楽焼なら知っているけど「アメリカン楽(らく)」なんて聞いたことない、という方が大半でしょう。
「アメリカン楽」とは、日本の楽焼を外国人(アメリカ人)が改良したもののことで、簡単な窯で短い時間に焼きあがる楽焼ということです。今回、陶芸家協会の研修会でその「アメリカン楽(らく)」を焼くというので行ってきました。
会場は藤枝市の山間地にある古民家の中庭。そこは、工芸家協会のメンバーMさんの仕事場でもあります。指導者してくださるのもメンバーのMさん。「焼きものづくりで過疎の山村の村おこしを!」をという活動をしておられるとのことで、簡単に短時間で焼き上がるこのアメリカン楽が、よろこばれているのだそうです。
用意するものは、素焼きをした器と釉薬、焼成用の窯と薪。窯はごく簡単なつくりで、イケヤの大きめのバケツの内側に耐熱用の石綿をぐるりと巻いて焼成室を作り、バケツの下部に作った焚口から薪を焚くというものです。バケツの蓋の真ん中に煙突があり、煙の具合を見ながら焼成加減を調整します。
窯に作品(茶碗 2~3個)を入れて、下から薪を焚くこと約20分。窯の温度が900度くらいになって釉薬(低温でも溶けるフリット系)がとけたら焼成の完了です。
窯の蓋を開けて作品を取り出し、それを密封した器に入れて炭化させます。炭化には新聞紙やもみ殻のようなもを使います。5分ほど炭化させたら取り出して水につけます。
焚きあがった茶碗です。釉薬のかかった部分と素地の部分と炭化された部分が茶碗の景色を作り出しています。20分で焼きあがった作品とは思えないで出来ばえでしょう?
この方法で作品を焼成して展覧会に出だしている作家さんもいるそうです。
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私が使っている窯は、24時間以上をかけて1250度まで温度を上げ、さらに24時間以上かけて冷まします。それがわずか20分!! オ ーブンで肉を焼く時間です。しかも、出来具合もなかなとくれば・・・、これはかなりのショックです。
日ごろ思いながらも、慣れたやり方から出ようとしない、怠惰な自分の反省材料になりました。