谷津山から静岡市内を見渡した写真です。樹々の間に見える小さな赤い屋根、そこが私のアトリエです。冬至から1か月、お日様の角度が冬至より1か月分高くなり、日照時間が1か月分長くなると、魔法のように自然が目を覚まし草や花や木々が動き始めます。小鳥たちがどこからともなくやってきます。
今日は1月29日。大寒が去って久しぶりの穏やかな午後です。12月22日の冬至から一か月、言いかえれば日照時間が一か月分だけ長くなった日、暖かな日差しがアトリエいっぱいに差し込んで気持ちまで明るくなってきます。
窓を全開にして音楽をかけて・・・、輪切りにした蜜柑を木々の小枝にさして「さあ小鳥たちおいで、一番のりは誰かな?」と言っても、百メートル以上もある山の上からどうやって下界の片隅の小さなアトリエの小さな小さな輪切りの蜜柑を見つけるのでしょうか? きっと、人より何十倍も優れた性能の目を持っていいるに違いない・・・なんて思うと、無性に小鳥たちが愛おしく思えます。
本日の最初のお客はメジロでした。まだ子供のような小さなメジロが三羽、まわりを用心深く観察しながら近づいてきて、さっと輪切りのみかんに飛び乗りつつき始めました。そして、しばらくすると選手を交代し、今度は見張り?にまわります。
←こちら別のメジロ。
次のお客はヒヨ。蜜柑ではなく水瓶で水浴びをして水を飲んで・・。
自分より数倍大きいヒヨが来ると、小鳥たちは一斉に逃げ出します。
次の訪問者はジョウビタキ。ジョウビタキは我が家の常連です。物知り顔にあちこちを観察してから蜜柑をつつきます。
その姿形のかわいいこと体の色合いの美しいこと・・・私の好きな小鳥です。カメラを向けたら飛び立ってしまいました。
小鳥たちは、あたりに人の気配がなくなると途端にリラックス、小さな鳥から大きな山鳩まで楽しそうに遊んでいきます。山の自然がまだ冬眠から覚めやらず、食べ物が十分でないからでしょうか、この時期の小鳥の人懐っこさは特別です。
小さな体で思い切り高く舞い上がり空を旋回したり宙返りしたり・・・、そんな鳥たちの姿を見ていると、もし来世というものがあるのなら、鳥になって空を飛ぶのもいいかなー、なんて思ったりもします。冬から春に向かうこの穏やかな一日を「小鳥を呼ぶ日」と呼ぶことにします。
野にあって小鳥ごこちや百千鳥 池田澄子