Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

Fisheye24. 海洋生態学、それに法律

2019年11月27日 | diving

 

 ダイビングで何をしているか?

 水の中で撮影ばかりしているわけではない。つまり水の中のことなんか人間は大して知らないのだから、ここに勉強するおもしろさがある。教授することを仕事にしてきた人間が、実は反対の立場の教わる面白さを再発見したというべきか。そんな勉強を必要とする知的なところが、私が長く続けている理由かもしれない。

 PADIのカリキュラムでは、いくつかの水中を勉強するブログラムがあり、ファンダイバー達の関心に応じて水中などでレクチャーをしていたりする。

 さしあたり勉強のとっかかり、先ずは水中の生物との出会いから。

 関心があろうとなかろうと水中の生物から、そのバックグラウンドにたどり着いたらしめたものである。そもそも海洋生態学などという学問がようやく芽生えた頃だから、まだわからないことの方が多い。

 人間は、これまで食用に供する魚については研究をしたし、国民の関心も食用マグロだったり、ウナギが養殖できないかといった世俗的な話ばかりであった。そもそも食用の魚の飼育方法を発見したからといって、そんなことは水産飼育技術の話であって、とても研究の世界とはいいがたい。

 だから、その背後にある海洋環境については、地上ほどには理解も解明もされていない。35億年の競争、適応、進化が刻まれている海洋だからこそ人間が恩恵を受けている部分は多いはずだが。

 さて視点を変えて、国立公園である慶良間諸島でダイビングしている水中で魚を捕まえ地上である船に持ち帰ったらどうなるか。自然公園法と漁業法とこれに基づく漁業調整規則に違反し、6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金となる。海藻や貝でも同様に漁業法違反に問われる。もちろん死んだ珊瑚のかけらでも地上に持ち出せば同様の犯罪となるとWEBに書かれていた。WEBには、依拠が書かれていないので本当かと疑問が生じる?、勉強してみよう。

 日本の領域の海はすべては漁業法によって都道府県の管轄下に置かれ、漁業権が確立されており、申請があった漁協に漁をする権利を与える許可制である。だから漁の捕り方も、範囲も、下位の漁業調整規則によって細かく定められている。

 海は厳しく法律や規則が定められていることは事実だ。だからダイビングで、まれに研究や勉学の目的で魚にさわりこそすれ、逃がしている。また研究では例外的にサンプルとして採取する場合もあるが、他方でお持ち帰りするダイバーは皆無である。

 漁(りょう)の概念について整理しておくと、漁業法第2条1項では、「漁業とは、水産動植物の採捕又は養殖の事業をいう」、とある。採捕という言葉の概念は幅広いが、法文は、A又はBの事業をいう、とする構造だから事業はAとBの両方にかかる構造だ。従って採捕と養殖をし、なおかつ事業に供することが漁になる。

 従って漁業法の解釈からすれば、業としないフィッシングは可能になる。せいぜい民法上の権利者の同意程度か。さて、私が潜る慶良間諸島は、自然公園法で規定されている海の国立公園でもある。それが国立公園第1種地域であれば、珊瑚の死骸であっても持ち帰ることはできないばかりか、あらゆる改変が不可となる。その典型例が中部山岳国立公園の上高地。この地域全体が国立公園第1種地域だから、ホテルの窓に木の枝がかかったといっても、それを勝手に切り払うこともできない。もちろん上空からチェックされています。

 つまり慶良間諸島では、少なくとも2つの法律が適用される。特にWEBに書かれてあった罰則は、おもに後者の適用であって、それが前者の内容と抱き合わせになって不正確に理解されるという、一般的にはよくある話だ。WEBを検索すると不正確な情報が最初に大量に検索されるので、巷の論拠がとれない噂話の拡散装置だね。

 そんな海洋生態学と法律のバックグラウンドを意識しつつ、広い海のホンの小さな一角へ出かけて勉強してゆくのがダイビング。だが何故か私もダイビングをすると刺身が嫌い気味になる!。

 

沖縄県慶良間諸島

GoPro7、INON水中セミフィッシュアイコンバージョンレンズ UFL-G140 SD

1)ISO346,焦点距離3mm,露出補正0,f/2.8,1/472

2)ISO593,焦点距離3mm,露出補正0,f/2.8,1/247

3)ISO759,焦点距離3mm,露出補正0,f/2.8,1/962

 

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