さて明治の都市の3DCGをつくるか・・・。
あらこの都市は都市地形図が1/25,000しかない。建築系CGの制作だから1/100スケールでつくるとなると敷地の精度が求められる。となると公図を使わざるを得ない。
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一般に個人が関与するのは精々一つの敷地ぐらいだし、それがマンションだといっても精々公図2枚ぐらいの世界だ。だが数ブロックの街区をつなぐ沿道全てを敷地図化とするとなると複数の公図をつなぎ合わせる複雑な作業になる。計測したら57枚の公図が必要になった。
現代の公図をもとにして明治中期の街を復元しようというわけだ。そのときベースになるのが公図に基づく街全体の敷地図である。そして現在の公図から筆の単位を考察しながら、明治の敷地図へと戻してゆく作業になる。土地の正確な大きさというのは、明治も現代も街の大きな土地の面積は変わらないのである。だから研究資料として使う事が出来る。
そうなると最初に一部の公図をとり、これから縮尺をあわせて欲しい公図のエリアを指示できる発注用の図面をつくる必要がある。これを京都市内の法務局に持ち込み職員と相談になる。
私のペーパーをみて、老練な職員が出てきて即座に内容を理解し引き受けてくれた。こういうとき頼りになるのは、やはり老練な職員の老人力である。多分老練な職員はパソコンを巧みな手さばきで操作し私の要望に応えてくれるだろう。
本来なら私が57枚に及ぶ公図の中央の地番を探り当てる作業をしなければならない事を覚悟していたが、ここは老人力に期待しよう。さてどうなるか・・・
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三日後に私のスマホに電話があったので法務局へ出かけた。私が作成した57公図の発注用図面をもとに、老練な職員が新たに57公図の作業用の地図を起こし、そこには紙片に酷使したあとがうかがわれ、複数のラインマーカーと線が重なっていた。そして各公図は少しずつ重ねてあり余白の出ない取り方をしてくれたうえに、57枚の公図を47枚分の印紙代に節約してくれた。
これは公図請求した地番を中心に出力するためである。この地番が一枚の公図に納まらないときは複数出力されるが費用は1枚分の価格で済むという公図出力の性格に由来する。つまり請求した一つの地番で450円の印紙代という単位だ。老練な職員は道路の地番で検索してくれたので、複数枚にわたる公図になっても1枚分の価格になるため、46枚分の印紙代で当初の57公図が入手出来た。私は巧みな対応をしてくれた職員に頭を下げた。
申請した公図は町名毎に整理され、さらに公図に鉛筆書きでナンバリングされ、すぐに研究資料として使える体裁に整理してくれた。やはり老人力の実力を見せてくれた。研究者の心を知る職員に感謝した。
帰りにオフィスコンビニに公図を持ち込み、整理されているからそのままオートシートフィーダに公図を投げ込み、スキャンして容易にデジタル化でき、即研究資料として使う事が出来る。大変効率が良い作業だった。
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