学ができるはずでした。

 (11月16日・17日にはお茶会もあるとのこと)

   またの機会に期待することにしました。

 

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     楽焼 ちやわん屋

  楽焼の窯元、楽家の玄関の格子戸の写真です。

 格子戸の向こうに江戸時代からという「楽焼

 ちやわん屋」の暖簾が見えるはずなのですが。

  楽焼きは秀吉の時代に「茶の湯」に用いる

 ための茶碗を焼いていた窯元で、今に至るま

 で14代にわたって、その伝統を守っている

 名門です。

 「楽美術館」は、この楽家に隣接する形で建

 てられています。 

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 展示室には、初代長次郎から400年におよぶ

 楽茶碗が展示されていて、本物の名品を見るこ

 とができます。

 桃山時代に利休によって確立された「侘茶」の

 世界に欠かせない茶碗ですが、朝鮮から入って

 くる到来物が珍重されていた時代に、利休が長

 次郎に命じて創らせたのが楽茶碗でした。

 その頃の伝統を守りながら炭火の炉で茶碗を制

 作し続けている楽家の歴史を見ることができる

 美術館です。

     *     *    *

 そういえば、数年前直木賞をとった「利休にた

 ずねよ」(山本兼一著)が映画化され近く上映さ

 れます。その中でも、長次郎の楽茶碗は登場す

 るはず、楽しみです。

 (ちなみな、利休は市川海老蔵だそうだす。)

 


河井寛次郎記念館

2013年10月19日 | 美術館めぐり

 

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 「河井寛次郎」は日本を代表する陶芸家です。

 柳宗悦・浜田庄司等と共に、民芸運動を興し「日

 本民芸美術館」を創ったことでも知られています。

   *    *    *    *

 京都、清水寺の登り口に近い東山五条坂に、彼の暮

 らしていた家があります。

 大道りから一筋それて路地に入ると、あたりは昔な

 がらの木造家屋の並ぶ静かな住宅地、昭和48年、

 寛次郎没後7年にそこが記念館として公開されまし

 た。

 引き戸を開けると中は以外に広い板の間で、サ

 ロン風の大部屋には、自在鉤のついた炉や民芸

 調の椅子やテーブル・木製のベンチ等が並んで

 いて、どこか昔の日本の温もりが感じられます。

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 部屋の先には中庭があり、その中庭を取り巻く

 ように仕事部屋や展示場が鉤型に続いています。

 1階は仕事部屋風、吹き抜けの2階には書斎風

 の部屋や和室もあり、ずいぶんと大きな木造家

 屋です。

 中庭には、日曜美術館でも紹介されていた郷里

 の丸石がどんと据えられています。これは故郷

 安来から灯篭を贈るという話を断って、代わり

 にもらったという逸話のある丸い大きな石で、

 まるで作品のようです。

 庭の続きは、仕事場・展示室・登り窯もそのま

 ま残っています。

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 寛次郎が集めたと思われる美しい家具や道具類

 がさりげなく置かれ、彼の豊かな感性と美意識

 を感じさせる空間です。

 「暮らしが仕事、仕事が暮らし」をモットーと

 した河井寛次郎の精神を、肉親が愛情をもって

 保存している温かな記念館です。  


イサム・ノグチ庭園美術館

2013年07月01日 | 美術館めぐり

 ずっと気にかかっていたのに、四国はあまりに遠く、なかなか決心がつかないでいた、イサム・ノグチ庭園美術館にようやく行くことができました。

 

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 (撮影禁止の美術館で、ここまでならOKという入り口)

 この美術館に行くには、先ず往復はがきでの申し込みが必要です。

*返信が来たところで訪問はOKなのですが、場所がまた大変で、四国高松から琴電に乗り換え約30分、八栗というところまで行き、さらにそこから徒歩で、石切場や石屋の多くある牟礼市のはずれの方?まで25分、便利な街中に住んでいる身にとっては、なかなかの難行です。

 

*上記写真の遠景に見える石垣がアトリエの城砦、緑の生い茂った道を入っていくと、イサム・ノグチのアトリエです。しかし、この入り口から先は撮影禁止。庭園の中も、アトリエも、住居も、作品も、1時間という決められた時間の間に、自分の目でしっかり見てくるしかありません。本当に興味のある人だけに見て欲しいという、今時珍しい美術館なのです。

 

 

 

 

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 (写真は、作品カタログから。「エナジー・ボィド」)

 

青い空と、山と、緑の木々と、石の彫刻。  

 

 

*昔の酒蔵を移築してきたという白壁の倉庫は、赤土の地面にむき出しの藁壁で、そこに石の彫刻たちが並んでいます。気になっていた彫刻エナジー・ボィドもここにありました。思っていたよりずっと大きく、凛として存在しているという感じです。

 

