ずっと行きたいと思いながら行けないでいた「益子」に行ってきました。
栃木県益子町といえば、誰でも知っている益子焼きの町です。
濱田庄司記念益子参考館の中庭
今回の目的地は濱田庄司邸です。益子の焼き物を世界的に有名にした濱田庄司の自邸を中心に、仕事場、窯場、幾棟かの資料館が、緩い丘陵地に広がっています。「濱田庄司記念益子参考館」、そこには、生前、彼が蒐集した品々や、自分の作品、交流の深かった河井寛次郎やバーナード・リーチらの作品が、惜しげもなく並べられていました。自然をそのまま取り込んだようなゆったりとしたお庭を、師走を迎えて終わりに近づいた紅葉が、美しく彩っています。
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実は、世界遺産になった日光東照宮に行くという友達と日光まで新幹線で行って、その帰り、私は一人で益子まで足を延ばしたのです。宇都宮駅前から出ている益子行きのバスは、街中を過ぎるとほとんど乗客もありません。貸し切り状態のバスに揺られて1時間余り行くと、そこが益子でした。
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濱田庄司は、東京の出身ですが、「京都で道を見つけ、英国で始まり、沖縄で学び、益子で育った」と、自ら語っているように、世界を視野に仕事をしてきた人です。バーナード・リーチと共にイギリスに渡り「スリップウェア」の技法を再現していますし、日本の民芸の創始者といわれる柳宗悦や河井寛次郎たちと共に、世界中の民芸品を掘り起こし蒐集し「民芸運動」を起こしたことでも有名です。
イギリスのスリップウエアーの蒐集品
今回の展示は「SLIP WORKS/泥しょうの仕事」展
濱田庄司やバーナード・リーチの、スリップ(泥しょう)を使用した多彩な陶芸作品を展示したものです。泥しょうというのは、「泥」を用いた技法なのですが、現代の陶芸でも盛んに使われているもので、私たちも「化粧掛け」と言っていろいろな泥しょうを使っています。刷毛目、書き落とし、飛びカンナ、イッチン、等々、粘土生地と相性の良い泥を表面に施す技法は、すべてその仲間です。
濱田庄司作品
本でよく見知っているリーチや濱田庄司の本物の作品を、じっくりと見ることができました。 貸し切りの美術館で、本物と1体1で向き合う幸せを、ため息をつきながら堪能したのでした。
ここが濱田邸の母屋だったところ
ウイークデイの午前中だからでしょうか、広い屋敷の中に人の姿はありません。 母屋の壁に「コーヒー」の張り紙があったので、奥の方に声をかけてみました。女の人が出てきて「今日は寒いからこちらへどうぞ」と、小さな書斎風の部屋に案内して下さり、ストーブを焚いてくれました。
部屋の書棚には、濱田庄司が読んだのでしょうか、本が積まれています。 コーヒーカップは、ここの濱田窯を継いだご子息の作だそうで、昔からの益子の伝統的な甕やすり鉢に使われた柿釉を使ったものでした。柿渋のようなくすんだ茶色が古民家にぴったり合って、なんとも居心地の良い時間です。
暖かなコーヒーを頂きながら、
いつかもう一度、誰か気の合う人ときたいなー、
そんなことを思ったのでした。
初めまして。
陶芸関係者では、有りませんが、益子町は地元です。
益子町は、良い所ですよね。
濱田邸のあたりから益子メッセの辺りまで、
ゆっくり散策しました。
益子は楽しい焼き物の町でした。
また伺いたいです。