<金曜は本の紹介>
「心を整える。勝利をたぐり寄せるための56の習慣(長谷部 誠)」の購入はコチラ
「心を整える。勝利をたぐり寄せるための56の習慣」という本は、プロサッカー選手の長谷部 誠さんが書いた本です。
長谷部誠選手は1984年1月18日生まれの静岡県出身で、3歳からサッカーを始めたようです。
2002年に浦和レッズに加入し、2008年にドイツのヴォルフスブルクへ移籍し、2010年の南アフリカ・ワールドカップではゲームキャプテンとして4試合すべてに先発出場しベスト16進出を達成。
2011年のAFCアジアカップではキャプテンとして優勝に貢献しています。
また、そのほかJリーグ、天皇杯、ナビスコカップ、アジアチャンピオンズリーグ、ブンデスリーガで優勝を経験していて、凄いと思いますね。
この本では、その成功の秘訣や習慣について分かりやすく説明してあります。
様々な本を読んでいることが分かり、とても真面目で前向きで、とても良い本だと思います。
知人もこの本を読んでいて、マーカーを引きまくって何度も読み返していると聞いて納得しました。
特に以下についてはナルホドと思いましたね。
・1日1回は心を鎮める時間をつくること
・整理整頓は大切
・愚痴や悪口は言わない
・悩みがあるときは温泉など一人旅をする
・アルコールは体力の回復を遅らせ、けがの原因にもなる
・尊敬できる人や仲間に会い、話をすることで自分の立ち位置を客観的に見る
・人とは近づいてみることが大切
・上から目線には気をつける
・必ず見てくれる人はいる
・最初は肝心だし、なめられるわけにはいかない
・競争は成長するための栄養
・運を女性のように口説く
・判断に迷うときは人として正しいかを考える
・大一番で力を発揮するには平穏に夜を過ごし、睡眠をしっかりとる
・1時間前集合、遅刻はしない
・音楽には不思議な力がある
・ゲームやインターネットに時間を費やしすぎない
・ラストこそ勝負所
・常に脱皮して生きていく
・あえて難しいと思った方を選択する
・挑戦し続け、その場その場で全力でもがき続けると人間は変われる
・いろんな考え方に拒否反応を起こすのではなく自分の中に取り込むこと
・感謝の気持ちが大切
以下はこの本のポイントなどです。
・京セラの創業者、稲盛和夫さんの本にあった、次の言葉に出会った。「1日1回、深呼吸をして、必ず心を鎮める時間を作りなさい」まさに当時の僕に必要な習慣だった。それから僕は、帰国してどんなに忙しいときも、部屋でひとりになる時間を作り、スケジュールを詰め込みすぎないようにした。ワールドカップの期間中、心を鎮めることは僕にとって大切な作業だった。この習慣があったからこそ、どんなに葛藤を抱えても、翌朝には平常心で部屋を出て行くことができた。
・ドイツには「整理整頓は、人生の半分である」ということわざがある。日頃から整理整頓を心がけていれば、それが生活や仕事に規律や秩序をもたらす。だから整理整頓は人生の半分と言えるくらい大切なんだ、という意味だ。このことわざに、僕も賛成だ。
・愚痴というのは一時的な感情のはけ口になって、ストレス解消になるのかもしれないけれど、あまりにも安易な解決策だ。何も生み出さないし、まわりで聞いている人の気分もよくない。愚痴で憂さ晴らしをするのは自分の問題点と向き合うことから逃げるのと同じ。ゆえに逆に愚痴を言わないように心がければ、自ずと問題点と向き合えるようになるものだ。
・レッズ時代、僕は試合に負けたり、何か悩みごとがあるときは、ひとりで温泉に行くようにしていた。ひとりで行くなんて暗いと思われるかもしれないけれど、その孤独な時間に意味がある。ドイツい移籍してからは、1泊2日のひとり旅に出るようになった。ドイツのハンブルクに始まり、ベルリン、デュッセルドルフ、スコットランドのグラスゴー、フランスのパリ・・・。いろいろなところで、気持ちをリフレッシュした。恨みを貯金しても仕方がない。ボールを蹴って身体を動かしてもいいし、何かリフレッシュして、次に向かってリスタートした方がはるかに建設的だ。
・サッカー選手にとってアルコールは体力の回復を遅らせるし、けがの原因にもなりうるので、飲みに行くのは休みのときだけだ。月に1度か2度くらいに抑えておいた方がいいと思う。深酒も厳禁。
・自分と向き合う方法は、主に2つある。ひとつは孤独な時間を作り、ひとりでじっくりと考えを深めていくこと。僕にとっては読書も、ひとり温泉も、ここに含まれる。そしてもうひとつは、尊敬できる人や仲間に会い、話をすることで自分の立ち位置を客観的に見ることだ。僕はヨーロッパでプレーする日本人選手たちに会うたびに、自分がこれからどんな道を進むべきかのヒントをもらっている。
・カズさんがキングたる所以は、メニュー選びのときに感じさせられた。野菜をたっぷり注文し、炭水化物はほとんど頼まない。試合の前はエネルギー源となる炭水化物を摂った方がいいけれど、普段はよけいな脂肪がついてしまうからだ。やっぱりキングは違うと驚かされた。当然、デザートも食べない。
・カズさんはみんなでご飯を食べていえも、自分が決めていた時刻になったら、「じゃあ、明日練習だから」と言って帰っていく。まわりに流されず、長居はしない。やはり長く現役を続けている選手には理由があると思った。カズさんは今年44歳。まだまだ成長できる手応えがあ、そして、いまだ自分のプレーに納得していないのだと思う。僕もカズさんのようにサッカーを突きつめて、自分が納得するまで続けたい。そう思っている。
・あまりに失礼なことがあったら人と距離を置けばいい。ただ、最初から食わず嫌いで近づかないと、自分自身が損をしてしまう。
・文化や背景が違う国を越えて、信頼関係を築くのは難しいと感じるときもあるけれど、失敗してもいいから、まずは近づいてみることが大切だと思う。相手だって、こちらが興味を持つとうれしいものだ。