*「まる・円」は、石を城砦のように積み上げた空間で、最初の見学場所です。そこに石の彫刻が点在しています。反対側の斜面には、築200年の武家屋敷を移築した障子と畳にあかり、という純日本式の住まいがあって、彼は、昔の日本の暮らしを楽しんでいたということです。小高い丘の上には石舞台があり、お花見や酒宴も行われたとのこと、そこから八栗山と八島が見えるのです。

 

 

 

 

「ここは庭園美術館と名づけられています。これは世界のメタファ-です。そして一人の芸術家の世界生成への関与の試みのメタファーです。」(イサム・ノグチ)

*牟礼に浮かぶ雲、吹く風は、世界中のどこからも見えていた。彫刻作品のすばらしさはいうまでもないが、空間そのものが自然や宇宙法則に感応する力を持っている。牟礼への旅は、自分自身の本当の姿を見つけに行く目的にこそふさわしい。(三宅一生)

 

 なかなか行きにくいところだし、今回も一人旅の人が5人ほどしかいなかったマイナーな美術館ではありますが、すばらしい美術館にはちがいありません。

 イサム・ノグチが求めたような「時間」と「空間」を越えて存在する何かが、どんなものなのか、本当にあるのかどうかも知らないけれど、私も、なんとか自分の納得の行く作品を作りたいと思った旅でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


小嶋千鶴子・ゆびあと・人形展

2012年07月20日 | 美術館めぐり

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  (東京渋谷・黒田陶苑ギャラリーにて) 

 「パラミタミージアム」の創設者、小嶋千鶴子さ

   んは今年96歳。その小嶋さんの「人形展」を見

 せていただいた。3年の歳月を掛けて製作され

 た土の人形たちは、どれもユニークだが、とても

 優しく暖かい。

 「毎日コツコツと作り続けて、楽しんで過ごすこ

 とが出来、幸福な日々をおくっています。」

 96歳の一人暮らしを、そんな風に語れる小嶋

 さん、これこそ人生の達人。「こんな風に、歳が

 とれたらいいなー」と思わず叫びたくなった。

  去年アトリエをお訊ねした時にテーブルの上

 に並んでいた人形たちが、晴れやかな舞台の

 上で輝いている。作品展は7月24日まで、渋谷

 の黒田陶苑ギャラリーで。

 ー写真は、三重県のご自宅アトリエでの人形たちー

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古代の美(4)飛鳥仏

2012年02月27日 | 美術館めぐり

 もう一つ、飛鳥に行ったら是非会ってきて欲

しいのが、飛鳥寺の飛鳥仏です。

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 飛鳥寺は、崇峻元年(588年)、蘇我馬子が

 真神原に曽我氏の氏寺として建立したもので

 す。そこに、この大仏像が据えられたのは推古

 14年(606年)、何とこの寺の完成までに18年

 もの歳月を掛けているのですね。

               *

 ところでこの魅力的な仏像、何だか知的で渋くて

 生身の男性の感じがしませんか。

 仏像が、現在のような悟りの姿に成るまでには、

 長い年月がかかっているのでしょうね。   (おわり)


古代の美(3)石の舞台

2012年02月19日 | 美術館めぐり

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        石の舞台古墳です。

  飛鳥に行ったら絶対に見たい古墳です。

 蘇我馬子の墳墓だと言われています。

 今から1350年くらい前、莫大な時と莫

 大な人力とを掛けて作らたものです。

 当時飛鳥で絶大な権力を握っていた蘇我

 馬子(推古34年・626年没) の面目躍如

 たるものがあります。

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  巨大な石を削って組み合わされた壁石の

 組み方の見事さや、玄室の広さや羨道部の

 美しさは、まさに石の芸術です。

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          (参考資料から)

                 

  この立派な石室、実は作られ当時は土に

 埋められていて見えず、古墳の姿をしてい

 たのだそうです。それが、権力を争う時代の

 歴史の中で、土が掘りかえされ、墓が荒らさ

 れ、現代のような姿になったのだと聞きまし

 た。たとえそうであったとしても、この石の舞

 台だけで十二分に蘇我馬子の権力の大きさ

 が感じられます。

            *

  日本のことを、日本人のことを、もっとよく知りた

 いと思う若者たちに、是非訪れて欲しい場所です。

 本の知識だけでは解らない飛鳥の人々の息づか

 いが、身近に感じられるようです。


古代の美(2) 高松塚古墳

2012年02月15日 | 美術館めぐり

       ヤマトは 国のまほろば 

 たたなづく 青垣 山ごもれる やまとし うるわし

  高松塚古墳から発掘された石槨の壁面には、

青竜・朱雀・白虎・玄武の4神と共に、男子4人と女

子4人の人物像が、鮮やかな色彩で描かれていま

す。 (高松塚壁画館で原寸の再現図が見られます)

