楽しみにしていた朗読会に妻と行ってきました。
神戸御影の「にしむら珈琲」の「フレンドサロン」と名づけられた小じんまりしたイベント会場。
小倉啓子さんは「劇団神戸」の主宰者。
田辺聖子さんの「姥ひや酒」を朗読、というよりも見事に演じられました。
田辺さんのユーモアが会場に漂い、くすくす笑いが何度も起こりました。
ラジオパーソナリティーの奈津陽子さんは人形作家の石井美千子さんの随想「昭和の子どもたち」を。
最初に、「皆さんは昭和を何年生きられましたか?」で始まりました。「何年生まれ?」ではなく、この質問は新鮮。
頭の中で計算。そっか、45年かと思った次第。
昭和真っただ中の空気感を懐かしく味わわせていただき、わたしは切ない思いをしました。
そうか、そんなに長くわたしは生きてきたのかと思い知らされて。
三人目がラジオパーソナリティーの久保直子さん。
ドリアン助川さんの「クジラのお母さん」。
わたしは何度か読ませていただいている作品。しかし久保さんの朗読には参りました。
本を読んだ時も感動しましたが、彼女の語りにすっかり物語の世界に浸らされてしまって。
終盤では思わず目じりに涙が。
どうやら隣の妻も感涙している様子。
こんな風に語られたら、ドリさんもさぞ満足かも。
終って、久保さんもつい思いの堰が切れたのだろう、後ろを振り向きながら自ら目じりをぬぐっておられた。
驚いたのは、解説でわたしの名前を出されたこと。
ドリアンさんと繫いだ話をされたのだ。
これは思いがけないことで恥ずかしかった。
でも行って良かった。
帰りに「にしむら」でコーヒーを。
妻と二人で外でコーヒーを飲むのは久しぶり。
妻がケーキを注文。
一人分を二人で食べようとすると、ウェートレスさんが「フォークをもう一本持って来ましょうか?」と。
「いや、僕たち仲いいので大丈夫です」と言うと、いい笑顔をなさいました。
御影の山の手。
『コーヒーカップの耳』人生の甘いも酸いもここにあり。