インディアンレッドの絵の具が切れていた。アチキにとっては、特色だから普段あまり使わないが、といってないのも不便だ。ならば画材屋に行こう。夕方だから学校帰りの明菜ねえちゃんがバイトをしている頃だろう。
・・・
明菜「めずらしい色じゃん。こんなの使うの?」
「たまに使う。前に買ったのは1年以上前だね。だからあまりつかわない。ところで今日はネタはないの?」
明菜「圭子の続編ならあるよ」
「ああっ、お母さんがAVの熟女シリーズのモデルさんという話ね」
明菜「そう、圭子も彼氏ができたじゃん。それから母親を客観的に見られるようになったんだって・・・」
「それまでは親子喧嘩していたんだったっけ。それが客観的?」
明菜「時々彼氏と、母親が出ているAVを一緒にみているんだって」
「つまり母親を批判的に見ている?」
明菜「そう。だって母親がAVのなかで悶えながら『太いおちんちんをくださいとか、もっと突いてください』とかいってるわけ。圭子は馬鹿にしながら彼氏とみているんだって。それが圭子のストレス発散かなあ・・・。私だって吹き出すわねぇー(*^▽^*)」
「母親の権威失墜!」
明菜「そうよ。だって圭子のことを、遊んでないでもっと勉強しろとか、夜遊びするなとか・・・、いろいろうるさかったわけ。そういう母親が『太いおちんちんください』だもん。更年期が近づいてきた女の焦りだろうと馬鹿にしている。親の化けの皮が剥がれたわけね(*^▽^*)」
「で、娘は母親の出ているAVをみているなんて知らないんだろう!」
明菜「もちろん知らぬは親ばかり・・だもん。だってAVにでているときは、ものすごいメイクしてわからなくしているのよね。それでも娘にはわかっちゃうじゃん。いずれ『AVみたよん』、といって脅すかもしれないねぇー。だってハパもしらないしさ・・・。きっとママは、パパをつなぎ止める事はしなかったし、それで欲望むき出しに変身したんだろうって圭子は言ってた。」
「それが客観的に見られるようになった成果だねえ。パパは不倫に没頭しているから興味ないんだろうさ(*^▽^*)」
明菜「冷え切った仮面夫婦だもんね」
「つまりそれで落ち込んでいた圭子さんが精神的に立ち直ったわけだ」
明菜「まあ、そうだねぇー・・・。なんかお母さんはAVにでるようになってから綺麗になったらしいよ。お父さんは何も知らない(*^▽^*)」
「知らぬが幸せ家族なんだ・・・」
明菜「そうだねぇーー」
・・・
インディアンレッドの絵具を胸ポケットにいれて家路につく。
小樽の街は陽が暮れる時間が早くなってきた。