・いくら自信を持ったからといっても、「上から目線」には気をつけなければならない。自信が生まれたからといって偉くなうわけでもないし、ましてや成功や勝利は自分ひとりの力で勝ち取ったわけでもない。だからこそ、「上から目線」というのは、人と付き合ううえで、絶対にプラスにはならない。偉そうにしたり、知識を見せびらかしたり、自分を実際以上に大きく見せようとしたりすると相手は不快な思いをする。
・ただ、だからといって、「下から目線」になってもダメだ。相手に媚びを売ったり、ゴマをすったり、下手に出るのは自分自身をおとしめることになってしまう。ヨイショすれば気に入ってもらえるはずだ、という目で見ているということでもあり、それは相手に対しても失礼だと思う。コミュニケーションにおいては、どちらも対等な関係であるべきだ。たとえば、選手とサポーターの関係でも、どちらが偉いとかはなく、同じ目線で接するべきだと思う。
・地元の同級生に会うと会社の上司の悪口が出てくることがある。そんなとき僕は、「本人に直接言おうよ」とやんわり流れを切るようにしている。聞かされる方も気持ち良くないし、言っている本人にとってもマイナスだと思うから。
・会社でも組織のベクトルと個人のベクトルを一致させられれば、どんな仕事でも自分を生かすことができるのではないか。チームの穴や業界の穴を分析し、誰よりも早くその穴を埋めていく。そうすれば、誰もが気がついてくれるわけじゃないけれど、必ず見てくれる人はいる。これからも僕は、組織のために足りないものを補える選手であり、組織において不可欠な人間でいたい。そうすれば、たとえ目立たなくてもピッチに立つことができるだろう。
・浦和レッズに加入したことで、さらに競争心が強められることになる。生まれて初めて外国人選手とチームメイトになったことで、サッカーの価値観が変わったからだ。当時のレッズにはエメルソンという圧倒的スピードを持つブラジル人FWがいた。練習の紅白戦で、僕がスライディングでボールを取ろうとしたら足が彼に当たってしまった。すると彼は激怒し、直後のプレーで思いっきり僕の足を削ってきた。高校では味わったことがない激しさ、そして汚さだった。最高にムカついた。僕は次の競り合いのときに、思いっきりやり返してやった。エメルソンは激怒して、つかみかかってきた。僕も熱くなった。互いに胸倉をつかんで、殴り合い寸前になった。18歳の新人にしては生意気だったと思う。でも最初が肝心だし、なめられるわけにはいかなかった。一度なめられてしまったら、それは永遠に続く。あのときのことはまったく後悔していない。
・日本人選手がヨーロッパでやっていくためには、競争に前向きなメンタリティは絶対に必要だ。競争は成長するための栄養のようなもの。楽しいことばかりじゃなく、つらいこともあるけれど、逃げずに向き合い続ければ身体の隅々までその栄養が行き渡る。
・「経営の神様」と呼ばれる松下幸之助さんが言うように運というのは、自分が何か行動を起こさないと来ないものだと思っているからだ。さぼっていたら、運なんて来るわけがない。それにただがむしゃらに頑張っても運が来るとは限らない。普段からやるべきことに取り組み、万全の準備をしていれば、運が巡ってきたときにつかむことができる。たぶん、運は誰にでもやってきていて、それを活かせるか、活かせないかは、それぞれの問題なのだと思う。
・以前、代理人のロベルト佃さんと運について話したことがある。ロベさんはアルゼンチンのことわざについて教えてくれた。「スペイン語で運は女性名詞。だから、アルゼンチンの人たちは「運を女性のように口説きなさい」と言うんだ。何も努力しないで振り向いてくれる女性なんていないだろ?それと同じで、運もこちらが必死に口説こうとしないと振り向いてくれないんだ」異性を口説くのと同じように、運も口説きなさい。ユーモアがあって、堅苦しくなくて、僕はこのアルゼンチンのことわざを一発で好きになった。
・京セラ創業者の稲盛和夫さんが、こう言っているのを本で読んだことがある。「判断に迷ったときは、人として正しいかどうかを考えるようにしている」チームのために進言することは、「人として正しい」ことだと僕は思う。だから進言するかで迷ったときは、「自己保身のために言わないことの方こそ、正しくない行動のはずだ」と考える。ワールドカップでも何か疑問があれば、岡田監督の部屋のドアを叩くようにしていた。監督にとっては耳が痛いこともあったかもしれないが、まったく怒らず、意見のひとつとして聞いてくれた。将来、自分がチームを率いる立場になれるかは分からないが、そのときは選手からの進言に耳を傾けられる人間になりたい。組織が良くなる機会を頭ごなしに消してしまうのは、「正しくない」と思うから。
・努力や我慢は秘密にすべきだ。なぜなら、周囲からの尊敬や同情は自分の心の中に甘えを呼び込んでしまうから。
・僕が「ニーチェの言葉」を読んでいたことがよほどインパクトが強かったのか、ワールドカップのあと、読書に関する取材がとても増えた。雑誌「スポーツ・グラフィック・ナンバー」もその一つで、「アスリートの本棚。」という特集で僕は表紙と巻頭ページに出させていただいた。人生初の「ナンバー」の表紙。そのときに「オールタイムベスト5」としてあげたのが次の5冊だ。
・本田宗一郎 夢を力に 私の履歴書(本田宗一郎)
・道をひらく(松下幸之助)
・悩む力(姜尚中)
・人間失格(太宰治)
・アインシュタインは語る(アリス・カラプリス)
・印象に残った本を定期的に読み返すこともできるけれど、そればかりだと新しく手に入れた本を読む時間がなくなってしまう。そこでノートに気に入ったフレーズだけを抜き出して書いておけば、時間を節約できるし、持ち運びも便利なので遠征にも持って行ける。「読書ノート」で、心の点検。僕の日課のひとつだ。
