喫茶 輪

コーヒーカップの耳

別冊・コーヒーカップの耳 3

2019-01-15 13:49:35 | 別冊・コーヒーカップの耳
別冊・コーヒーカップの耳
~塀のうちそと~
3「深爪」

今の女と仲良うなって ちょっとしたころに気づきよった。「なに?この指!」て。両方の小指 千切れとるから そら初めて見たらびっくりするわなあ。そこでわし 言うてやった。「ちょっと深爪しただけや」て。
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別冊・コーヒーカップの耳 1「風呂」

2019-01-15 12:44:58 | 別冊・コーヒーカップの耳


別冊・コーヒーカップの耳
~塀のうちそと~
1「風呂」

その世界に入ったんは 二十二三のころでした。始めは兄貴分について教わりました。飯は親父より早よ食い終わって持ち場に戻る。外食の時は 好きなもん食え 言われても 親父より安いもんを注文する。風呂で親父の背中洗う時は 絶対に上から下向きに洗(あろ)たらあかん。こすり上げるんやと。昔 寒い時に学校でやらされた天突き運動みたいに「昇っておくんなはれ どんどん昇っておくんなはれ」ゆうて 両手そろえて上向きに洗うんです。親分が出世することは わしら子分も値打ちが上がることでっさかいに一生懸命でした。
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『なくした「手」を探して』

2019-01-15 07:55:00 | 本・雑誌
読み始めた本。

神戸の消防署職員の中蔦清吾さん(新人教育などなさっていたと宮崎翁から聞いたことがある人)が読んでみてください、と送ってきてくださった本。
『失くした「手」を探して』(小畑延子著・皓星社・2018年10月)
副題に「ある書家の旅路」とあります。
ということでこれは著者小畑延子さんの自伝。

最初の二行。
《事故が起きた。
 (略)五歳の私に両手を切断するという事故が起きた。》
そして最後に「あとがき」がわりの詩が一篇。

  出会いにつむがれた私の人生は

  ありがとうがいっぱい

  五歳の時、私は母に聞いたらしい

  「手はいつ生えてくるの?」と

  七十五歳になった今

  はっきりと答えることができる

  私には手がある

この最初の行と最終行の間にはどのようなドラマがあるのだろうか?
この本もわたしは、あっという間に読んでしまいそうだ。
 
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