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江戸・東京の地理と地名(鈴木理生)

2007年03月30日 01時00分00秒 | 
<金曜は本の紹介>

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 この本は東京の地理と地名についてまとめられた本で、地図なども多くかなりビジュアルにも作られています。

かなり大昔の内容もありますが、ほとんどは徳川家康が江戸へ来た頃の話から、明治時代、大正時代、昭和の頃の話です。

 特に東京に住んでいる人にとっては由来など分かって感慨深いと思います。

分かりやすく、詳しくまとめられていて良い本だと思います!とてもお勧めです!

以下は、この本の中で私が面白かった内容です!!


・約1万年前の縄文後期の東京地方は、おおむね武蔵野台地の麓が海の波打ち際で、東側の東京下町低地の大部分は海だった。つまり、北・台東・千代田・港区の東部、中央区の一部と、品川・大田区の東部、及び隅田川以東部の足立・葛飾・墨田・江東・江戸川区などは海面下だったのである。ちなみに、今の東京で当時の海岸線を想像するには、JR京浜東北線の沿線が便利だ。この線路は台地と低地の境(かつての海岸線)を選んで敷設されているからである。赤羽-上野間、田町-品川-大森間の西側に堀のように続く崖が、武蔵野台地の東端であり、かつての海岸線の名残を示している。

・徳川幕府は、1604年6月1日に全大名に江戸城大増築の計画を示し、各地の大名は、天下普請の名のもとに江戸城の石垣工事を割り当てられた。具体的には江戸前島の東西に船入り堀を掘り、外堀を経て築城用の石を運び上げ、石垣を積んでいくもので、この城郭の工事には、1つが3~4トンもある石が数万個必要だった。実は江戸城の石垣の石の大部分は、小田原から伊豆半島の伊東にかけての海岸沿いの石山から切り出され、江戸まで運ばれたものだ。なお石垣の石1個ずつを注意してよく見ると大名家の刻印をみつけることができる。

・江戸の町の出入り口には木戸があり、その脇には木戸番が常住する小屋があった。これが「番小屋」で、木戸番は明け6つ(午前6時ごろ)・暮れ6つ(午後6時ごろ)に木戸を開閉し、夜間は顔なじみの者だけを通した。昼は町内のキオスクとして、雑貨、駄菓子、焼き芋などを商った。また町内の使い走りとして書状や伝言を届ける仕事でチップをもらった。さらに、火事の場合は火消人足への炊き出しの場所でもあった。

・日本橋から最初の継立(つぎたて)駅のことを「江戸四宿(ししゅく)」といった。街道ごとに品川(東海道)、板橋(中山道)、千住(日光・奥州道中)、高井戸宿のちに内藤新宿(甲州道中)までを日本橋の大伝馬・小伝馬町と京橋の南伝馬町の三伝馬町が受け持ち、往復してその役務をつとめたのである。たとえば東海道では、日本橋から旅行者を連れてきた人足と馬は、品川宿の人と馬にバトンタッチして日本橋に戻るというように、宿駅ごとに運び手が交代するシステムになっていた。

・明治・大正のころまでは、東京で「海水浴」ができた。明治期に海水浴流行のきっかけをつくったのは、陸軍軍医総監の松本順(良順)で、医療とレクリエーションをかねて海水浴を奨励した。以来、東京の海水浴場として賑わったのは、羽田・大森・大井・芝浦・月島などの海岸だった。

・昭和39年10月に東京オリンピックが開催された。このオリンピックのために新幹線や高速道路などの建設が進められたが、とくに高速道路建設の用地は、公共用地利用が原則とされた。そのため用地の買収の必要のない川の上の空間が利用された。その結果、楓川や築地川、京橋川や汐留川なども次々と埋め立てられた。