・よく取材などで、「大一番で力を発揮するためにどうすればいい?」と聞かれるが、僕はそのときに「平穏に夜を過ごし、睡眠をしっかり取る」と答える。寝るという行為は意外と難しい。目をつむっても思い通りに寝付けないことも多々ある。だからこそ、普段から「いい睡眠」を取るために夜の時間を自分自身でマネージメントできているかが鍵になる。
・南アフリカでは、だいたい夜9時くらいから寝る準備を始め、10時にベッドに入るようにしていた。ワールドカップ大会中は寝付けないことが一度もなかった。自分でも不思議なくらいに快眠でき、毎日10~11時間は寝ていた。睡眠は普段からのリズムが大切で、大一番の前日に急に「いい睡眠をしよう」と思ってもうまくいかない。勝負所で結果を出すためには、日々のリズムを普段からどれだけ整えられるかにかかっている。
・子どものときから現在まで、サッカーに関しては僕だけの集合時間がある。常に1時間前に着くようにしているのだ。たとえば、「15時集合」だったら14時に着くように家を出ていた。なぜ、そんなことを始めたのか自分でもよく覚えていないけれど、おそらく単純にサッカーが好きで、誰よりもボールを触っていたかったからだと思う。練習の後だと遅くなって帰らなければならないから・・・・。
・1時間前に部室に到着すると、僕はまずカバンから練習着とスパイクを取り出し、長イスの上に並べていく。自分の脱いだ服をきれいにたたみ、ゆっくり着替えていく。部室は決して広くないけれど、自分しかいないので、何をするにしてもスペースは十分だ。誰に気遣うこともなくストレッチをして身体をほぐす。このとき前日までの課題を頭の中で整理して、今日はこんなところに取り組んでみようとポイントを絞る。ひとりだけの贅沢な時間。練習という限られた時間を無駄にしないために、僕にはこういう自分なりの心と身体を準備する時間が必要なのだ。
・遅刻というのは、まわりにとっても、自分にとっても何もプラスを生み出さない。まず、遅刻というのは相手の時間を奪うことにつながる。20人で集まるとする。そこに僕が5分遅れたら、5分×20人で100分待たせることになる。それに「彼は遅れるから、集合時間を(あらかじめ)早く設定しよう」ということにもなりかねない。そんな駆け引きはすごく不毛だ。だから僕は遅刻をする人を信頼できない。練習中に声を出して、真面目に取り組んでいる選手がいても、一度でも遅刻したら、「あいつの意気込みは、その程度のものだったのか」と信頼のレベルは落ちるだろう。積み上げてきたものが、たったひとつのミスで無駄になる。
・音楽には不思議な力がある。メロディや歌声も大事だが、僕は歌詞をしっかり捉えながら聴く。ひとつの曲でも、あるときは心を鎮めてくれたかと思えば、あるときは心を奮い立たせてくれる。歌詞もメロディも同じはずなのに、聴く状況が異なると感じることも全然違うのだ。試合の日、バスで会場に向かうときに僕が聴いているのは「ミスターチルドレン」だ。
・あくまで僕個人の意見としては、ゲームやインターネットに時間を費やしすぎるのはもったいないことだと思う。サッカーゲームをすれば、ピッチを俯瞰して見ることができて、サッカーの役に立つという意見もあるかもしれないが、そうであったら、実際のサッカーの試合をテレビで観た方がよほど勉強になる。それに映画を観たり、読書をしたり、語学の勉強をするんどした方が、はるかに自分のためになる。遊びたい気持ちも分かる。誰かに心の隙間を埋めてもらいたいと思う気持ちも分かる。でも、ほどほどにしないといけない。自分で自分にけじめをつけなければならない。息抜きも、度が過ぎたら時間の浪費だ。便利な時代になっているからこそ、僕はITの恩恵を最小限に受けつつ、あえてアナログ的な時間の過ごし方を大事にしていきたい。
・「脳に悪い7つの習慣」(林成之)という本に、とても興味深いことが書いてあった。著者の林先生は日本の競泳チームのメンタルトレーナー的な役割を担っており、北京五輪の前に、こんなレクチャーwしたという。「ラスト10mを「もうすぐゴール」と意識するのではなく、「マイゾーン」として、自分がもっともカッコ良くゴールするための美学を追求しながら泳いで欲しい」ラストこそ勝負所。まさにサッカーにも当てはまることだと思った。ラスト10mをサッカーの試合に置き換えると「ラスト10分」になるだろうし、1シーズンに置き換えれば「ラスト5、6試合」となるだろうか。そこで何をできるかで、周囲からの印象はまったくの別のモノになる。
・僕はふとある”相関関係”に気がついた。まわりの選手を見ていると、夜遊びをして、たくさんお酒を飲んでいる選手ほど筋肉系のケガをする確率が高かったのあ。もちろんこれは僕の主観で、データ的な裏付けもないし、もしかしたら関係がないかもしれない。だが、のちにアスレチックトレーナーの方に聞いたところ、お酒を飲むと患部が充血して、ケガの回復が遅れるそうだ。古傷の状態が悪化することもあるという。
・今でも楽な方に流されそうになることがあるし、実際流されてしまうこともあるけれど、そんなときは両親、恩師など、いろいろな人の顔を思い浮かべる。みんなの存在が弱い心にブレーキをかけてくれる。
・ある本に書かれていた一文が、僕の迷いを吹き飛ばすことになる。持参していた「超訳 ニーチェの言葉」という本だ。ドイツの哲学者ニーチェの名言が収められている。この本をめくっていると、【脱皮して生きていく】という項目が目に飛び込んできた。その説明として、脱皮しない蛇は破滅する。人間もまったく同じだ。古い考えの皮をいつまでもかぶっていれば、やがて内側から腐っていき、成長することなどできないどころか、死んでしまう。常に新しく生きていくために、わたしたいは考えを新陳代謝させていかなくてはならないのだ。
