Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

番外編271. 花見酒

2017年04月10日 | field work
 藤枝市の博物館で、郷土出身の作家小川国夫の逸民忌があった。彼の随筆の一節が朗読され、そのなかに「僕が憎んで避けるのは花見酒です・・・花見の宴はごめんと言いたいのが僕です」とあった。
 だから我々は、博物館前の蓮華池公園の東屋で、地元の文化人らと多いに花見酒を酌み交わし宴を催していた。そのために私は、京都からでむいたぐらいだから。
 いつも思うが宴で桜を愛でるのは最初だけ。今年は咲くのが例年に比べて遅いですねぇー、という挨拶に始まり、あとは桜のことなんか忘れて多いに飲み語る宴である。桜が人々を集める契機となっているわけだ。
 物差しの話から始まり、天皇制に飛び火し、ついにカラスが散らかしたパンが落ちていると話題は脈絡なく続く。そんな風に、ご機嫌な時間が過ぎてゆく。人間は、宴を通じて他人との距離が近づいてくるようだ。そんな風に心地よい時間がすぎてゆく。
 陽も暮れ場所を変え、宴の続きである。さらには三次会までゆく奴がいる。そんな宴の後の空虚感を感じるのは寂しいので、私は二次会で引き上げ同級生のベンツで三河安城駅まで送ってもらった。胸やけがするぐらいだから、少し飲み過ぎた方だと思う。
 歳をとると深く酔うということがなく、それでいてミネラルウォーターで胸焼けを沈めるという、つまらない飲み方をしている自分に気がつく。つまり一気に飲むのではなく、時間をかけてダラダラ飲むようになったのだろう。夜遅く京都に戻る。

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コメント
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