陶芸工房 朝

アトリエ便りです。どうぞよろしく。

夏の終わり・野萱草

2019年08月30日 | 日記・エッセイ・コラム

      戦いの夏も終わりぬ野萱草 


 猛暑の八月も、いよいよお終わりに近づきました。

この夏の初め、軽い気持ちで受けた目の手術が、思わぬトラブルにつながって、

今年は、長いはずの夏休みの大部分を病院通いに費やすことになってしまいました。

           *

久しぶりに裏庭に出てみると、ひと月もほっておいた庭のあちこちに蜘蛛が巣を張り巡らせていて、

行く先々で顔や髪に糸が絡みついてきます。

蜘蛛は、人の手の入らない場所に好んで巣を作るそうで、それが安全に獲物を獲得する知恵だとか。

そんな夏草の茂る裏庭のはずれに、鮮やかにノカンゾウの花が咲いていました。

           *

戦いとは はいささか大げさですが、この夏の経験は私にとってかなりのダメージでした。

生い茂る夏草の間にあちこちを向いて咲いているノカンゾウの姿を見ながら

ふと芭蕉の句を思い出したのでした。

 

    夏草や兵(つあども)共が夢の後  芭蕉 


祈り・カラスウリの花

2019年08月26日 | 日記・エッセイ・コラム

ずっと気が付いていたのに、なかなかタイミングがあわなくて・・。

咲き終わってから気が付いたり・・、蕾が小さくてタイミングが合わなかったり・・。

うっかり忘れて寝てしまったり・・。

 

ついに撮れました。本日(8月26日)午後7時、懐中電灯で照らして撮影、場所は家の前庭。

 

午後6時にはこんな具合だった・・。

 

それが、暗くなったと思った午後7時にはこんな具合。

誰も見てくれない夜の闇の中の白いベール

 

花見せて夢の景色や烏瓜 阿波野青畝

絶対に今日咲くと願かけし祈り通じて烏瓜

 


猛暑だより・表現するということ

2019年08月14日 | 日記・エッセイ・コラム

ツクツクボウシが鳴き始めた。

庭では、サルスベリの花も咲き始めた。

夕方、草叢から虫の鳴く声が聞こえてきた。

 

まるで、天のどこかにオーケストラのコンダクターがいるみたいだ。 

 

コンダクターといえば、

「奇跡のレッスン・世界最強のコーチと子どもたち」というTV番組を見た。

元ウインフィルの第一ヴァイオリン奏者ダニエルさんが

弦楽器演奏をする小学生たちの指導をする様子を追った番組だ。

まだ楽譜を追うのが精いっぱいに見える子どもたちに

音楽とは何なのか、音で表現するとはどういうことなのかを、

細やかに、あるいは大胆に、心を込めて教えていく。

 

そのしなやかな心と柔軟な指導に思わず感動してしまった。

 

音に感情を込めてみよう!!

必要なものは 全て自分の中にあるんだよ!!

大切なのは 自分を信じること!!

 

ダニエルさんの言葉は、

この夏、思いがけないトラブルで落ち込んでいた自分へのメッセージのようにも聞こえた!

大切なのは自分を信じること!表現に思いっきり感情を込めよう!

必要なものはすべて自分の中にある。

 

 

 


猛暑の夏だより・クサギ

2019年08月08日 | 日記・エッセイ・コラム

目の前で、ミーンミーンとけたたましい蝉の声。

パソコンを打つ手を止めて窓の外を見ると木犀の木に大きなアブラゼミ。

真夏を謳歌している。

 

 

街中よりは幾分涼しいはずのここも、この猛暑には勝てない。外には出たくない。

ふと山に目をやると、咲き終わった紫陽花の横に白い花房をつけた低木がある。

 

 

どうやら最近ここに生えてきた「クサギ」のようだ。 

クサギは「臭木」とも書いて、臭いから嫌われるのだと聞くが、

里山ではよく見かける植物で、花はなかなか立派である。

 

 

いつだったか、染色家の志村ふくみさんと石牟禮道子さんの対談をテレビで見た。

石牟禮さんの作品「沖宮」の能衣装を、志村さんが染めることになった。

天草四郎の着る能衣装の袴の青は、どうしてもクサギの青で染めたいという。

古代呉須をおもわせるアオ色は、クサギの実からとる青がいいのだと・・。

染色家のこだわりだ!

その時草木染の染料としてのクサギの役割を知った。

そして、昔の人の深い観察眼と知恵が生み出した古代草木染の世界も垣間見た。

秋になると白い花弁の真ん中に蒼黒い実が付く。

忘れずに採って青色の染め物を作ってみよう!