先週話題にした「Hi-Fi Ellington Uptown」は、テーマ曲である「A列車で行こう」が収録されている。エリントンのソロに続いてベティ・ローシェ、次いでポール・ゴンザルベスのうっとりするフレーズから一気にクライマックスのエンディングに持っていくスタイルだ。このバージョンが特に印象深いのはこのローシェにある。♪Hurry! Hurry! Hurry! TAKE THE A TRAIN! The findest quickest wayto get to Harlem・・・1コーラス歌ったあとスキャットに入るのだがこれが凄い。
意味のない音を即興的に歌うのがスキャットなのだが、それに詞がふられているかのようなストーリー性がある。豊かな感性がなせるわざだ。これで一躍有名になったローシェは56年、ベツレヘムに同タイトルのリーダー作を吹き込み再唱している。コンテ・カンドリやエデイ・コスタを中心にしたスモール・コンボがバックなのでビッグバンドとは一味違う趣があるものの、スキャットに迫力がない。再演が初演を超えた例は少ないと言われるが、それである。さらに看板曲だけならまだしも「In A Mellow Tone」や「Route 66」でも同じようなパターンでスキャットに持ち込む。セールスポイントをアピールするのもわからなくはないが、少々耳につく。
そんな鬱憤を晴らしてくれるのが61年のプレスティッジ盤「Lightly And Politely」だ。バックはプレスティッジの傍系レーベルTru-Soundに「Misirlou」の傑作を残しているジミー・ニーリーが率いるカルテットで、1曲だけ短いスキャットを入れているものの歌詞をかみしめるようにスタンダードをじっくり歌っている。43年にカーネギーホールで「Black, Brown and Beige」の「Blues」を最初に歌ったシンガーだけあり堂々としているし、ソフィスティケートされた表現力はさすがだ。特に「I Got It Bad」はエリントン楽団の先輩シンガー、アイヴィー・アンダーソンに負けず劣らずの名唱といっていい。
エリントンは自伝「A列車で行こう」(晶文社)で、ローシェを評して「歌詞を加えたりして彼女が行なったフレージングの多くは、インストゥルメンタルな装飾楽符同様にすぐれたものだった。一例をあげると、『A列車で行こう』の歌い方はオリジナルなレイ・ナンスのトランペット・ソロと同じように古典的である」と。太鼓判を押した「A列車で行こう」のスキャットは、この曲を歌うときのバイブルといっていい。美空ひばりもローシェをお手本にしていた。
意味のない音を即興的に歌うのがスキャットなのだが、それに詞がふられているかのようなストーリー性がある。豊かな感性がなせるわざだ。これで一躍有名になったローシェは56年、ベツレヘムに同タイトルのリーダー作を吹き込み再唱している。コンテ・カンドリやエデイ・コスタを中心にしたスモール・コンボがバックなのでビッグバンドとは一味違う趣があるものの、スキャットに迫力がない。再演が初演を超えた例は少ないと言われるが、それである。さらに看板曲だけならまだしも「In A Mellow Tone」や「Route 66」でも同じようなパターンでスキャットに持ち込む。セールスポイントをアピールするのもわからなくはないが、少々耳につく。
そんな鬱憤を晴らしてくれるのが61年のプレスティッジ盤「Lightly And Politely」だ。バックはプレスティッジの傍系レーベルTru-Soundに「Misirlou」の傑作を残しているジミー・ニーリーが率いるカルテットで、1曲だけ短いスキャットを入れているものの歌詞をかみしめるようにスタンダードをじっくり歌っている。43年にカーネギーホールで「Black, Brown and Beige」の「Blues」を最初に歌ったシンガーだけあり堂々としているし、ソフィスティケートされた表現力はさすがだ。特に「I Got It Bad」はエリントン楽団の先輩シンガー、アイヴィー・アンダーソンに負けず劣らずの名唱といっていい。
