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「Hot Pepperミラクル・ストーリー(平尾勇司)」という本はとてもオススメ!

2015年06月19日 01時00分00秒 | 
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 「Hot Pepperミラクル・ストーリー」という本は、全国約50カ所で生活のクーポンマガジン誌として展開しているHot Pepperが、創刊から4年で売り上げ300億円、営業利益100億円の事業となったその秘訣についてまとめたものです。

 ただ、本書は単なるHot Pepperの物語だけではなく、このHot Pepperを事例にしながら、事業とは何か?強い組織とは何か?良いチームとは何か?すぐれたリーダーとは何か?を考えさせられるものとなっています。

 特に、例えば対象は飲食・居酒屋や半径2kmのコア商圏、直販、ターゲットは20~30代のOLなどに絞るといった選択と集中、事業は勝つシナリオを作ることが大切、行動レベルに落とし込んだ戦略を練り直し続けること、組織階層は3階層に絞って責任と権限をはっきりさせるなどわかりやすく、失敗したサンロクマルという事業とも比較して説明があります。

 「Hot Pepperミラクル・ストーリー」という本は、事業や組織、育成について考えさせられとてもオススメです!

以下はこの本のポイント等です。

・なぜ「ホットペーパー」は地方の日常生活にまで根付いてしまったのか。消費行動を変えたからである。賢い選択ができて、クーポンで得をする、この仕組みのためである。日本は114の生活圏で成り立っている。生活圏とは要は、「働いて」「住んで」「食べて」「遊ぶ」行動圏である。生活圏はそのタイプによって7つに分類される。
 ・アーバン都市(銀座・新宿・渋谷など)
 ・大都市(横浜・名古屋・大阪・京都など)
 ・大都市周辺衛星都市(岐阜・宇都宮・大宮など)
 ・地方大都市(札幌・仙台・広島・福岡など)
 ・地方大都市周辺衛星都市(和歌山・福山・佐賀・小倉など)
 ・地方有力都市(鹿児島・熊本・岡山・金沢・旭川など)
 ・地方中小都市(郡山・青森・秋田など)
である。ひとつひとつのエリアの半径2~5キロの中で人は「衣食住働遊」の行動を行っている。そして消費の8割をそこで行っている。その行動に必要な情報を必要な生活圏に限って提供するメディア、それが「ホットペッパー」である。

・あなたは自宅か職場の半径5kmの中で毎日の消費行動をしているはずだ。どんなに広くても10kmである(東京だけは30分の時間範囲)。つまり、生活圏のなかであなたは情報を探し、消費行動をしている。生活圏(行動圏)であなたが稼ぎ出す所得の8割を消費する。町の生活情報誌こそが日常型コンテンツがふんだんにある情報誌となる。生活圏の情報こそ日常生活のなかで人々が必要とする情報なのだ。

・「ホットペッパー」は数々の雑誌の常識を否定して創られた。「タダで配る」「毎月500万部」「オールカラー」「編集記事なし」「インデックス不要」「オールカラー」「編集記事なし」「インデックス不要」「ワンプライス」「クーポンマガジン」「営業マンが制作マン」「コンビニ・駅に無料設置」オールカラーの分厚い立派な雑誌をタダで配る。しかも、全国各地で50種類の「ホットペッパー」が毎月いっせいに街に出る。その部数は日本全国で毎月500万部を超える。売れる商品しか決して置かないはずのコンビニが、値段も付いていない雑誌を設置してくれる。無理矢理送りつけるわけでもない。みんながわざわざ取りに来て、自ら手にとって家に持ち帰る。特集も編集記事もない雑誌が発行後わずか2週間で街からなくなってしまう。ユーザーは家に持ち帰り、寝転がって、目次もないこの雑誌を頭から一枚一枚全部めくって見ていく。クーポンを切り取り、財布に入れておく。「ホットペッパー」はフリーペーパーでも雑誌でもない、「クーポンマガジン」というジャンルを切り開いた。スペースの99%が売り物である。1ページが80万円の単価で売れていく。コマ広告自身があたかも編集記事のように見える。けれど、ベテランの制作マンが原稿をつくっているわけではない。営業マンによってシステム制作されている。広告業界は掲載クライアントが圧倒的に強い。値引きなど当たり前のこの業界で、「ホットペッパー」は一切の値引きをせず、ワンプライスで販売している。それらを、入社して3年もたたない、営業も制作も未経験の女性たちが、いとも簡単に当たり前の仕事としてこなしている。

・「ホットペッパー」は、「営業→制作→お客様」の流れを、「営業→お客様」に変えた。これでコミュニケーション階層を少なくし、営業マンが自分で原稿をつくる。クリエイティブの専門家でなくても、お客様のクリエイティブ欲求を完全に満足させ原稿がつくられる制作システムになっている。そのために用意したのが、テンプレートという原稿制作フォーマット・パターンである。テンプレートを選択し必要なアイテムをカセット方式で埋めていく。コピーやキャッチの位置、写真の位置の違うパターンが並ぶと、あたかも自由につくったかのような仕上がりになる。専門性の必要なコピーを少なくして、慣れれば誰でも使えるデジカメで撮影する写真を中心に原稿をつくっていく。

