滋賀県の琵琶湖湖畔にある佐川美術館。
こここには楽家15代目当主楽吉左衛門氏の作品
と、氏自らが演出したユニークなガラスの茶室が
あると聞いて出かけたのですが、生憎の休刊日。
本来なら茶室の見学ができるはずでした。
(11月16日・17日にはお茶会もあるとのこと)
またの機会に期待することにしました。
楽焼 ちやわん屋
楽焼の窯元、楽家の玄関の格子戸の写真です。
格子戸の向こうに江戸時代からという「楽焼
ちやわん屋」の暖簾が見えるはずなのですが。
楽焼きは秀吉の時代に「茶の湯」に用いる
ための茶碗を焼いていた窯元で、今に至るま
で14代にわたって、その伝統を守っている
名門です。
「楽美術館」は、この楽家に隣接する形で建
てられています。
展示室には、初代長次郎から400年におよぶ
楽茶碗が展示されていて、本物の名品を見るこ
とができます。
桃山時代に利休によって確立された「侘茶」の
世界に欠かせない茶碗ですが、朝鮮から入って
くる到来物が珍重されていた時代に、利休が長
次郎に命じて創らせたのが楽茶碗でした。
その頃の伝統を守りながら炭火の炉で茶碗を制
作し続けている楽家の歴史を見ることができる
美術館です。
* * *
そういえば、数年前直木賞をとった「利休にた
ずねよ」(山本兼一著)が映画化され近く上映さ
れます。その中でも、長次郎の楽茶碗は登場す
るはず、楽しみです。
(ちなみな、利休は市川海老蔵だそうだす。)
「河井寛次郎」は日本を代表する陶芸家です。
柳宗悦・浜田庄司等と共に、民芸運動を興し「日
本民芸美術館」を創ったことでも知られています。
* * * *
京都、清水寺の登り口に近い東山五条坂に、彼の暮
らしていた家があります。
大道りから一筋それて路地に入ると、あたりは昔な
がらの木造家屋の並ぶ静かな住宅地、昭和48年、
寛次郎没後7年にそこが記念館として公開されまし
た。
引き戸を開けると中は以外に広い板の間で、サ
ロン風の大部屋には、自在鉤のついた炉や民芸
調の椅子やテーブル・木製のベンチ等が並んで
いて、どこか昔の日本の温もりが感じられます。
部屋の先には中庭があり、その中庭を取り巻く
ように仕事部屋や展示場が鉤型に続いています。
1階は仕事部屋風、吹き抜けの2階には書斎風
の部屋や和室もあり、ずいぶんと大きな木造家
屋です。
中庭には、日曜美術館でも紹介されていた郷里
の丸石がどんと据えられています。これは故郷
安来から灯篭を贈るという話を断って、代わり
にもらったという逸話のある丸い大きな石で、
まるで作品のようです。
庭の続きは、仕事場・展示室・登り窯もそのま
ま残っています。
寛次郎が集めたと思われる美しい家具や道具類
がさりげなく置かれ、彼の豊かな感性と美意識
を感じさせる空間です。
「暮らしが仕事、仕事が暮らし」をモットーと
した河井寛次郎の精神を、肉親が愛情をもって
保存している温かな記念館です。