服部誕さんから新詩集、『息の重さ あるいは コトバ五態』(書肆山田刊)です。
表紙絵に驚き。これは紛うことなき石阪春生さんの絵だ。
どうしてここに?と思って「あとがき」を先に読んだが触れられていない。
目次を見ると中に「女たちのいる風景」というのがあった。
読むと、やはり石坂さんの絵がモチーフになっていた。
そして本を詳細に見て行くと「注―」のページに石坂さんの略歴が書かれていた。
さらにそのページの文末に「なお、表紙装画に石阪春生氏のデッサン画を使用するにあたって、ご子息石坂吾郎氏の許諾をいただきました。茲に誌して謝意を表します」とあった。
なぜか文の最後に句点「。」がない。なにか意味が?それとも単に脱字?
ところで詩集だが、まだ少し読んだだけ。
そこまでの感想だが、「時間と空間を氏のイメージによって絵画的に表した哲学のような詩」とでもいうのだろうか。
哲学を絵にしたらこのようなものか、と思える情景が広がる。
そして、文は優れて読みやすいのだ。
これは実験的ともいえる詩集かもしれない。いや、斬新な詩集というべきだろう。
前に贈って頂いた小説集
『もうひとつの夏 もうひとつの夢』が素晴らしかった。
文章が元々素晴らしい人なのだから、哲学がテーマだといっても、その詩が読みやすいのも当然か。
ところで、表紙装画の石坂さんだが、生前の石坂さんには一度お会いしてお話をさせていただいたことがある。
氏の叔父の竹中郁さんと三島由紀夫とのエピソードを話すと「それは知らなかったなあ」と言われたのだった。
そのエピソード、今では有名になっていると思うが。
『コーヒーカップの耳』 おもしろうてやがてかなしき喫茶店