台風19号は、日本中に大きな爪跡を残して去っていきました。
台風の去った後は爽やかな青空。気温が下がったせいでしょうか秋草花が一斉に咲き始めました。
湿った空気の中に木犀の香が漂ってきます。
写真は、つい先日までルリタテハを養っていたホトトギスです。
その葉っぱを、ほとんど毛虫に食わせていたホトトギスも、いつの間にか花芽を立ちあげ、
立派な花を咲かせています。その逞しさにはただただ驚嘆するばかりです。
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この秋、ここから4頭のルリタテハが羽化しました。
でも茎にぶら下がったまま蛹になれず、
もだえるように身を震わせながら死んでいった毛虫もいました。
観察中蝶になれたのは観察した毛虫の約半分、
実際にはもっともっと厳しい現実があるに違いありません。
今朝、そのホトトギスに、珍しいお客がきていました。
普段見かけない蜂です。ブンブンと羽音を響かせながら花の蜜を吸っています。
その姿形から「ハチスズメ」という言葉を思い出しました。
宮沢賢治の物語で読んだことのある「ハチスズメ」の姿です。
姿形は明らかに蜂とは違うし、羽を震わせて飛んでいる様はまさしく鳥を思わせます。
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写真を撮ろうと粘ったのですがいっときもじっとしていないので、うまく撮れません。
それで「ハチスズメ」について調べたら、「ハチドリ」のこととありました。
でも鳥ではないので調べていくと、写真付きで星蜂雀(ホシホウジャク)という「蛾」の
一種だと記されていました。
蝶育て蜂雀遊ばすホトトギス
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「イーハトーブ・ガーデン」というブログによると、
宮沢賢治はハチドリのことを、はちすずめ、蜂雀、と表記していますが、
賢治没年以前の動物学、鳥類学の書籍には「ハチスズメ」という言葉は
一つも見当たりません、とありました。
ひょっとすると賢治も、花に戯れる蜂の姿を見て「ハチスズメ」の言葉を
思ったのかも、と勝手に想像して、自然界の不思議を楽しんだのでした。