・岐路に立ったときに、僕は何を大切にしているのか。もちろん、まだこれだと自信を持って言えるものは見つかっておらず、今なお模索中だけれど、ひとつだけ意識しているこtがある。それは「あえて難しいと思った方を選択する」ということだ。ここまで歩んで来た道のりを振り返ると、挫折欲があるのかなぁと思うほど、僕は迷ったときに難しい道を選択してきた。周囲からしたら無茶な決断ばかりで、どこかで一度でも失敗していたら、今頃、何をしていたか分からない。両親は常に僕が選ぶ道に反対したし、実際、自分が親だったら同じように反対したと思う。怖いもの知らずというよりはただの無謀だった。しかし僕は知っている。難しい道ほど自分に多くのものをもたらし、新しい世界が目の前に広がっていることを。
・僕はサッカーを通じて、いろいろな経験をさせてもらった。今自分が言えるのは、挑戦し続け、その場その場で全力でもがき続けると、人間は変われるということだ。海外に移籍した選手が試合に出られなかったら、メディアの人たちはすぐに失敗だったと報じようとする。けれど僕は全然そう思わない。たとえ試合に出られなかったとしても、貴重な経験をしているはずだからだ。
・生まれた国が違ったり、環境が違えば、当然違う人間が形成される。世界にはいろいろな価値観がある。だからこそ、それを拒否することなく自分に取り入れ、成長の糧にしなければならない。僕がヴォルフスブルクに移籍したときに、ドイツのサッカーにすんなり馴染むことができたのも、チームメイトの考え方に拒否反応を起こすのではなく、自分のなかに取り込もうという意識を持てていたからかもしれない。
・身体の一部分だけが硬いと、ちょっとした動きでバランスが崩れやすく、特定の場所に負荷がかかり、ケガの原因になる。実際、僕はハーフタイムに腰が痛くなることが多かった。清水さんは「ケガをしない身体を作れるかどうかは、1年目にかかっている。大ケガをしてからでは手遅れ」と言う。もし背中の硬さが体質的なものだったら治らないが、そうでなければマッサージによって改善できる。背骨は身体の中心線だ。もし背骨のまわりがフレキシブルになれば、もっとプレーに切れがでるかもしれない。僕は清水さんを信じて課題に取り組んだ。そして、3年目に入った頃、ガチガチだった僕の背中は柔軟性を持つようになっていた。バランスが良くなって、ドリブルのスピードもアップしたように感じた。捻挫もしたことがないくりケガに強い身体になったのは清水さんのおかげだ。本当に感謝しても感謝しきれない。
・感謝する能力は意識次第でいくらでも伸ばせるし、それに感謝は自分のためでもある。もし自分が感謝の気持ちを忘れなければ、まわりがどんどん自分にポジティブなエネルギーをくれるはずだ。周囲から助けてもらえる選手と助けてもらえない選手では、成長スピードに差も出る。少し観念的だけれでも、関わる人すべてを幸せにするつもりで働けば、その気持ちは結果として還ってくる。僕はそう信じている。
<目次>
まえがき
第1章 心を整える。
01 意識して心を鎮める時間を作る。
02 決戦へのスイッチは直前に入れる。
03 整理整頓は心の掃除に通じる
04 過度な自意識は必要ない。
05 マイナス発言は自分を後退させる。
06 恨み貯金はしない。
07 お酒のチカラを利用しない。
08 子どもの無垢さに触れる
09 好きなものに心を委ねる
10 レストランで裏メニューを頼む。
11 孤独に浸かる-ひとり温泉のススメ-
第2章 吸収する。
12 先輩に学ぶ。
13 若手と積極的に交流する。
14 苦しいことには真っ向から立ち向かう。
15 真のプロフェッショナルに触れる。
16 頑張っている人の姿を目に焼き付ける。
17 いつも、じいちゃんと一緒。
第3章 絆を深める。
18 集団のバランスや空気を整える。
19 グループ内の潤滑油になる。
20 注意は後腐れなく。
21 偏見を持たず、まず好きになってみる。
22 仲間の価値観に飛び込んでみる。
23 常にフラットな目線を持つ。
24 情報管理を怠らない。
25 群れない。
第4章 信頼を得る。
26 組織の穴を埋める。
27 監督の言葉にしない意図・行間を読む。
28 競争は、自分の栄養になる。
29 常に正々堂々と勝負する。
30 運とは口説くもの。
31 勇気を持って進言すべきときもある。
32 努力や我慢はひけらかさない。
第5章 脳に刻む。
33 読書は自分の考えを進化させてくれる。
34 読書ノートをつける。
35 監督の手法を記録する。
第6章 時間を支配する。
36 夜の時間をマネージメントする。
37 時差ボケは防げる。
38 遅刻が努力を無駄にする。
39 音楽の力を活用する。
COLUMN・ミスターチルドレンBEST15
40 ネットバカではいけない。
第7章 想像する。
41 常に最悪を想定する。
42 指揮官の立場を想像する。
43 勝負所を見極める。
44 他人の失敗を、自分の教訓にする。
45 楽な方に流されると、誰かが傷つく。
第8章 脱皮する。
46 変化に対応する。
47 迷ったときこそ、難しい道を選ぶ。
48 異文化のメンタリティを取り入れる。
49 指導者と向き合う。
第9章 誠を意識する。
50 自分の名前に誇りをもつ。
51 外見は自分だけのものではない。
52 眼には見えない、土台が肝心。
53 正論を振りかざさない。
54 感謝は自分の成長につながる。
55 日本のサッカーを強くしたい。
56 笑顔の連鎖を巻き起こす。
最終章 激闘のアジアカップで学んだこと。
あとがき
面白かった本まとめ(2012年上半期)
<今日の独り言>