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      ここが、高松塚古墳です。

今から約1500年程前、日本の都は飛鳥にあ

りました。飛鳥は、四方を山々に囲まれたみど

り豊かな地でした。そこに大きな富を持つ豪族

が生まれ、安定した王朝が成立します。権力を

めぐる闘争は耐えませんが、そうした中に、素

朴で伸びやかな飛鳥の文化が花開きます。

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 春の野を散策する、色彩やかな衣装を着た

男女の飛鳥人の姿を想像してみてください。

万葉集の歌のいくつかが浮かんできます・・。

             *

 1500年の時を隔てた今、飛鳥は古墳の宝

庫になりました。中学校の頃、歴史の教科書で

知った歴代の天皇の墳墓があちこちにあって、

それらが実在の人物であったことを改めて知ら

されます。

             *

 残されているのは古墳ばかりではありません。

丘陵の草地の中に朽ちることなく残っているのが

石で作られてた不思議な「石の像」たちです。

   その役割もつくられた目的も不明な石像。

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 有名な「猿石 」と共にある、男像と女像。

ふと「モアイの石像」を思い出します。古代人

たちは何を思い何のためにこんな石像を創っ

たのでしようか、飛鳥は謎めいたたくさんの不

思議を、無言のまま語りかけます。


古代の美(1)奈良

2012年02月12日 | 美術館めぐり

 

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 この冬、京都・奈良・飛鳥と日本の歴史の舞台を

旅する機会に恵まれました。 その文化を、私たち

の先祖が積み上げてきた物づくりの形で捕らえて

みたいと思います。

 奈良の都平城京の軒丸瓦。平城京は、710年に鳥の

藤原京から移されました。その屋根の先端の瓦です。

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 素朴ですが可愛い模様がいろいろあり、現代的な

 美意識を感じます。最初の型は、粘土で作ります。

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 組み合わせのカーブの美しさに注目です。

 

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 奈良春日大社では、一年に一度、節分の日に

灯篭に明かりをともすのだそうです。午後6時、

広い境内にあるすべての灯篭に蝋燭がともされ

ました。

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 燈篭につけられた銅版?の模様が、蝋燭の明かりに

照らし出されます。いろいろな祈りを込めてこれを奉

した昔の人の想いが、今に蘇ります。

どれもこれも、美しい細工です。

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パラミタ・ミュージアム

2011年11月22日 | 美術館めぐり

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 「あまり耳慣れないネーミングの美術館だ」と思

 われる方も多いかもしれない。開館したのが20

 05年4月で、場所も三重県三重郡菰野町大羽

 根園となじみのない地名だ。でもすばらしい美

 術館であることは間違いない。

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 館内に入ると厳かに迎えてくれるのは釈

 迦十弟子の立像。

 ここには、池田満寿夫の最後の作品とな

 った「般若心経」全シリーズの陶芸作品

 が展示されている。 

  陶芸作品の多くは、山梨県増穂町の八

 方窯で焼かれている。陶芸の域を超え

 て彫刻に近い作品群である。

 

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 展示室に入ると、先ずその作品のすば

 らしさ、そして作品の多さに圧倒される。

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 「神神の器」と称した陶の器に、般若心経

 の一文字ずつが刻印されている。

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 池田満寿夫の「地蔵」像の頭部。

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(続)

 地蔵像についで制作されたのが「仏塔」だ。

 塔の一部に仏像がはめ込まれているが、

 その表情の一つ一つが魅力的だ。

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 陶片・陶器・心経碑・地蔵像・仏塔、と形

 を代ええながら、形の変化と同時に作品

 に奥行きと深まりが生まれていく。

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 展示室はまさに、そうした精神世界を閉

 じ込めた、「池田満寿夫般若心経の世界」

 感動的な空間体験である。

      パラミタミュージアム

 近鉄名古屋から近鉄で四日市まで。四日

 市で湯ノ山線に乗り換え大羽根園で下車。

 大羽根園の無人駅の直ぐ側。

 メインコレクションは、池田満寿夫陶彫「般

 若心経シリーズ」。パラミタとは、梵語の波

 羅蜜多(はらみた)。迷いの多い現世のから

 悟りの彼岸にいたること。

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  (写真は、池田満寿夫らしい陶版画の1枚)


ハンス・コパー展

2011年04月18日 | 美術館めぐり

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  「静岡市美術館」で、今「ハンス・コパー展」

 が行われています。

 白を基調にした広々としたロビーに白いテー

 ブルと黒い椅子、新装成った静岡美術館は、

 天井の高いモダンな空間になっています。

 この空間に、ハンス・コパーの作品が大小合

 わせて125点展示されています。

  白と濃い茶を基調にしたその作品は、大胆

 な構図に緻密で繊細な細工が施され、見る者

 に、彼の精神世界の緊張感を伝えます。

  現代陶芸に興味のある方には、ぜひご覧い

 ただきたいとてもいい展覧会です。

       期日は、6月26日(日)まで。

      場所は、アオイタワー 3階です。