<目次>
カラーグラビア
 江戸・東京の略年表
 近世江戸の原地形と地名
 70年かかった大江戸の形成
 江戸から延びる街道
 江戸の土地利用
 江戸一目図(版画)
 明治期に開化した東京
 日本橋
はじめに
第1章 東京という場所を知ろう-海と密接な関係にあった低湿地
 ●大昔、東京都心の半分は海だった
 ●はるか昔から栄えていた東京
 ●武蔵国と東京の関係は
 ●「江戸」はいつ歴史に登場した?
 ●江戸と呼ばれる前は何と呼ばれていた?
 Column
  *「町」の読み方はチャウ? マチ?
  *駿府の家臣が住んだためについた駿河台
第2章 江戸・東京の自然と地理条件-5つの地形と海からできた江戸
 ●東京の5つの地区
 ●巨大な河口だった東京下町低地
 ●東京の川は埋立ての年輪
 ●自然の荒川と人工の荒川
 ●昔からあった江戸の3つの湊
 ●東京の古代・中世からの寺院
 ●江戸・東京の主舞台は山の手台地
 ●台地から荒川へと流れ出す川
 ●有名な坂の並ぶ「緑のリボン」とは
 ●ずっと都心だった「江戸前島」
 ●東京の半分を占めた武蔵野
 ●自然と人工が織りなした多摩川水系
 ●沖合いに進行していく海岸線
 Column
  *江戸城の巨石はどこからもってきた?
  *水が悪い江戸にも「名水」はあった
第3章 天下の総城下町「江戸」の成立-江戸はどのように大都市になったのか?
 ●葦だらけの湿地に見えた江戸
 ●家康の最初の工事・道三堀
 ●最も古い江戸都市図は?
 ●江戸の範囲はどこまで?
 ●「朱引」と「墨引」で決まった江戸の範囲
 ●大名は4種類の屋敷をもっていた
 ●職人町は「日本橋」を中心に発達
 ●江戸を支えた町の構成
 ●小単位で独立していた江戸の町
 ●寺を使った江戸の都市計画
 ●火事のたびに広がった町
 ●なぜ摂州人が江戸に来たのか
 Column
  *江戸に多いのは武士と伊勢屋
  *江戸の暮らしの指標本石町の時の鐘
第4章 都市「江戸」のインフラはこうつくられた-「陸路」「海路」の整備と「水」の供給が江戸を支えた
 ●かつて大繁栄した江戸四宿
 ●いくつもあった東海道筋
 ●旅程を立てやすかった中山道
 ●古代からあった日光道中と奥州道中
 ●幕府にとって重要だった甲州道
 ●全国と結ばれていた江戸の海運
 ●航路の安全性を高めた「奥州廻し」
 ●御茶ノ水の堀割はなぜつくられた?
 ●「入り堀」と「堀留」の違いは?
 ●「いちば」でもあった江戸の河岸
 ●上水道がまず整備されたワケは?
 Column
  *手軽な行楽地だった品川
  *江戸っ子の出身地はどこ?
第5章 現代に伝わる江戸の地理-江戸から現代へ-今も残る地理の名残り
 ●350年前にできた木場
 ●余り物からはじまった魚市場
 ●江戸・東京の食を支えた近郊農業
 ●金座は今もお金をつくっている?
 ●下町でつくられた寛永通宝
 ●銀座は本当はどこにあったのか
 ●江戸図には便利な約束があった
 ●切絵図で見る江戸の「地域」
 Column
  *与力・同心は武士ではない
  *”ミニ紀州”だった飛鳥山
第6章 近代都市化していく東京-街並みも行政も明治期に大きく変わった
 ●お台場が品川寄りにつくられたワケは?
 ●貿易拠点として築地居留地が誕生
 ●町名の多くは明治生まれ
 ●短かった「大区小区」時代
 ●城門名からつけられた15区名
 ●多摩郡の中の大区の特徴
 ●霞が関が官庁街になったワケ
 ●銀座煉瓦街は”火事”でできた!?
 ●永田町、赤坂が桑茶畑に!?
 ●「いちば」の近代化 銀行発祥の地・日本橋
 ●なぜ兜町・茅場町取引所が集まった?
 ●三多摩を東京に移管した目的は?
 Column 
  *東京にもあった海水浴場
  *移動していった「下町」
第7章 整備されていく東京のインフラ-交通網から電気まで急速に充実していく東京
 ●海の上を走った東海道線
 ●山手線はもともと民営だった
 ●東京人のためにできた秋葉原駅
 ●市民の下駄といわれた市街電車
 ●近郊私鉄はもともとは貨物線
 ●なぜ寺院の集中する街がある?
 ●地下鉄は浅草からはじまった
 ●なぜ首都高速は急に曲がる?
 ●郊外の電化は電鉄会社のおかげ
 ●下町低地の町を消した関東大震災
 ●震災で生まれた現東京の形
 ●奥川回しに代わった常磐線
 ●工業地帯は川沿いから発達
 ●最初の工業団地だった「月島」
 ●東京の湖はすべて多摩川の水
 ●今のような水道はいつできた?
 ●なぜ多摩に飛行場が多いのか?
 ●東京市が35区に拡張したワケは?
 ●東京を走る電車の「の」の字運転とは?
第8章 戦争と高度成長で激変する東京-川が消えて道ができ23区が誕生した
 ●再び東京を変えた東京大空襲
 ●「光が丘」もかつては占領軍の宿舎
 ●お濠だった東京駅八重洲口
 ●東京の川はどうして消えた?
 ●多摩の人口が急増したワケは?
 ●サラリーマンが「市」だらけにした多摩地方
 ●GHQにより誕生した東京23特別区
 ●2か月間日本ではなかった伊豆諸島
 ●小笠原諸島①危うく日本ではなかった!?
 ●小笠原諸島②太平洋戦争の最激戦地は東京
 ●オリンピックで掘り返された東京
 ●変わってしまった町の区画
 ●浄水場からビル街へ
 Column
  *どうして世田谷区内に「渓谷」がある?
  *銀座9丁目の不思議

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<今日の独り言>
 3歳0ヶ月の息子を自転車に乗せていると、「いいにおいがする!」と言い出します。何のにおい?と聞くと「花のにおい!」と言います。えぇぇー「花のにおい?」と聞くと、「ほっぺたのにおい」とのことです^_^;)うーん分からんン^_^;)

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