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長谷部誠選手は1984年1月18日生まれの静岡県出身で、3歳からサッカーを始めたようです。
2002年に浦和レッズに加入し、2008年にドイツのヴォルフスブルクへ移籍し、2010年の南アフリカ・ワールドカップではゲームキャプテンとして4試合すべてに先発出場しベスト16進出を達成。
2011年のAFCアジアカップではキャプテンとして優勝に貢献しています。
また、そのほかJリーグ、天皇杯、ナビスコカップ、アジアチャンピオンズリーグ、ブンデスリーガで優勝を経験していて、凄いと思いますね。
この本では、その成功の秘訣や習慣について分かりやすく説明してあります。
様々な本を読んでいることが分かり、とても真面目で前向きで、とても良い本だと思います。
知人もこの本を読んでいて、マーカーを引きまくって何度も読み返していると聞いて納得しました。
特に以下についてはナルホドと思いましたね。
・1日1回は心を鎮める時間をつくること
・整理整頓は大切
・愚痴や悪口は言わない
・悩みがあるときは温泉など一人旅をする
・アルコールは体力の回復を遅らせ、けがの原因にもなる
・尊敬できる人や仲間に会い、話をすることで自分の立ち位置を客観的に見る
・人とは近づいてみることが大切
・上から目線には気をつける
・必ず見てくれる人はいる
・最初は肝心だし、なめられるわけにはいかない
・競争は成長するための栄養
・運を女性のように口説く
・判断に迷うときは人として正しいかを考える
・大一番で力を発揮するには平穏に夜を過ごし、睡眠をしっかりとる
・1時間前集合、遅刻はしない
・音楽には不思議な力がある
・ゲームやインターネットに時間を費やしすぎない
・ラストこそ勝負所
・常に脱皮して生きていく
・あえて難しいと思った方を選択する
・挑戦し続け、その場その場で全力でもがき続けると人間は変われる
・いろんな考え方に拒否反応を起こすのではなく自分の中に取り込むこと
・感謝の気持ちが大切
以下はこの本のポイントなどです。
・京セラの創業者、稲盛和夫さんの本にあった、次の言葉に出会った。「1日1回、深呼吸をして、必ず心を鎮める時間を作りなさい」まさに当時の僕に必要な習慣だった。それから僕は、帰国してどんなに忙しいときも、部屋でひとりになる時間を作り、スケジュールを詰め込みすぎないようにした。ワールドカップの期間中、心を鎮めることは僕にとって大切な作業だった。この習慣があったからこそ、どんなに葛藤を抱えても、翌朝には平常心で部屋を出て行くことができた。
・ドイツには「整理整頓は、人生の半分である」ということわざがある。日頃から整理整頓を心がけていれば、それが生活や仕事に規律や秩序をもたらす。だから整理整頓は人生の半分と言えるくらい大切なんだ、という意味だ。このことわざに、僕も賛成だ。
・愚痴というのは一時的な感情のはけ口になって、ストレス解消になるのかもしれないけれど、あまりにも安易な解決策だ。何も生み出さないし、まわりで聞いている人の気分もよくない。愚痴で憂さ晴らしをするのは自分の問題点と向き合うことから逃げるのと同じ。ゆえに逆に愚痴を言わないように心がければ、自ずと問題点と向き合えるようになるものだ。
・レッズ時代、僕は試合に負けたり、何か悩みごとがあるときは、ひとりで温泉に行くようにしていた。ひとりで行くなんて暗いと思われるかもしれないけれど、その孤独な時間に意味がある。ドイツい移籍してからは、1泊2日のひとり旅に出るようになった。ドイツのハンブルクに始まり、ベルリン、デュッセルドルフ、スコットランドのグラスゴー、フランスのパリ・・・。いろいろなところで、気持ちをリフレッシュした。恨みを貯金しても仕方がない。ボールを蹴って身体を動かしてもいいし、何かリフレッシュして、次に向かってリスタートした方がはるかに建設的だ。
・サッカー選手にとってアルコールは体力の回復を遅らせるし、けがの原因にもなりうるので、飲みに行くのは休みのときだけだ。月に1度か2度くらいに抑えておいた方がいいと思う。深酒も厳禁。
・自分と向き合う方法は、主に2つある。ひとつは孤独な時間を作り、ひとりでじっくりと考えを深めていくこと。僕にとっては読書も、ひとり温泉も、ここに含まれる。そしてもうひとつは、尊敬できる人や仲間に会い、話をすることで自分の立ち位置を客観的に見ることだ。僕はヨーロッパでプレーする日本人選手たちに会うたびに、自分がこれからどんな道を進むべきかのヒントをもらっている。
・カズさんがキングたる所以は、メニュー選びのときに感じさせられた。野菜をたっぷり注文し、炭水化物はほとんど頼まない。試合の前はエネルギー源となる炭水化物を摂った方がいいけれど、普段はよけいな脂肪がついてしまうからだ。やっぱりキングは違うと驚かされた。当然、デザートも食べない。
・カズさんはみんなでご飯を食べていえも、自分が決めていた時刻になったら、「じゃあ、明日練習だから」と言って帰っていく。まわりに流されず、長居はしない。やはり長く現役を続けている選手には理由があると思った。カズさんは今年44歳。まだまだ成長できる手応えがあ、そして、いまだ自分のプレーに納得していないのだと思う。僕もカズさんのようにサッカーを突きつめて、自分が納得するまで続けたい。そう思っている。
・あまりに失礼なことがあったら人と距離を置けばいい。ただ、最初から食わず嫌いで近づかないと、自分自身が損をしてしまう。
・文化や背景が違う国を越えて、信頼関係を築くのは難しいと感じるときもあるけれど、失敗してもいいから、まずは近づいてみることが大切だと思う。相手だって、こちらが興味を持つとうれしいものだ。
