先日、某駅を出て最初のバス停に人影が見えたので、「○○停、止まります」と言いながら左ウインカーを出し、バスを減速させたのだが… バス停には自転車が置いてあり、その人影(お爺さん)はバス停に向かってペンを走らせていた。
どうやら時刻表を書き写しているらしいと分かったのだが… 「止まる」と言ってしまったし、まだ時間に余裕もあったし… それよりも何よりも“万が一”ということもあるので、私はバスを止めて前扉を開けた。
しかし、お爺さんは黙々と時刻表を書き写し続けていた。私が「よろしい…」と声を掛けると同時に、お爺さんは「乗らない」という意味で手を振ってくれたので、私も「…ですね」と続けた。
発車してすぐの緩やかな左カーブを抜けると、次のバス停に人影を見つけた。私は再び「△△停、止まります」と言ってしまったのだが… やはり自転車が置いてあり、これまた一人のお爺さんが時刻表を書き写しているようだった。
私は“その先の青信号の誘惑”を断ち切り、万が一の場合を考えてバスを止めた。そして、前扉を開けて「よろしい…」と声を掛けたのだが、そのお爺さんは一心不乱に書き写し続けていたので、私は「…ですよね」と言いながら扉を閉めて発車した。
こんなことが二度も続くのは珍しいことなので、「もしも、こんなことが三度も続いたら… きっと何かいいことがあるぞ!」と思ったのだが… 残念ながら、三つ目のバス停では一人のおばさんが普通に乗ってきただけだった…
そして今日… 某始発地点でお婆さん一人だけを乗せて、「××駅行きです~」と案内をしてから発車した。すると、すぐに「ピンポォ~ン!」と降車ブザーが鳴り、お婆さんは一つ目のバス停で降りてしまった。
私が中扉を閉めて発車しようとした時、前方から走ってくる女性に気が付いた。私は前扉を開けて「××駅行きです」と案内して、その女性一人だけを乗せて発車した。
すると、またもやすぐに「ピンポォ~ン!」と降車ブザーが鳴ったので、私は「えっ!? また一区間で降りるの? そっか… 今日こそ“三度連続”があるかもしれない! もしもあったら宝くじを買うぞぉ~」と思った。
次のバス停で、女性は「ありがとうございました」と言いながら降りたのだが… 残念ながら、乗客は誰もいなかった。私はいつも以上にキョロキョロと周囲を見回したが、人の姿さえも確認できなかった。そこで私は…
「えぇ~い! こうなったら、誰かが乗るまで待つか? いや、普通に遠くまで乗られては意味がない。次のバス停で降りてもらわなきゃ困るんだよなぁ… そうだ! バスと同じ方向へ歩いている人を勧誘すればいいんだ! お金は私が払うからと言って!」などと考え… ないない!