・「まずは飲食コンテンツに集中する。半径2kmのコア商圏でNTTデータの飲食件数のうち15%を獲得すれば、読者のマインドシェアを獲得できて、流通段階でみんなが自ら喜んで手にとって持ち帰るインフラができる。その流通インフラが確立できれば、一気に効果のある媒体になれる。その後に美容室、キレイ、スクール、リラクゼーション、ショッピングなどのコンテンツに展開を拡大する。そして、街の生活情報誌になる。そのために、半径2kmにある街の飲食コア商圏内の飲食店へ、特に居酒屋へ営業に行く。1/9スペースを3回連続で受注する。1人1日20件の訪問を実行する」これが「ホットペッパー」の勝つシナリオだった。その前身「サンロクマル」には、残念ながら勝つシナリオがなかった。「やりながらシナリオをつくるんだ」などとうそぶき、キレイごとばかりが唱えられた。それでは、台本のない芝居を役者が演じているみたいなもので、演じながらシナリオを描くと言っているのと同じになる。アドリブだけで心を動かす劇になはずがない。事業が成功するためにシナリオは是が非でもなくてはならない。考えて、考え抜いて、これでだめなら仕方ないと思えるまで練り込んだシナリオが必要なのだ。全体の流れはどのように流れていくのか?どのような順番になるのか?それはなぜか?それらによって、働く人たちの一挙手一投足が決まっていく。事業は物語である。筋書きなき物語など存在しない。しかし、「サンロクマル」がそうであったように、シナリオがない事業は多い。かりに筋書きらしきものがあったとしても、絶対に勝てるシナリオがつくられていなければ意味はない。

・ホットペッパーの勝つシナリオは以下の通り。
 領域:飲食、居酒屋
 エリア:コア商圏(半径2km)
 商品企画:1/9P
 受注パターン:3回連続
 必ず勝つシナリオ(念仏):「飲食」「居酒屋」「1/9P」「3回連続」「コア商圏」「1日20件訪問」
 組織をつくる:フラット/官僚排除、東海堂(本社とは呼ばない)、仕事中心、業務委託、CV採用/CV班元長登用
 ビジョンとテーマ:必ず勝つ・ブレイク・ミラクル・増殖・ビジョンプレ
 行動モデルの開発:トーク・ツール、仕事の計画性
 ゴールの設定:アーバン888、札幌コア商圏20%、広島生産性250万、岡山岡田さんになる!~20件訪問
 業務を把握する仕組み:KPI、週間ヨミ売上げ計画表、月次版PL・D/F
 ナレッジ共有の仕組み:ホットペッパー通信、全国版元長会議、週間情報共有シート
 モチベーションを高める仕組み:サマーフェスティバル、癒しプラン、クリアスマスパーティ
 評価システム MVP表彰制度、優秀PC賞(金銀銅)、株価、査定データ

・「戦略は正しいが、どうしても結果が出ない。そして、戦略を練り直す」。そんなことを繰り返している事業は多い。特に経営企画室とかの中に現場を知らない「企画坊や」がいると延々と戦略を練り直し続ける。けれど実は、決めたことが実行されないから結果が出ないことに気づかない。考えるなら、どうすれば「決めたことをやりきれるか?やり続けるか?」を考え、行動レベルに落とし込むことを考えなければならない。そんなバカな・・・と思うかもしれないが、じつは「実行しない」ことこそ、事業が成功しない最大の原因である。

・衰退期に入って喘ぐ事業に共通するのは、複雑な階層を持つ組織構造である。どうして複雑になるのか。「権力の分化のための細分化」と「業務の専門化による細分化」が同時に起こってくるからだ。事業規模が大きくなれば、組織も専門化、階層化しやすい。しかし、マーケットや顧客への価値提供のための専門化・階層化かというと、違う。意外に本当の理由は社内の昇進昇格にともなうポストづくりであったり、マネジメント・リーダーの能力キャパ不足での仕事の分業化が原因だったりする。それは巨大組織特有の現象かというとそうでもない。不思議なことに規模はあまり関係ない。小さな組織でもわざわざ職位のヒエラルキーをつくって、権威をつくり出そうとして細分化してしまう。組織の階層化はマーケットの要望によるものではなく、単なる社内の権威づけという社内事情の組織になっている。しかし、その弊害は見逃せない。顧客と事業マネジメントの距離ができ、上司と部下の関係も遠くなり、ラインとスタッフの関係もぎくしゃくする。そして何よりも、大切なことが何も決まらなくなる。