・いくら自信を持ったからといっても、「上から目線」には気をつけなければならない。自信が生まれたからといって偉くなうわけでもないし、ましてや成功や勝利は自分ひとりの力で勝ち取ったわけでもない。だからこそ、「上から目線」というのは、人と付き合ううえで、絶対にプラスにはならない。偉そうにしたり、知識を見せびらかしたり、自分を実際以上に大きく見せようとしたりすると相手は不快な思いをする。
・ただ、だからといって、「下から目線」になってもダメだ。相手に媚びを売ったり、ゴマをすったり、下手に出るのは自分自身をおとしめることになってしまう。ヨイショすれば気に入ってもらえるはずだ、という目で見ているということでもあり、それは相手に対しても失礼だと思う。コミュニケーションにおいては、どちらも対等な関係であるべきだ。たとえば、選手とサポーターの関係でも、どちらが偉いとかはなく、同じ目線で接するべきだと思う。
・地元の同級生に会うと会社の上司の悪口が出てくることがある。そんなとき僕は、「本人に直接言おうよ」とやんわり流れを切るようにしている。聞かされる方も気持ち良くないし、言っている本人にとってもマイナスだと思うから。
・会社でも組織のベクトルと個人のベクトルを一致させられれば、どんな仕事でも自分を生かすことができるのではないか。チームの穴や業界の穴を分析し、誰よりも早くその穴を埋めていく。そうすれば、誰もが気がついてくれるわけじゃないけれど、必ず見てくれる人はいる。これからも僕は、組織のために足りないものを補える選手であり、組織において不可欠な人間でいたい。そうすれば、たとえ目立たなくてもピッチに立つことができるだろう。
・浦和レッズに加入したことで、さらに競争心が強められることになる。生まれて初めて外国人選手とチームメイトになったことで、サッカーの価値観が変わったからだ。当時のレッズにはエメルソンという圧倒的スピードを持つブラジル人FWがいた。練習の紅白戦で、僕がスライディングでボールを取ろうとしたら足が彼に当たってしまった。すると彼は激怒し、直後のプレーで思いっきり僕の足を削ってきた。高校では味わったことがない激しさ、そして汚さだった。最高にムカついた。僕は次の競り合いのときに、思いっきりやり返してやった。エメルソンは激怒して、つかみかかってきた。僕も熱くなった。互いに胸倉をつかんで、殴り合い寸前になった。18歳の新人にしては生意気だったと思う。でも最初が肝心だし、なめられるわけにはいかなかった。一度なめられてしまったら、それは永遠に続く。あのときのことはまったく後悔していない。
・日本人選手がヨーロッパでやっていくためには、競争に前向きなメンタリティは絶対に必要だ。競争は成長するための栄養のようなもの。楽しいことばかりじゃなく、つらいこともあるけれど、逃げずに向き合い続ければ身体の隅々までその栄養が行き渡る。
・「経営の神様」と呼ばれる松下幸之助さんが言うように運というのは、自分が何か行動を起こさないと来ないものだと思っているからだ。さぼっていたら、運なんて来るわけがない。それにただがむしゃらに頑張っても運が来るとは限らない。普段からやるべきことに取り組み、万全の準備をしていれば、運が巡ってきたときにつかむことができる。たぶん、運は誰にでもやってきていて、それを活かせるか、活かせないかは、それぞれの問題なのだと思う。
・以前、代理人のロベルト佃さんと運について話したことがある。ロベさんはアルゼンチンのことわざについて教えてくれた。「スペイン語で運は女性名詞。だから、アルゼンチンの人たちは「運を女性のように口説きなさい」と言うんだ。何も努力しないで振り向いてくれる女性なんていないだろ?それと同じで、運もこちらが必死に口説こうとしないと振り向いてくれないんだ」異性を口説くのと同じように、運も口説きなさい。ユーモアがあって、堅苦しくなくて、僕はこのアルゼンチンのことわざを一発で好きになった。
・京セラ創業者の稲盛和夫さんが、こう言っているのを本で読んだことがある。「判断に迷ったときは、人として正しいかどうかを考えるようにしている」チームのために進言することは、「人として正しい」ことだと僕は思う。だから進言するかで迷ったときは、「自己保身のために言わないことの方こそ、正しくない行動のはずだ」と考える。ワールドカップでも何か疑問があれば、岡田監督の部屋のドアを叩くようにしていた。監督にとっては耳が痛いこともあったかもしれないが、まったく怒らず、意見のひとつとして聞いてくれた。将来、自分がチームを率いる立場になれるかは分からないが、そのときは選手からの進言に耳を傾けられる人間になりたい。組織が良くなる機会を頭ごなしに消してしまうのは、「正しくない」と思うから。
・努力や我慢は秘密にすべきだ。なぜなら、周囲からの尊敬や同情は自分の心の中に甘えを呼び込んでしまうから。
・僕が「ニーチェの言葉」を読んでいたことがよほどインパクトが強かったのか、ワールドカップのあと、読書に関する取材がとても増えた。雑誌「スポーツ・グラフィック・ナンバー」もその一つで、「アスリートの本棚。」という特集で僕は表紙と巻頭ページに出させていただいた。人生初の「ナンバー」の表紙。そのときに「オールタイムベスト5」としてあげたのが次の5冊だ。
・本田宗一郎 夢を力に 私の履歴書(本田宗一郎)
・道をひらく(松下幸之助)
・悩む力(姜尚中)
・人間失格(太宰治)
・アインシュタインは語る(アリス・カラプリス)
・印象に残った本を定期的に読み返すこともできるけれど、そればかりだと新しく手に入れた本を読む時間がなくなってしまう。そこでノートに気に入ったフレーズだけを抜き出して書いておけば、時間を節約できるし、持ち運びも便利なので遠征にも持って行ける。「読書ノート」で、心の点検。僕の日課のひとつだ。
