陶芸工房 朝

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房総半島ひた走り

2022年01月12日 | 日記・エッセイ・コラム

房総半島は、関東地方の南東に突出する半島で、明治時代までは、上総の国(カズサノクニ)下総の国(シモウサノクニ)安房の国(アワノクニ)と呼ばれていました。その太平洋に面した房総半島の大部分が現在の千葉県です。2022年正月の房総半島旅日記です。

面白し雪にならんや冬の雨  芭蕉

その日は、朝からどんよりとした空模様でした。南太平洋から雪雲が迫っているとの予報はありましたが、東京を出る時には小雨が降っている程度で、誰も雪の心配などしていませんでした。車は、首都高から川崎を通って東京湾アクアラインを快適に走ります。海底トンネルを抜けて「海ほたる」に着いたのはお昼過ぎ、海は荒れ模様で視界も悪く、霙まじりの雪も降っていましたが気に留めず、車は木更津へ、ここからが房総半島・千葉県です。今日の目的地は南房総の温泉、鴨川です。

写真はアクアライン・海ほたるパーキング  (ウィキペディアより借用)

 

限りなく降る雪なにをもたらすや   西南三鬼 

木更津から南房総に出るには、半島の中心部にあたる丘陵地帯を通ります。標高も高くなっているのでしょう、林道に入ると雪が激しくなり始めました。なだらかな上り下りを繰り返しながら、やっと峠に差し掛かった頃には、あたりは一面の 雪 雪 雪。行く手からも激しく雪が降ってきます。ここを越せばじきに温泉につくはず・・・そう思った時、運転していた大学生の娘が「タイヤを取られて走れない!!」と叫びました。父親が運転を変わりましたが「後ろの車輪が滑って自由が効かない・・危険だ!」と、車を道の端に寄せました。車は雪の中で立ち往生です。街中ではカッコいいはずの「レクサス」も、何の装備もないこの雪の山道では完全に無能です。助けを呼ぼうにも手立てが分かりません。途方に暮れること・・・数十分。やがて、後続していた大型のトラックや、農作業用のトラックや、雪に強そうなタイヤを付けた車が、先を走ってくれると、タイヤの跡に道が出来て、私たちはその跡をそろそろと走って・・・何とか目的地に着くことができました。

 

初東雲(しののめ)珊瑚の薄紅鮮しき 川口爽郎

苦労して到着した温泉は高温で心地よく快適でした。翌朝は早くから起きて露天風呂で日の出を待ちました。太平洋の東側がかすかに赤らむと、次第に雲が輝き始め、やがて太陽がかすかに顔をのぞかせました。その一瞬のミステリアスな美しさ・・・息をのむほどです。                    

心地よい温泉は、一時、帰り道のことなど忘れさせてくれましたが、木々には昨日の雪が厚く残っています。昨日の道は夜の冷え込みで凍っているに違いありません。どうやって東京まで帰るかが問題でした。結局、かなりの遠回りになるけれど、館山を通って房総半島の南端「野島﨑灯台」に立ち寄り、海岸寄りの道を帰るのが一番安全ということでになりました。

 

新春や房総半島ひた走り

朝10時にホテルを出発し、途中で野島埼灯台に立ち寄り昼食を頂いた以外には、只々ひたすら走りに走ったドライブでした。鴨川から大海・和田浦・千倉・野島埼、さらに 布良・館山・南房総・富浦・鋸山・富津・・・、聞いたことのない地名ばかりです。木更津からもと来たアクアラインに入り、東京についたのは(渋滞もあって)4時を過ぎていました。6時間に及ぶドライブでした。

距離とは何なのでしょう? 日常の行動範囲を越えた時私たちは非日常を感じます。距離は非日常の入り口? では非日常を体験するとはどういうことなのでしょう? 考えてしまいました。 時間の中に深く入りこむこと、   それは「横軸の距離と縦軸の時間」の相乗関係?

記録文を書こうと、ふと俳句歳時記を開いたら、江戸の俳人の見た感興も私たちの感興もあまり変わらない気がしました。

ただひた走りに走っただけの房総半島でしたが、非日常の窓から垣間見た房総半島が新たな興味を呼び起こしてくれました。房総の海にそびえる野島埼の白い灯台は、日本で2番目に古い灯台とのこと。160年も同じ場所から同じ海を照らし続けてきた灯台には、長い歴史が綴じこめられているに違いありません。

 

江戸幕府のお役人が、房総半島沖合を行く外国船を、ここから眺めている光景が目に浮かびます。                                       

 



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1 コメント

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Unknown (一也)
2022-01-16 17:52:35
お疲れさまでした。雪の峠道は生きた心地がしませんでしたが、とにかく無事に抜けることができて何よりでした。街乗り専用のレクサスのセダンで雪の峠を無事に越せたのは、偏にドライバーの腕前です😁
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