「あまり耳慣れないネーミングの美術館だ」と思
われる方も多いかもしれない。開館したのが20
05年4月で、場所も三重県三重郡菰野町大羽
根園となじみのない地名だ。でもすばらしい美
術館であることは間違いない。
館内に入ると厳かに迎えてくれるのは釈
迦十弟子の立像。
ここには、池田満寿夫の最後の作品とな
った「般若心経」全シリーズの陶芸作品
が展示されている。
陶芸作品の多くは、山梨県増穂町の八
方窯で焼かれている。陶芸の域を超え
て彫刻に近い作品群である。
展示室に入ると、先ずその作品のすば
らしさ、そして作品の多さに圧倒される。
「神神の器」と称した陶の器に、般若心経
の一文字ずつが刻印されている。
池田満寿夫の「地蔵」像の頭部。
(続)
地蔵像についで制作されたのが「仏塔」だ。
塔の一部に仏像がはめ込まれているが、
その表情の一つ一つが魅力的だ。
陶片・陶器・心経碑・地蔵像・仏塔、と形
を代ええながら、形の変化と同時に作品
に奥行きと深まりが生まれていく。
展示室はまさに、そうした精神世界を閉
じ込めた、「池田満寿夫般若心経の世界」
感動的な空間体験である。
パラミタミュージアム
近鉄名古屋から近鉄で四日市まで。四日
市で湯ノ山線に乗り換え大羽根園で下車。
大羽根園の無人駅の直ぐ側。
メインコレクションは、池田満寿夫陶彫「般
若心経シリーズ」。パラミタとは、梵語の波
羅蜜多(はらみた)。迷いの多い現世のから
悟りの彼岸にいたること。
(写真は、池田満寿夫らしい陶版画の1枚)