喫茶 輪

コーヒーカップの耳

夕暮れ忌

2012-08-04 23:05:02 | 足立巻一先生

8月第一土曜日。

例年なら今日は「夕暮れ忌」だった。

が、一昨年、第25回をもって終了した。

3年前の夕暮れ忌に、わたしは足立先生の詩をステージ上で朗読させて頂いた。

わたしの判断で「南天」という詩を読んだ。

いい思い出になっている。

  南天の実がたくさんつくと

  よいことがある

  と妻がいう。

  けさ

  わたしは七十歳になった。

  父は三十四歳で死んだ。

  だからわたしも三十四歳で死ぬ

  と思い込んでいた。

  戦場へ送られるとき

  その日が来たと思った。

  それなのに

  けさ

  わたしは七十歳になった。

  狭い庭に点々

  南天の房々の朱が照る。

  ある日、南天の朱の実は突然にすべて消え

  五月、母の二十五回忌の朝

  花軸の先端に一つずつ

  昆虫の目玉に似たうすみどりのつぼみがつき

  一つ二つ淡紅の点の花をひらいた。

  この静かな変化に耐えよ

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2 コメント

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まあ、キチント覚えてられて偉いですね。いろいろ... (natunoumi)
2012-08-09 02:52:43
まあ、キチント覚えてられて偉いですね。いろいろが1つ1つ終わっていきますね。
振り返ると懐かしい日々が…今夜は初秋の風。ちょっとマイナーな夜更けです。
返信する
natunoumiさん (akaru)
2012-08-09 08:14:03
natunoumiさん
えらい時間の投稿ですねえ!
暑い夏がやってくると思い出しますね。これは一生でしょう。
神戸、大阪の花火大会の日でもあります。「夕暮れ忌」の帰りには多くの浴衣姿の人をいつも見ました。
返信する

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