冬の寒さを乗り越えて「ツタンカーメンの豆」が花を着けた。
我が家に来てから4年目の春ということになる。去年収穫したえんどう豆を保存しておいて、秋にその豆を蒔き、芽の出た苗を移植してから寒さにやられないように気を配って育てた。私としては珍しいことだ。4年前「いろんな人が大事に育ててきた伝説のツタンカーメンの豆だから大事にね」といわれてやって来た豆だ。
普通のえんどう豆と違って花も実もむらさき色。ご飯にいれるとコメがお赤飯のように赤くなる
ツタンカーメンと言えば古代エジプト第18王朝のファラオ。王家の谷での3千年の眠りの後に黄金の仮面と共に発掘されたという話は有名だ。その時仮面と一緒に見つかった死後の食糧を入れた壺の中に、この豆の祖先が入っていたということだ。
3000年もの間ツタンカーメンと一緒に眠っていた豆の子孫なんて話、誰も本気では信じないだろう。私だってそうだ。でも、そんな神話に彩られたこの豆の話を、夢があっていいなと思う。絶やさないで育ててあげたいナと思う。
伐採した木の枝と葉っぱで防寒した甲斐あって、元気に大きくなった
「命」を継承していくということは大変なことだ。大変なことだからこそ素晴らしいのだと思う。山野草も珍しい新しい品種を買ってきても、2~3年もすると姿を消してしまう。相性の良くないものは育たない。そうかと思うと、あまり手をかけなくても、毎年春が来ると同じように芽を出し、同じように花をつける常連の植物たちがいる。そこには同じように虫がやってくるし、蝶がやってくる。生命の連鎖が生きている。3000年の時を生き続けてきたツタンカーメンの豆の生命力には乾杯するほかない!!
春になるといつも思う。大地の中には無数の命がうごめいていて、それらが見事な調和で命を育んでいることの素晴らしさを。