ぜんまい（かも？）。

「おぽッ、さんさいィ！
　ネーさ、てんぷらにィ、しましょゥッ！」

　やーね、テディちゃ、
　これは腐海のモトよ！　ナウシカちゃんの世界よ！

「むぽッ？？」

　……って、はい、
　４月１日のお遊びもここまでー！
　画像は、東京都庭園美術館のお庭でパチリ！したものです。
　すごいわね！
　都心の真ん中で山菜ですよ！
　振り返れば、すぐそこに首都高速、という場所で、
　山菜ちゃんがヒョロロ～ンと！

「やぱりィ、てんぷらァ♪」

　これは、たぶん『ゼンマイ』の一種ではなかろうかと
　思うのですが、
　食べられる種類のものなのかは
　……うーん、分かりません。
　
「ためしてェみるのでスよゥ！
　れッつゥ、てんぷらッ♪」

　これは都美術館に生えている植物くんですから
　都民の共有財産です！
　取っちゃだめ！
　食べるのもだめー！

「ネーさのォ、けちッ！
　にんげんのォ、けちィ！！」

（テディちゃ、事態を危惧するネーさによって
　バッグの中に収容される！
　そのまま庭園美術館の外へ……！）

「むごごごごォ～ッ！」（←バッグの底から、痛恨の叫び…！）

文豪さんも監督さんも、これがなくちゃ、やってけません！

（……ぐる～、ぐるるる～、ぐるる～……）

　な、何でしょう、この面妖な音は？
　エイプリルフールでPCもおかしくなっちゃったのかしらっ？？

「ちがいまスよゥ、ネーさ！
　これはァ、テディちゃのォ、
　おなかがァ、なッてるゥおとッ！」

　……そうですか、考え過ぎたネーさが愚かでしたね。
　この御本を読んだなら、お腹が鳴るのも無理はありません。
　さあ、御紹介いたしましょう！　こちらを、どうぞ～！


　
　　　　　　　　　　　　　――　作家のおやつ　――


　
　編者はコロナ・ブックス編集部の皆さん、’０９年１月に発行されました。
　本が好きで、お菓子が大好き！な私たちのために生まれたのかと、
　勘違いしてしまいそうな御本ですね♪

「ぐるるゥ～！　おいしそッ！
　ぱんけーきィ！」

　表紙の写真は、
　『万惣フルーツパーラー』さんのホットケーキ。
　食通で知られる池波正太郎さんが好んだ《おやつ》です。

　美味しいものに出会える予感に満ち満ちて、
　では、本文へ！

「わわッ！
　ネーさ、たいへんでスゥ！」

　おっと、これは？
　作家の三島由紀夫さんは、
　芸術家は食べ物に関してあれこれいうべきではない、
　と考えておられた、ですって？
　
　……でも、深夜のおやつには、
　野菜煎餅をいただいていたのね。
　ウィスキーボンボンと、カボチャの種もお好き、
　伊豆下田『日新堂菓子店』さんのマドレーヌも。

「ふァ～、よかッたァ～」

　『明治』さんの板チョコレートを欠かさなかったのは、
　手塚治虫さん。
　
　写真家の植田正治さんは、お酒はやりませんけれど、
　甘いものマニアさんでした。
　彩り美しいお菓子が大好き！

「おともだちにィ、なれそゥでスゥ♪」

　『モロゾフ』さんのカスタードプリンに、
　映画監督の市川崑さんはハマりました。
　
　『空也』さんの最中は、
　女優の沢村貞子さん、
　小津安二郎さんにも好まれたお菓子。

　喜劇王の古川緑波さんは、
　……和洋問わずのスイーツフードファイター？！
　
「おォッ！　ちゃんぴィおんッ！」

　感心させられるのは、
　２０世紀の大作家さんたちに愛された多くのお菓子が
　２１世紀の現在も頑張っている！という事実です。
　作家さんたちが、
　これは美味しいなぁ、
　と思った《おやつ》は、
　本当にスタンダードな、
　何十年を経ても生き残るお菓子だったのでした。

　御本のラストで、
　澁澤龍子さんは澁澤龍彦さんの《おやつ》を語ります。
　昔風の、北区『中里』さんの南蛮焼きが大のお気に入り！
　フランス文学者なのに、
　ケーキはほとんど食べなかった……

「ええェ～ッ！！」

　作家さんたちの、優しい、
　そして思いのほか慎ましい、
　また、心の核を透かし見させてくれるような、
　甘やかな御本です。
　新年度の始まりに、
　元気をもらえちゃうこの一冊を、ぜひ！

「みんなァいッしょにィ、おやつゥたいむゥ♪」

　（ぐる～、ぐるる、ぐるるるぅ～っ！）

　……テディちゃ、また鳴ってますよ。