陶芸工房 朝

アトリエ便りです。どうぞよろしく。

今年も日展の季節になりました。

2019年11月10日 | 日記・エッセイ・コラム

東京六本木にある国立新美術館は、建築家黒川紀章氏設計の美しい美術館です。

美術館と言っても、上野の国立美術館のようにたくさんの収蔵品を持つ美術館ではなく、

企画展、いわゆる展覧会・展示を主体にした美術館です。

毎年この時期ここで恒例の公募展日展が開催されます。

          

 会場は、第1科日本画・第2科洋画・第3科彫刻・第4科工芸・第5科書道  というように、

    部屋をわけて展示され、 全館が日展一色で賑わいます。 

 下の写真は、1階の第4科「工芸」の部屋です。

 

   壁面にあるのは、染色、織物 皮工芸 等の平面作品。

 中央の平台には、陶芸、金工 漆 ガラス等の作品。

 工芸だけでも展示室が6室もあってお目当ての作品を探すのにくろうします。

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 2階には、第3科の「彫刻」の部屋があります。

 等身大からさらに大きな作品まで百余体の彫刻が並び、まるで彫刻の森のようです。

 

 ここは、私のもっとも好きな部屋で、毎年ここを見るのを楽しみにしています。

 たくさんの彫刻作品の中をゆっくり歩きながら作品を鑑賞していくと、

 誰でもきっと、好きな作品に出会うことでしょう。 

 

                          

  会場に展示されているたくさんの作品を見ながら、いつも思うことは、

 小さなアトリエでコツコツと作品づくりに取り組んでいる人々のことです

 どの作品にも、黙々と作品と格闘する作者の姿が、後ろに透けて見えてきます。

 彫刻のような大きな作品では、その苦労の大きさがなおさらよく判ります。

 作品づくりとは孤独な仕事であるとつくづく思います。

 いくらやってもこれで満足ということがありません。

 悪戦苦闘しながら、もう嫌だと思いながら、

 それでも何とかコツコツやっている、それはまた自分の姿でもあります。

 今回の日展の応募作品は、各科合わせて1万1588点とのこと。

 会場に展示された作品は、その内の約2千9oo点、

 報いられなかった人の方が多いのです。

              *

 報われようが報われなかろうが、人は何かに向かって頑張るようにできている、

 「そこに山があるから登る」という冒険家と同じように・・・・

 だって、それが「生きる」ってことだから・・・・。

 最近は、素直にそう思えるようになりました。

 

 会場に並ぶたくさんの作品は、その美しいサンプルのように思えます。