Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

ZEISSの空気57. 首里城炎上、バックドラフト現象が起きたのではないか?

2019年11月06日 | Okinawa

 

 ダイビングで1週間沖縄にいた。10月31日は午後から半日ダイビングだった。

 10月31日、ハロウィーンの日の朝、首里城炎上!?、最初に気がついたのが、このgooの沖縄在住者のブログだった。そこでテレビをつけたら首里城正殿、南殿、北殿が燃えている、そしてくずれ落ちてしまった。

 テレビの画像を見ながら、建築専門家の立場で火災の原因を考えていた。

 建築設計の経験がある人間ならば誰しもが原因は電気だとすぐに察しがついただろう。というのも火気を全く使用しない建築群であり、夜間城門が閉められるから、失火や放火の可能性はない。

 そして2つの原因が連続して発生したと考えられる。

 1つめの原因は、前夜までイベントの準備をしていたとメディアは報じていたから、投光器などを使用したことで過電流となりジュール熱が発生し、電気配線や設備がくすぶりだしたのだろうと考えた。これだけならば、2時間ほどくすぶり一酸化炭素が充満するか、一部の火災程度ですんだ可能性もあるだろう。首里城建築群自体は文化財ではないと記憶しているので、電気配線が建物内を走っていたのだろう。

 2つ目の原因は、火災報知器が鳴り出したので、ガードマンが消化器をもって正殿左側のシャッターを開けたことにより、密閉された正殿内にフレッシュエアが一気に入り込み、バックドラフト現象を引き起こしたとする考え方ができる。これによって、それまでくすぶっていた火が爆発的に拡大した。

 バックドラフトとは、密閉された空間に一酸化炭素がたまった状態の時に窓やドアを開閉する人間の行為によって、新鮮な酸素が外部から供給され爆発的な火災となる現象である、それはガス爆発といってもよい状態だろう

 従って正殿内にくすぶっていた一酸化炭素が一瞬にして爆発的火災となり、一気に正殿全体に火がまわったとする考え方である。こうした爆発的火炎になると、もう消防の力では消すことができない。あとは燃えるにまかせ、消防にできることは精々延焼を防ぐ程度しかできない。結局奉神門のある建築を1/3ほど延焼して火勢は止まったが、すでに11時間燃え続け、正殿、北殿、南殿、二階殿などの主要な建築群を焼失していた。

 火災時にスプリンクラーがついていないことがメディアで報じられたが、スプリンクラーは天井居室側につけるので、天井裏でくすぶっているときは有効ではない。さらに電源を喪失しているのだから、屋外放水銃や室内テレビカメラは早い時期に使えなかったはずだ。それよりは臭いをかぐべきだった。カードマンがシャッターを開けたことによりバックドラフト現象を引き出してしまったのではなかろうか。いずれ政府の公式調査報告書がだされるであろうから、正しい理解は、それを待ちたい。

 やはり正殿は密閉性が高い上に文化財を展示していたので、博物館などの収蔵庫として考えるべきだったのだろう。消化方法は二酸化炭素の注入であり、設備として二酸化炭素消化器を備え付けておけば初期消火が可能だった。

 かくして日本政府が所有する首里城は焼失してしまった。だが建築設計図が残されているので2年程度で復元できるだろう。それよりも400点ほどの沖縄の文化財が消失したとメディアは報じていた。そうであれば、これは永久にもどらない。こちらの方が痛い。

 そんなことを火災当時、那覇で考えていた。尚掲載した画像は過去画像を取り出し、今回、同位置から撮影した画像と並べてみた。


沖縄県那覇市

SONY α6000、Carl Zeiss Vario-Tessar E 4/16-70mm

1)ISO100,焦点距離70mm,露出補正0,f/8,1/350、2019年11月5日撮影

2)ISO100,焦点距離70mm,露出補正+0.3,f/9,1/250、2018年9月9日撮影

3)ISO100,焦点距離70mm,露出補正-0.5,f/8,1/250、2019年11月5日撮影

OLUMPUS E-M1 Mark2、M.ZUIKO DG12-100mm/F4.0

4)ISO3200,焦点距離100mm,露出補正-3.7,f/5.6,1/30、2018年11月12日撮影

 

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