エリントンは自伝「A列車で行こう」(晶文社)で、ローシェを評して「歌詞を加えたりして彼女が行なったフレージングの多くは、インストゥルメンタルな装飾楽符同様にすぐれたものだった。一例をあげると、『A列車で行こう』の歌い方はオリジナルなレイ・ナンスのトランペット・ソロと同じように古典的である」と。太鼓判を押した「A列車で行こう」のスキャットは、この曲を歌うときのバイブルといっていい。美空ひばりもローシェをお手本にしていた。
「I Got It Bad (And That Ain't Good) 」は、ロスで初演された黒人だけのレヴュー「Jump For Joy」のためにエリントンが作曲してポール・フランシス・ウェブスターが詞を付けた曲です。エリントンの名バラードですのでヴォーカル、インストとも多くの録音がありますが、今週はヴォーカルでお気に入りをお寄せください。インストは機を改めて話題にします。
管理人I Got It Bad (And That Ain't Good) Vocal Best 3
Ivie Anderson / Jump For Joy (RCA)
Frank Sinatra / A Swingin' Affair (Capitol)
Eden Atwood / Turn Me Loose (SSJ)
他にもエラ・フィッツジェラルドをはじめサラ・ヴォーン、ペギー・リー、カーメン・マクレイ、ニーナ・シモン、ローズマリー・クルーニー等々、多くの録音があります。
アイヴィー・アンダーソンの音源は多くのレコードやCDに編集されて発売されております。所有はBMGファンハウスから発売されたCDです。
ローシェのこのアルバムはレコードで探していたのですが、手に入らず中古CDで購入しました。91年にビクターから出たものです。
今週も皆様のコメントをお待ちしております。
Duke Ellington - Ivie Ivy Anderson - I Got It Bad And That Ain't Good
https://www.youtube.com/watch?v=iJfII6gcVCo
若き日のエリントン、美女に囲まれてご満悦です。
ボーカルといえばソウルやブルースばかりでジャズは主にインストを主に聴いている私ですが、いくつかジャズ・ボーカルの愛聴盤もあります。
ソニーからの2枚組CD「Duke Ellington presents Ivie Anderson」が好きで、更にアイヴィー・アンダーソンを聴きたくて入手した
・I Got It Good & That Ain't Bad (Jasmine)
というCDに同曲が収録されています(CDタイトルもその曲名のもじりですし)。活動期間はあまり長くなったようですが、テクもフィーリングも申し分ない素晴らしい歌い手でしたね。
アイヴィー・アンダーソンがお気に入りでしたか。2枚組CDは聴きごたえがあるでしょう。アイヴィーはエリントン楽団の女性シンガーのスタイルを確立した人ですので、その後のシンガーへの影響力は大きかったようです。話題にしたベティ・ローシェもその影響があります。活動期間は10年ほどですが、活動の割に録音が少ないですので今となっては貴重です。この曲ではジョニー・ホッジスにも注目です。
こんばんは。
エリントンナンバーは皆が歌いますが、この曲はじっくり歌い切ったものがいいですね。
自分のお気に入りは、ブログでも紹介しましたが・・
http://blog.goo.ne.jp/yan111949/e/023b7e3209d8d3047d201a3af673b751
ヘレンヒュームズのコンテンポラリーでのデビュー盤(といっても40を過ぎているようですが)Tain’t Nobody’s Biz-ness If I Doの中の一曲。
歌はもちろんですが、バックが当時のコンテンポラリーオールスターズで最高です。単なる寄せ集めではなく、ベニーカーターがきっちりまとめています。
お題のI Got It Badでは、アンドレプレビンのピアノが絡み、カーターのミュートトランペット(これも珍しい)がアシストし、そしてロソリーノのトロンボーンのソロへと・・・。
どうもバックの話になってしまいますが、ベイシーオーケストラを辞めて鳴かず飛ばずであった彼女をこのアルバムで本来のスイングスタイルに再生させたのは、このカーターのアレンジとバックのお蔭と言われています。
カーターが全曲いつものアルトを置いて、トランペットに終始したのも何か意味があるのかもしれませんが?