・保守的な既成概念を破らなければ革新的な成長はできない。そのためには過去との比較をやめることだ。過去と現在の比較ではなく、現在と未来の比較をすることだ。未来とは「そもそも、このマーケットはどれくらいあるのか?」から考える。顕在的なマーケットの実態や競合比も大切だが、既成概念にとらわれず、改めて、「潜在的なマーケットを発見しにいく」ことが発想や着眼点を変える大きなきっかけになる。いかに自分たちの現在の顕在化した実績がちっぽけな結果であるかがわかってくる。競合分析などでよく使う図の中よりも外を見るチカラが必要なおだ。さらに、会話の中身を前年比からマーケット比へ変えて、残存マーケットの大きさで常にコミュニケーションすることへ変化させることだ。マーケットオリエンテッドな発想や会話が挑戦的な風土を生み出し、抜本的発想の転換を可能にし、事業のスケールやスピードを変えていく。

・「基礎ができれば応用がができる。人間の創造性を最大のレベルに引き上げるために基礎の型を訓練するんだ。つまらない失敗や壁にいつまでもぶつかって前に進めないことこそ、時間の無駄だよ。それこそ創造性発揮の機会を失っていることになる」

・「メンバー→版元長→事業部長と組織階層を3階層にする」「事業部長が統括グループ長を兼務し、事業企画・商品企画・流通企画・営業企画を統括する」誰が上司で誰が大将かがはっきりしている。職務の責任と権限がはっきりした組織となる。根回しも必要なく方針の浸透も早い。もし滞るとしたらどこで滞っているのかは即刻判明する。「会社は現場が見えていない」とメンバーが発言した瞬間に会社とは直属上司の版元長かその一階層上のたった一人の事業部長になる。現場がわかってない会社のバカは版元長か事業部長ということになる。つまりフラットな組織とは、誰がバカなのかが誰の目にも瞬時に明らかになる組織である。これをツーステップ組織と呼ぶ。複雑な組織と比較すればわかりやすい。メンバー→チーフ→リーダー→編集長→版元長→フィールド・マネージャー→部長→事業部長とかになっていると、いったい誰が決めたのか?誰がバカなのかがわからなくなる。そして、みんなで「会社はわかってない」と言い続けることになる。会社とは誰なのかがわからないままに不満がたまっていく。誰が決めたかが曖昧なままに動いていく。最悪の結果に対して誰も責任をとらない。

・「件数じゃなくて、大事なのは何を話したか?その訪問の内容だろ」という議論は意味がない。それは1日1件の訪問と1日10件の訪問とどちが結果を出せる確率が高くなるかを考えれば明快だ。20倍とは言わないが間違いなくチャンスヒッティングの意味からも20件にん。また、教育的な観点からも20倍の顧客接点での経験を積むことになる。その経験が営業の工夫を生み、クオリティを上げる。だから、訪問件数がじゅうようになる。「ホットペッパー」の場合は、訪問のクオリティを担保しながら行える効率的、効果的な訪問件数を、営業マンの日々の業務分析と結果を出している営業マンの行動分析から、20件という訪問件数を設定した。

・「20件訪問を可能にする時間管理の方法」「商談づくりの効率を上げるための営業ツールとトーク」「営業商圏を効率よく回るための行動プラン」「飛び込み営業で座って商談に持ち込む技法」など、成功のノウハウが個々人のなかにたくさん眠っている。その眠っているノウハウを全員で共有する仕組みが大切になる。それは、みんながそのノウハウを知りたいと思い、そのノウハウを持っている人がみんなにも伝えたいと素直に思える仕組みだ。ノウハウを発見してきて、その人にしかできないものではなく誰でも真似てできるように汎用化する。その人の名を冠して事業としてそのノウハウを組織全体に宣伝し浸透させる。
「管波葉子の「新規飛び込み福の神営業」」
「岡田奈奈恵の「3年契約受注営業」」
「吉田采都子の「何屋プチコン営業」」
これらはホットペッパー事業の伝説のナレッジとなった。それは彼女たちの営業スタンスや方法を全員が目に見える形にすることだ。営業ビデオに収録して版の勉強会に利用したり、「ホットペッパー通信」という社内報で徹底的に検証して共有するのだ。その成功している体験を体系化し、誰でもできるようにシンプルにパッケージ化する。もっと大切なのは全員でいっせいに一気に実行することだ。そして、組織のブームにしてしまうことだ。それが勢いになり組織力になる。

・「男は立場でものごとを考え判断するけど、女性は好きか嫌いかで判断する。嫌われたら何を言っても伝わらないんだよ」「どうしようもないってことですか?」「女性に嫌われる男にならないことだよね。女性に嫌われる男の5つの条件がある。それは、「汚い、せこい、弱い、おもしろくない、可愛くない」だよ。汚いは論外だけど、ケチくさい奴はだめだよね。そして、強いDNAを求めている女性は弱い男を遺伝子的に拒否する。おもしろいというのは吉本的なお笑いのおもしろさとワル的なわくわくどきどきの2種類のおもしろさがある。そいて、最後の可愛さは女性の母性本能に響く可愛さだよね」

良かった本まとめ(2014年下半期)

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