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幻の時刻表(曽田英夫)

2005年06月03日 01時00分00秒 | 
<金曜は本の紹介>

幻の時刻表

 戦前の時刻表を基に、今では「幻」と化した路線の面影をたどる試みです。

 第1章では、幻の「東京発パリ行き」ということで東京からパリまで昭和12年1月にタイムスリップした気分で紙上旅行を味わえます。

 東京から下関で関釜フェリーに乗って釜山に渡り、朝鮮の鉄道からシベリア鉄道に乗り換えて、モスクワ、ワルシャワ、ベルリン、パリへと行きます。

 シベリア鉄道内部については「林芙美子」の「三等旅行記」を引用していますし、夢の超特急「あじあ」についても詳しく書かれています。当時の状況が分かりなかなか面白いです。

 そして気になるお値段ですが、東京~ロンドン旅客運賃は1等795円、3等390円で現在の価値でそれぞれ159万円、78万円とのことです。

 なお、「林芙美子」の「三等旅行記」では下関~パリで3等の寝台券なし・食事あり・チップなどありで約379円25銭とのことです。

 第2章以降は、日本本土国内線の話や沖縄の話、台湾の話、樺太の話などもあります。鉄道ファンにとってはたまらない一冊だと思います。お勧めな一冊です。





第1章 幻の「東京発パリ行き」時刻表
 ・昭和12年1月
 ・「富士」と「櫻」
 ・食堂車とシャワー
 ・社内のマナー
 ・大陸への入り口-関釜連絡線
 ・「ひかり」と「のぞみ」
 ・朝鮮の鉄道
 ・理想の都-新京
 ・エキゾチックな都会-ハルピン
 ・鉄道会社という名の権力機関-満鉄
 ・夢の超特急「あじあ」
 ・放浪作家が描くシベリア鉄道の内部
 ・革命から20年後のモスクワ
 ・第2次世界大戦前夜のベルリンとパリ
 ・帰路もまた長旅
 ・〆ておいくら?
【コラム】日本の時刻表史①

第2章 本線-支線「逆転」物語
 ・本線と支線の区別がなかった
 ・遠回りしていた東海道線
 ・人が押す鉄道
 ・貫一、お宮はどうやって熱海へたどり着いたのか
 ・国に吸収された軽便
 ・支線に「転落」した御殿場線
 ・日豊本線と肥薩線
 ・廃線めぐりのメッカ-志布志線
 ・住民の願い叶わず廃線-妻線
 ・国鉄とともに終焉-古江線、山野線
 ・長崎本線と大村線
 ・山陽本線と柳井線
 ・エリート、転落す
【コラム】東海道線の「渡し船」

第3章 消えた盲腸線をたどる
 ・戦争と鉄道
 ・有馬を一大温泉地へと発展させた路線
 ・公営ギャンブルの聖地どうしを結ぶ路線
 ・廃線ウォッチング①-下河原線
 ・スワローズファンを三カ月だけ運んだ路線
 ・廃線ウォッチング②-武蔵野競技場線
 ・SLの運行が往時の面影を留める-川俣線
 ・冤罪事件の舞台
 ・盲腸線に出戻り-札沼線
 ・盲腸が二つある線-興浜線
 ・AB線
【コラム】時刻表でたどる森鴎外の小倉行第

4章 「国鉄」になった私鉄たち
 ・戦中に強制的に国有化
 ・「強盗」と「ラッパ」
 ・南部鉄道から南武線、五日市線へ
 ・青海電気鉄道が青海線に
 ・幻のまま国有化された私鉄-奥多摩電鉄
 ・革新的だった「宮電」
 ・秋保電気軌道と松島電車
 ・南海を国有化しそこねたことから生まれた阪和電鉄
 ・関西の私鉄に伝統のサービス合戦
 ・相模鉄道が相模線に
 ・飯山鉄道が飯山線に
 ・社長としての田中角栄
【コラム】日本の時刻表史②

第5章 日本の旧領土などを走っていた路線
 ・沖縄にも電車があった
 ・今こそ路面電車の復活を!
 ・台湾の鉄道
 ・中華民国の鉄道
 ・樺太の鉄道
 ・樺太で傷心を癒した宮沢賢治


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<今日の独り言>
 14ヶ月の息子に初めてすべり台を滑らせました。うれしそうでしたね^_^)

コメント (2)
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