熱烈なメル・トーメ好きではありますが、今回は…
Eydie Gorme / Eydie Swings The Blues(Paramount)
Mel Torme / It's A Blue World(Bethlehem)
Joni James / I Feel A Song Coming On
イーディ・ゴーメがいきなりアカペラで歌い始め、終盤はオーケストラのダイナミックな演奏と彼女のブルージーなフレージングが何ともカッコ良いです。
ベティ・ローシェの参加しているアルバムは家に無いと思っていたのですが、たまたま人に貸す約束をしたCDを引っ張り出してよく見たらベティ・ローシェとデューク・エリントン・オーケストラも参加している物でした。
ちなみにベツレヘムの『Mel Torme & Frances Faye / George Gershwin's Porgy & Bess』です。
お題とは無関係な余談になりますが、午前十時の映画祭で2月に『死刑台のエレベーター』が上映されるので、初めて観る予定です。
その前に今週はシアターキノで気になる映画『フランス組曲』を観る予定です。
この曲は数あるエリントン・ナンバーでもセンチメンタル・ムードと並ぶ傑作ですので、じっくり歌い上げるほうがいいでしょう。
ヘレン・ヒュームズがありましたね。40歳を過ぎてからのデビュー盤ですが、声は少女のようです。容貌は若いころからオバサンでしたが(笑)
豪華メンバーをバックに気持ちよさそうに歌っておりますし、カーターの力の入れようも伝わってくる好盤です。
ヒュームズがベイシー楽団にいた時代はワーデル・グレイも在籍していており賑やかだったことでしょう。ヒュームズがバンドを去ったのは、ベイシーの奥さんにベイシーとの関係がばれたからと言われておりますが、潔く辞めたのは立派です。どこぞの芸能人は不倫がばれてバカな謝罪をしておりました。
イーディ・ゴーメがありましたか。「恋はボサノバ」やCMに使われた「ギフト」で、日本ではボサノバ・シンガーのイメージが強いですが、スタンダードを表情豊かに歌えるスケールの大きな歌手です。ポピュラーではなくジャズヴォーカルの世界でも成功したかも知れません。
そして、大好きというメル・トーメ。これ海岸のジャケでしょう。持っていないですね。確かベツレヘム移籍第一作だと思いますが、何を歌っても上手いシンガーですので、これも及第点でしょう。
ジョニ・ジェイムスも歌っていましたね。数あるジョニのMGM盤でも一番ジャジーですので、ジャズファンにも人気のあるアルバムです。ハワード・ロバーツのギターがいいですね。
LP3枚組のベツレヘム超大作は持っておりませんが、ベティ・ローシェが入っておりましたか。エリントン楽団のローシェは貴重です。
「死刑台のエレベーター」が上映されるのですね。ビデオで何度も観ておりますが、スクリーンで観たいですね。そして「フランス組曲」、面白そうです。お楽しみください。先週、「ザ・ウォーク」を観ました。高所恐怖症の方にはお薦めできません。
今週は、バタバタとしていて木曜日になってしまいました。この曲はヴァージョンが多すぎていくつも聴きましたが、消化不良気味です。好みもいれて、次の3つで。
①Frank Sinatra / A Swingin' Affair (Capitol)
②Peggy Lee / エルマーズ・チューン(日本編集 CBS)
③Nat King Cole / With George Shearing (Capitol)
アイヴィー・アンダーソンのものは、エリントン楽団なので、殿堂入りさせました。シナトラは、軽めにスイングしていて、べとつかずいい感じ。ペギー・リーは、ベニー・グッドマン楽団をバックに歌ったものですが、艶のある声で、さらっと軽快に歌っていて、好きなヴァージョンです。3つ目はジョー・スタッフォードと迷ったのですが、スタッフォードはちょっとこねくり回しているので、バラードのキング・コールにしました。イーデン・アトウッドのCDも改めて聴いてみましたが、現代的な編曲が印象的です。
お忙しいなかベストの選出ありがとうございます。
アイヴィーを殿堂入りさせてシナトラがきましたね。滅多に男性シンガーを挙げない私でも納得の名唱です。
そして、ペギー・リー。1941年から42年のグッドマン時代の録音ですね。「A Portrait Of Peggy Lee」というタイトルで出たもので持っておりますが、若いながら貫禄があります。このアルバムからは「Blues In The Night」を話題にしましたがペギーのブルースに唸ります。
ナッキンコールもいいですね。甘い声と柔らかいストリングスにアクセントをつけるシアリングのピアノが引き締めております。
イーデン・アトウッドは最近のものではベスト・レコーディングといえるでしょう。三具さんのライナーの言葉を借りると「ヴァースから丁寧に歌いこむイーデンの解釈の深さとパワーが際立つ」名唱です。
I Got It Bad (And That Ain't Good) Vocal Best 3
Frank Sinatra / A Swingin' Affair (Capitol)
Helen Humes / 'Tain't Nobody's Biz-ness If I Do (Contemporary)
Eydie Gorme / Eydie Swings The Blues (Paramount)
アイヴィー・アンダーソンは殿堂入りです。多くの名唱がありますのでトップは割れましたが、シナトラが人気でした。
他にもイーデン・アトウッドをはじめメル・トーメ、ジョニ・ジェイムス、ペギー・リー、ナット・キング・コール等が挙がりました。皆個性際立つ歌唱です。
今宵はお気に入りのアイ・ガット・イット・バッドをお楽しみください。