秋分の日には曼珠沙華の花が地面からぬくっと現れて辺り一面を赤く染める、だから秋分の日はイコール「ヒガンバナ」彼岸花はイコール「彼岸」。そういう構図が当たり前だと思っていました。それなのに、なぜか今年はヒガンバナの姿がすくないのです。それならば、と「ヒガンバナが群れて咲いている」と記憶していた少し遠方の沼地まで車を走らせました。が、ここにも赤い花の群落を見つけることができませんでした。
大雨や異常な高温続きだった昨今の「気象異常」のせいかしら?
そう思いながら辺りを散策してみましたが水辺は写真の通りうっそうとした雑草で覆われています。よくみると、茂った草の中に赤紫の花が見えます。たくさんの「くず」が低木の上を覆うように伸びあがり、赤紫色の花をたくさん咲かせていました。万葉の昔から日本全土に自生し、根からは「澱粉」茎は「繊維」と人々の暮らしを支えてきた植物です。地味な花の多い当時にあっては、人の目を引く派手な植物だったろうと思われます。
ま葛原なびく秋風吹くごとに阿太の大野の萩が花散る 憶良
ふと、先日行ったお蕎麦やさんの座敷に「無邊楽事帰吟筆」(楽しみは詩を書き書を書くこと)という軸の横に、2メートルほどの葛が素敵に投げ入れられていたのを思い出して、一枝手折り帰ったのでした。
我が家の自家製の書と掛け花の葛の花です、いかが?