・よく取材などで、「大一番で力を発揮するためにどうすればいい?」と聞かれるが、僕はそのときに「平穏に夜を過ごし、睡眠をしっかり取る」と答える。寝るという行為は意外と難しい。目をつむっても思い通りに寝付けないことも多々ある。だからこそ、普段から「いい睡眠」を取るために夜の時間を自分自身でマネージメントできているかが鍵になる。
・南アフリカでは、だいたい夜9時くらいから寝る準備を始め、10時にベッドに入るようにしていた。ワールドカップ大会中は寝付けないことが一度もなかった。自分でも不思議なくらいに快眠でき、毎日10~11時間は寝ていた。睡眠は普段からのリズムが大切で、大一番の前日に急に「いい睡眠をしよう」と思ってもうまくいかない。勝負所で結果を出すためには、日々のリズムを普段からどれだけ整えられるかにかかっている。
・子どものときから現在まで、サッカーに関しては僕だけの集合時間がある。常に1時間前に着くようにしているのだ。たとえば、「15時集合」だったら14時に着くように家を出ていた。なぜ、そんなことを始めたのか自分でもよく覚えていないけれど、おそらく単純にサッカーが好きで、誰よりもボールを触っていたかったからだと思う。練習の後だと遅くなって帰らなければならないから・・・・。
・1時間前に部室に到着すると、僕はまずカバンから練習着とスパイクを取り出し、長イスの上に並べていく。自分の脱いだ服をきれいにたたみ、ゆっくり着替えていく。部室は決して広くないけれど、自分しかいないので、何をするにしてもスペースは十分だ。誰に気遣うこともなくストレッチをして身体をほぐす。このとき前日までの課題を頭の中で整理して、今日はこんなところに取り組んでみようとポイントを絞る。ひとりだけの贅沢な時間。練習という限られた時間を無駄にしないために、僕にはこういう自分なりの心と身体を準備する時間が必要なのだ。
・遅刻というのは、まわりにとっても、自分にとっても何もプラスを生み出さない。まず、遅刻というのは相手の時間を奪うことにつながる。20人で集まるとする。そこに僕が5分遅れたら、5分×20人で100分待たせることになる。それに「彼は遅れるから、集合時間を(あらかじめ)早く設定しよう」ということにもなりかねない。そんな駆け引きはすごく不毛だ。だから僕は遅刻をする人を信頼できない。練習中に声を出して、真面目に取り組んでいる選手がいても、一度でも遅刻したら、「あいつの意気込みは、その程度のものだったのか」と信頼のレベルは落ちるだろう。積み上げてきたものが、たったひとつのミスで無駄になる。
・音楽には不思議な力がある。メロディや歌声も大事だが、僕は歌詞をしっかり捉えながら聴く。ひとつの曲でも、あるときは心を鎮めてくれたかと思えば、あるときは心を奮い立たせてくれる。歌詞もメロディも同じはずなのに、聴く状況が異なると感じることも全然違うのだ。試合の日、バスで会場に向かうときに僕が聴いているのは「ミスターチルドレン」だ。
・あくまで僕個人の意見としては、ゲームやインターネットに時間を費やしすぎるのはもったいないことだと思う。サッカーゲームをすれば、ピッチを俯瞰して見ることができて、サッカーの役に立つという意見もあるかもしれないが、そうであったら、実際のサッカーの試合をテレビで観た方がよほど勉強になる。それに映画を観たり、読書をしたり、語学の勉強をするんどした方が、はるかに自分のためになる。遊びたい気持ちも分かる。誰かに心の隙間を埋めてもらいたいと思う気持ちも分かる。でも、ほどほどにしないといけない。自分で自分にけじめをつけなければならない。息抜きも、度が過ぎたら時間の浪費だ。便利な時代になっているからこそ、僕はITの恩恵を最小限に受けつつ、あえてアナログ的な時間の過ごし方を大事にしていきたい。
・「脳に悪い7つの習慣」(林成之)という本に、とても興味深いことが書いてあった。著者の林先生は日本の競泳チームのメンタルトレーナー的な役割を担っており、北京五輪の前に、こんなレクチャーwしたという。「ラスト10mを「もうすぐゴール」と意識するのではなく、「マイゾーン」として、自分がもっともカッコ良くゴールするための美学を追求しながら泳いで欲しい」ラストこそ勝負所。まさにサッカーにも当てはまることだと思った。ラスト10mをサッカーの試合に置き換えると「ラスト10分」になるだろうし、1シーズンに置き換えれば「ラスト5、6試合」となるだろうか。そこで何をできるかで、周囲からの印象はまったくの別のモノになる。
・僕はふとある”相関関係”に気がついた。まわりの選手を見ていると、夜遊びをして、たくさんお酒を飲んでいる選手ほど筋肉系のケガをする確率が高かったのあ。もちろんこれは僕の主観で、データ的な裏付けもないし、もしかしたら関係がないかもしれない。だが、のちにアスレチックトレーナーの方に聞いたところ、お酒を飲むと患部が充血して、ケガの回復が遅れるそうだ。古傷の状態が悪化することもあるという。
・今でも楽な方に流されそうになることがあるし、実際流されてしまうこともあるけれど、そんなときは両親、恩師など、いろいろな人の顔を思い浮かべる。みんなの存在が弱い心にブレーキをかけてくれる。
・ある本に書かれていた一文が、僕の迷いを吹き飛ばすことになる。持参していた「超訳 ニーチェの言葉」という本だ。ドイツの哲学者ニーチェの名言が収められている。この本をめくっていると、【脱皮して生きていく】という項目が目に飛び込んできた。その説明として、脱皮しない蛇は破滅する。人間もまったく同じだ。古い考えの皮をいつまでもかぶっていれば、やがて内側から腐っていき、成長することなどできないどころか、死んでしまう。常に新しく生きていくために、わたしたいは考えを新陳代謝させていかなくてはならないのだ。
