バス運転士のち仕分け作業員のち病院の黒子 by松井昌司

2001年に自分でも予想外だったバス運転士になり、2019年に某物流拠点の仕分け作業員に転職、2023年に病院の黒子に…

定時運行の朝は…

2012年03月14日 17時32分13秒 | バス運転士

今朝は、某バスターミナルから某駅まで行き、そこから某果樹園との往復を走ったのだが… 通勤時間帯の私にしては珍しく(?)ほとんど遅れなかった。それどころか、何度も時間調整停車をしたくらいだった。

まず… 最初のバスターミナルの発車時刻と、そこの出入り口の青信号が一致して、時間通りに走っていくことが出来た。すると… 二つ目のバス停と三つ目のバス停の中間地点あたりの歩道上を一人のおじさんが走っていた。こちらをチラチラと振り返りながら…

しかし「ちょっと距離があるなぁ~」と思った私は、その時点では「待つか、待たないか」の結論が出せなかったので、普通に三つ目のバス停で止まった。4名の乗車が完了した後、左のミラーを見たけれど、街路樹などに邪魔されて、おじさんの姿を確認できなかった。

私は「乗客じゃなかったのかなぁ… どうしようかなぁ…」と迷ったが、50mくらい前方の信号が赤になったばかりだったので、とりあえず扉を開けたまま待つことに… すると、おじさんは一所懸命に走ってきて「ハァ… ありがとフゥ…」と言いながらバスに乗った。

それから約90分後… いつもは踏切渋滞にはまるところ、なぜか今日はスイスイと行けてしまい、次のバス停で時間調整停車をした。実は、そのバス停の発車時刻を20秒ほど過ぎていたのだが、「今朝の車の少なさを考えると、この先の“バス停間の時間を余分に取ってある”区間で何度も時間調整停車をしなければならない… ならば、ここの発車を少し遅らせてみよう」と思ったのである。

2~3分後、「お待たせしました。発車します」と言って走り出し… 50~60m前方に見えてきた次のバス停には人影もなく、私は「とりあえず、ここは通過だな」と思ったのだが… その時、バス停手前の交差点の“右斜め前方角”に一人の高校生が立っていることに気が付いた。

私は「乗客か否か」を判断するために、彼女の顔を見ながら交差点を通過… 彼女も私の顔をジッと見ていたが、これといった動きはなかった。しかぁ~し、見つめ合う二人が恋に落ちるには充分すぎる時間であった…(アホかオマエは! なに言っとるんだ??? あぁ、いつもの病気か…)

恋に落… 否、判断に迷ったままの私はバス停で止まり、右のミラーで彼女の動向をうかがった。すると、ソワソワと足をバタつかせていたので、私は「まちぎゃーにゃー! 乗客だがや! いつまでも待っとるでぇ~」と腹をくくって「発車までしばらくお待ち下さい」と言った。

ただ“彼女が道路の反対側から無理して渡ろうとして事故に遭うこと”だけが心配だったのだが、何事もなくバスに駆け込んできて「好きです」と言っ…(言ってねぇよ! 「すいません」と言ったんだよ! このボケが調子に乗りやがって…)

ま、ま、冗談はさておき… 今朝、私が“待つことができた”のは、時間的余裕はもちろんのこと、それに伴う“精神的余裕”があったからに他ならない。もしも、最初のターミナル発が赤信号だったら… 踏切渋滞で遅れていたら… 精神的な余裕がなくて、彼らを待たなかったかもしれないのである。えっ!? それだったら、バスが遅れて“二人ともバス停にいた”だろうって? あ、あ、あははぁ~