いつか行ってみたい、と思っていた「かんなみ仏の里美術館」に行ってきました。
「函南(かんなみ)」というのは、熱海市と三島市の真ん中にある小さな町、
「かんなみ仏の里美術館」は、JR函南駅から車で北に5分、箱根山への登り口にありました。
箱根といったら都から関東に抜ける交通の要所だったし、関所もあったし、
鎌倉幕府にとっては要塞の地だったはずだから、
鎌倉時代の仏像たちがたくさんいるののだろう・・と想像していたのですが、
薄暗い美術館の真ん中にデンと座していたのは、十二神将を従えたふっくらとした平安中期の薬師如来でした。
解説によると、この仏像は、ここ函南の桑原山新光寺というお寺に収められていたものです。
新光寺は、 弘仁7年(816年)に、桑原の地に建立されました。
史書(吾妻鏡)によると、新光寺はその後たびたび火災などに見舞われます。
それを、鎌倉時代になって、源頼朝や北条時政らが再興させます。
その時に、新たに鎌倉時代の仏像たちが奉納されました。それが国宝の阿弥陀如来像です。
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それから、室町、戦国,江戸、明治、大正、昭和、平成、と千年の時が流れました。
仏像たちは、どうやって守られてきたのでしょうか?
平安の時代も、鎌倉の時代も、江戸時代だって、歴史に出てくる一部の貴族や武士をのぞいたら
大多数が貧しい農民です。箱根に近いこの地の農民たちの暮らしが豊かだったとは考えられません。
そんな中、桑原山地区の村人たちは仏像を大切に守り続けてきました。
そして24体の国宝級の仏像が現代に残されたのです。
そのことが、この地元美術館の意味であり、これらの仏像の重みなのだと思ったのでした。
みほとけは 孤独に座して 永遠に微笑む
「かんなみ仏の里美術館」は、この地域に残された24体の国宝級の仏像を展示しています。
丁寧な展示と地元のボランティアさんの親しみやすい解説に、ローカル美術館の味わいを感じます。