この地球上のどこで、いつ頃、土器は生まれたのだろうか ?
そんな疑問にこたえるように、タイの東北部ウドンタニー県のバーンチィアン村からたくさんの土器が発見された。
よく「原始の美術」などの本で紹介されている写真のような朱色渦巻き紋の土器、これは、!957年にバンチィアン村の墓で発掘された。土器の破片を鑑定した結果、紀元前3600年頃のものであることが判明した。
このことから、バーンティアン村は、世界最古の文明発祥の地として、1992年世界遺産に認定された。バーンティアン焼は、今から5600年前に、焼かれた焼き物ということになる。
その後、何千年もの時を重ねながら、今でもなお、タイの田舎では、これとよく似た土器を焼いている。高床式の簡素な住まいも、もしかすると太古の昔とそんなに変っていないのかもしれない。山地には天然のバナナが実っている。
そういう意味では、タイは、遥かな悠久の時をそのまま止めてしまっているような地かもしれない。今回、残念ながらウドンタニーを訪れることはできなかったが、いつか機会があれば行ってみたいところである。
さて、時代はいっきに下って、スコータイ(1200年~1300年)になってしまうのだが、スコータイ以前に、チェンライにもチェンマイにも王宮があったが、ミャンマーからの勢力に押されるように南下し、文明もそれに伴い変化していく。
スコータイでは、ブラルアン王の要請によって、中国の陶工がスコータイに移住し、陶芸を始めている。中国の景徳鎮窯全盛時代のことである。
日本の縄文土器に見られるようなカエル模様がついている水差し。 写真は、サンカローク焼の展示場にて。
( ● ちなみに、日本各地で発見されている縄文土器は、今から1万5千年も前のものもあり、おそらくこれが世界で最も古い土器ではないか、とのご指摘を頂いたことを付け加えておきます。)