静岡市の中心街から藁科川に沿って藁科街道を遡ること約30分、そこから街道を外れて山道に入り、くねくねと山の中を10分ほど登ると岡部町に抜ける峠に到着する。そこからさらに山の奥に向かって私道を5分ほど走ったところに知り合いの穴窯がある。その穴窯に数点の茶碗を入れて頂いたので、窯開けに出かけた。
(私の運転能力からしたら超高難度な道行である。)
冬を迎え始めた林の中に、鮮やかな紫色の竜胆(りんどう)が咲いている。誰かに見られるわけでもないのに、凛として美しい。
優しい味わいに焼けた志野茶碗。
自然の灰でできた自然釉の茶碗。
陶芸を志す人なら誰でも、一度は欲しいと願望する薪窯である。が、この窯を維持するには、頑強な体力と高度な陶芸技術が要求される。薪窯を自分で持つのは無理だと知っている身にとっては、こうして仲間に入れて頂けることを本当にありがたいと思うのだ。(写真は、土と火と自然の恵みと山の空気との中で生まれた茶碗たち。)