・岐路に立ったときに、僕は何を大切にしているのか。もちろん、まだこれだと自信を持って言えるものは見つかっておらず、今なお模索中だけれど、ひとつだけ意識しているこtがある。それは「あえて難しいと思った方を選択する」ということだ。ここまで歩んで来た道のりを振り返ると、挫折欲があるのかなぁと思うほど、僕は迷ったときに難しい道を選択してきた。周囲からしたら無茶な決断ばかりで、どこかで一度でも失敗していたら、今頃、何をしていたか分からない。両親は常に僕が選ぶ道に反対したし、実際、自分が親だったら同じように反対したと思う。怖いもの知らずというよりはただの無謀だった。しかし僕は知っている。難しい道ほど自分に多くのものをもたらし、新しい世界が目の前に広がっていることを。
・僕はサッカーを通じて、いろいろな経験をさせてもらった。今自分が言えるのは、挑戦し続け、その場その場で全力でもがき続けると、人間は変われるということだ。海外に移籍した選手が試合に出られなかったら、メディアの人たちはすぐに失敗だったと報じようとする。けれど僕は全然そう思わない。たとえ試合に出られなかったとしても、貴重な経験をしているはずだからだ。
・生まれた国が違ったり、環境が違えば、当然違う人間が形成される。世界にはいろいろな価値観がある。だからこそ、それを拒否することなく自分に取り入れ、成長の糧にしなければならない。僕がヴォルフスブルクに移籍したときに、ドイツのサッカーにすんなり馴染むことができたのも、チームメイトの考え方に拒否反応を起こすのではなく、自分のなかに取り込もうという意識を持てていたからかもしれない。
・身体の一部分だけが硬いと、ちょっとした動きでバランスが崩れやすく、特定の場所に負荷がかかり、ケガの原因になる。実際、僕はハーフタイムに腰が痛くなることが多かった。清水さんは「ケガをしない身体を作れるかどうかは、1年目にかかっている。大ケガをしてからでは手遅れ」と言う。もし背中の硬さが体質的なものだったら治らないが、そうでなければマッサージによって改善できる。背骨は身体の中心線だ。もし背骨のまわりがフレキシブルになれば、もっとプレーに切れがでるかもしれない。僕は清水さんを信じて課題に取り組んだ。そして、3年目に入った頃、ガチガチだった僕の背中は柔軟性を持つようになっていた。バランスが良くなって、ドリブルのスピードもアップしたように感じた。捻挫もしたことがないくりケガに強い身体になったのは清水さんのおかげだ。本当に感謝しても感謝しきれない。
・感謝する能力は意識次第でいくらでも伸ばせるし、それに感謝は自分のためでもある。もし自分が感謝の気持ちを忘れなければ、まわりがどんどん自分にポジティブなエネルギーをくれるはずだ。周囲から助けてもらえる選手と助けてもらえない選手では、成長スピードに差も出る。少し観念的だけれでも、関わる人すべてを幸せにするつもりで働けば、その気持ちは結果として還ってくる。僕はそう信じている。
<目次>
まえがき
第1章 心を整える。
01 意識して心を鎮める時間を作る。
02 決戦へのスイッチは直前に入れる。
03 整理整頓は心の掃除に通じる
04 過度な自意識は必要ない。
05 マイナス発言は自分を後退させる。
06 恨み貯金はしない。
07 お酒のチカラを利用しない。
08 子どもの無垢さに触れる
09 好きなものに心を委ねる
10 レストランで裏メニューを頼む。
11 孤独に浸かる-ひとり温泉のススメ-
第2章 吸収する。
12 先輩に学ぶ。
13 若手と積極的に交流する。
14 苦しいことには真っ向から立ち向かう。
15 真のプロフェッショナルに触れる。
16 頑張っている人の姿を目に焼き付ける。
17 いつも、じいちゃんと一緒。
第3章 絆を深める。
18 集団のバランスや空気を整える。
19 グループ内の潤滑油になる。
20 注意は後腐れなく。
21 偏見を持たず、まず好きになってみる。
22 仲間の価値観に飛び込んでみる。
23 常にフラットな目線を持つ。
24 情報管理を怠らない。
25 群れない。
第4章 信頼を得る。
26 組織の穴を埋める。
27 監督の言葉にしない意図・行間を読む。
28 競争は、自分の栄養になる。
29 常に正々堂々と勝負する。
30 運とは口説くもの。
31 勇気を持って進言すべきときもある。
32 努力や我慢はひけらかさない。
第5章 脳に刻む。
33 読書は自分の考えを進化させてくれる。
34 読書ノートをつける。
35 監督の手法を記録する。
第6章 時間を支配する。
36 夜の時間をマネージメントする。
37 時差ボケは防げる。
38 遅刻が努力を無駄にする。
39 音楽の力を活用する。
COLUMN・ミスターチルドレンBEST15
40 ネットバカではいけない。
第7章 想像する。
41 常に最悪を想定する。
42 指揮官の立場を想像する。
43 勝負所を見極める。
44 他人の失敗を、自分の教訓にする。
45 楽な方に流されると、誰かが傷つく。
第8章 脱皮する。
46 変化に対応する。
47 迷ったときこそ、難しい道を選ぶ。
48 異文化のメンタリティを取り入れる。
49 指導者と向き合う。
第9章 誠を意識する。
50 自分の名前に誇りをもつ。
51 外見は自分だけのものではない。
52 眼には見えない、土台が肝心。
53 正論を振りかざさない。
54 感謝は自分の成長につながる。
55 日本のサッカーを強くしたい。
56 笑顔の連鎖を巻き起こす。
最終章 激闘のアジアカップで学んだこと。
あとがき
面白かった本まとめ(2012年上半期)
<今日の独り言>
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