この季節になると、何故か「桃源郷」という言葉が想いおこされるのです。
桃源郷がどんなところか、本当にそんなところが存在するのかも知らないのに・・・・。多分、花々が咲き乱れ、小鳥が歌い、蝶が舞う、「春」のイメージからの連想なのでしょう。
ちなみに「武陵桃源」という言葉の由来は、
中国、東晋(とうしん)の太元年中(376~396)武陵の漁師が舟で川をさかのぼってモモの花が咲きにおう林に迷い込み、林の尽きる水源の奥の洞窟(どうくつ)を抜け出ると、そこには秦(しん)の戦乱を避けてこの地に隠れ住んだ人々が、漢・魏(ぎ)・晋(しん)と数百年にわたって世の中の推移も知らず、平和な別天地での生活を営んでいた、と記す陶淵明(えんめい)の『桃花源記』によるものです。
写真は谷津山の麓・家のあたりなのですが、このあたりもとみに高齢化が進んで、隠遁者の隠れ家的な感じがしないではありません。モモがサクラに変わって「櫻源郷」なんですが。
家の前のさくらの花が開き始めました。例年より10日も早い開花です。
この年は思いのほか寒い冬でした。寒い寒いといっているうちに、急激な暖かさが訪れ、自然の樹木たちが過剰に反応してしまったためでしょうか。まだちらほらですが、こうなると例年さくらに先駆けて咲く紫色の木蓮や、真っ赤なやぶ椿と同時に、さくらが満開になってしまいそうです。
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(あっという間に開いたヒトリシズカ)
例年より開花の早いのは、さくらばかりではありません。わが家の山野草たちも、例年一番乗りのバイモユリに続いて、あっというまにショウジョウバカマ、ヒトリシズカ、シュンラン、ヤマスミレ、イカリソウ、と続けざまに咲き始めました。まだ健在な赤いヤブツバキ、豪勢なクリスマスローズに加えて、白いユキヤナギ、黄色のレンギョウと百花繚乱、オーケストラの開幕です。
(いつもなら一番のりの バイモユリたち )
ゆっくりと時間をかけて、一つづつの花との会話を楽しみたかった私としては、この花たちの一斉開花は少々不満で、残念な気持ちもするのですが、自然の摂理には逆いようがありません。
(写真は、アトリエNODA・ わたしは何をしたらいいの?展から)
天地の怒りに触れたような恐れの中で、私たちは身動きの出来ない無力感に襲われていました。それは、人の力ではどうにもならない巨大な暴力でした。それは、どう考えても不条理なことでした。
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日本中が混乱の中にあった10月5日、ステイーブ・ジョブスの死が報道されました。そして、スタンフォード大学の卒業式での彼のスピーチが紹介されました。
ステイーブ・ジョブズがたどった人生も、決してん順風満帆なものではありませんでした。しかし、あらゆる困難な出来事が、自分の人生にとって大切なことであった。もしそれがなかったら今の自分はなかったと語り、若者たちに次のことばをおくりました。
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STAY HUNGURY
STAY FOOLISH
ハングリーであり続けろ!
愚かであり続けろ!
それは、打ちのめされ、自信を失った日本人の心に、勇気を与えてくれたように思えたのでした。