<金曜は本の紹介>
「どうにかなるか」の購入はコチラ
この本は、直木賞作家の伊集院静さんの「週刊大衆」2004年4月19日号~2005年4月4日号に掲載されたエッセイをまとめたものです。
特に競輪や競馬、麻雀などについて詳しく書かれており、ギャンブル好きな方には堪らない本です!
特に、競輪については、思い入れが強いようでかなり詳しく書かれています。
以下面白かったところの抜粋です!気軽に読めてとてもお勧めな本です!!
(1)計6回の麻雀の半荘が終わったのが朝の8時だった。
「さあ、終わりにしようや。清算しようか」
Kの言葉に男は平然としていた。
Kが嬉しそうに男に金額を言った。
「さあ払った。払った」
「・・・・・・・・・・」
男は何も返事をしなかった。
私もKもSも、男の顔を見た。
「おい、どうしたよ、払ってくれ」
Kの言葉に男は言った。
「金はない。」
Kが狐につままれたような顔をした。私もSも男を見た。
「何を言っているんだ。冗談はなしにして払いな」
Kの口調が変わっていた。はっきりしたヤクザの口調である。男は上着の中から、あるだけの金を卓の上に置いた。千円札が数枚だけだった。
「おい、ふざけてんのか。どうするんだ、この始末を」
Kが大声を出した時、顔色ひとつ変えずに男がぽそりと言った。
「歌でも歌いましょうか」
その瞬間、私は男の口から発せられた言葉をよく繋ぎ合わせられなかった。
あとにもさきにも、これまで耳にした修羅場のセリフの中で、この言葉の抜け加減は1、2、である。
(2)私がわからないのは大晦日にテレビで紅白歌合戦なんか見る人たちである。
-あんなもの見て何が面白いのかさっぱりわからない。
初詣に出かけて新しい年のことを祈る人たちの気持ちもわからない。祈るくらいで何かが変わるなら、私なんぞ毎日祈りますがな。
だから正月の記憶なんてほとんど何もない。
よく覚えているのは子供の時、寒風の中をステテコ1枚で素足、びっしり刺青をした兄さんが全速力で走ってきて、すぐあとから同じようにステテコ穿いた刺青だらけの丸坊主の兄さんが日本刀を抜いて大声で追走してきて、少しして今度は血だらけの長襦袢の女が悲鳴を上げながら数人のこれも上半身裸の兄さんと走り抜けた。
あとから聞けば、刑務所から出所してきたヤクザの組の者が服役中に女を寝取られたらしく、元旦から大騒ぎになったと言う。
すると走り去った連中が今度は走って引き返してきた。
今度は日本刀を持っていた兄さんが先頭で逃げて来て、追いかけているのは長襦袢の女だった。彼女が日本刀を持っていた。
-あれが印象に残った正月の風景だったな・・・・・・。
(3)そう言えば暮れにヤンキースの松井秀喜選手と食事をする機会があった。
またひと回り身体が大きくなっていたようである。
「君、また大きくなってない?この調子だと4、5年先には3メートルくらいになるんじゃないの」
「いや、そこまでは無理だと思います。せいぜい2メートル50くらいじゃないですかね。」
「本当だね。2メートル50までいったら私、君を連れて見世物小屋を回るからね」
「よろしくお願いします」
さすがにニューヨークへ行くとジョークの質が良くなるものだ。
(4)テレビを点けると、防府競輪と大津びわ湖競輪のS級線を中継していた。1レースの売上を見て口があんぐりとなった。最終レースまでには売上も上昇するだろうと見ていたが、その気配はない。
-これって昨日、私が抑えで取り込んだ車券の配当より少ないんじゃないのか。
この売上でどうやって車券を買えばいいのだろうか。
客が減ったのが一番の原因だが、競輪を支えていたファンを裏切るルールをどんどん作ったのは競輪界なのだからしかたない。あんな阿呆みたいなコマーシャルフィルムを見て、昔、男の本当のギャンブルは競輪だと信じていた男たちはさぞ草葉の陰で嘆いているのだろう。
その男たちを満足させる後閑のような選手が出現したのが嬉しい。
<目次>
どうにかなるか・・・・・・、いいえ、どうにもなりません
勝てる勝負ならいくらでも・・・・・・
オッサン、麻雀の話かよ
競走馬の名前
サイン会と皐月賞
情報信ずべし、情報信ずべからず
そこで何をしてたんだ?
人間は不可解である
春の旅の終わりに・・・・・・
せっかく命拾いしたのに
安手を引かなかった男
あと一人が大変
台風に揺れながら
なぜかイスタンブール
誰だ、それは
弥彦の打ち合い
友って何だろうナ
あっと言う間ですよ
メール打ってて死ぬのか
何がいいのかオリンピック
捲りはヤワ
ひでえ夏だった
一人の少年の死
メジャーと日本の野球
プロスポーツなら闘え
サイバラ特別書き下ろしマンガ
66レースを戦ってみた
何が起きても平気
クリップバンドが外れた?
スポーツを、戦いを楽しむ?
ポーカーがなかなか
こんな所に居たんですか
どっかにあるんじゃないの
おかしいナ風邪引いた
旅へ出てもギャンブル
六日酔いです
黙って笑ってろ
あのCMで誰が競輪へ行くんだ?
2005年もこりゃダメだ
そりゃ、そうだな
新婚旅行は怖い
医者がくわえ煙草で
いろんな人に逢うもんだ
良いニュースは後閑の初栄冠
組織に狙われる
どっちがジミかね?
金はワルに寄る
後閑、失格の大失態
アホー犬は私だった
ワニは馬より速い
面白かった本まとめ(2006年)
面白かった本まとめ(~2006年)
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<今日の独り言>
2歳11ヶ月の息子が「傷ついちゃった心はなかなか消えない・・・」と言っていると思っていたら、真相は「傷ついちゃった所はなかなか消えない」と自分が傷つけた机のことを言っていました^_^;)「心」と「所」は発音が似ていますが、意味は大違いですね^_^;)
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この本は、直木賞作家の伊集院静さんの「週刊大衆」2004年4月19日号~2005年4月4日号に掲載されたエッセイをまとめたものです。
特に競輪や競馬、麻雀などについて詳しく書かれており、ギャンブル好きな方には堪らない本です!
特に、競輪については、思い入れが強いようでかなり詳しく書かれています。
以下面白かったところの抜粋です!気軽に読めてとてもお勧めな本です!!
(1)計6回の麻雀の半荘が終わったのが朝の8時だった。
「さあ、終わりにしようや。清算しようか」
Kの言葉に男は平然としていた。
Kが嬉しそうに男に金額を言った。
「さあ払った。払った」
「・・・・・・・・・・」
男は何も返事をしなかった。
私もKもSも、男の顔を見た。
「おい、どうしたよ、払ってくれ」
Kの言葉に男は言った。
「金はない。」
Kが狐につままれたような顔をした。私もSも男を見た。
「何を言っているんだ。冗談はなしにして払いな」
Kの口調が変わっていた。はっきりしたヤクザの口調である。男は上着の中から、あるだけの金を卓の上に置いた。千円札が数枚だけだった。
「おい、ふざけてんのか。どうするんだ、この始末を」
Kが大声を出した時、顔色ひとつ変えずに男がぽそりと言った。
「歌でも歌いましょうか」
その瞬間、私は男の口から発せられた言葉をよく繋ぎ合わせられなかった。
あとにもさきにも、これまで耳にした修羅場のセリフの中で、この言葉の抜け加減は1、2、である。
(2)私がわからないのは大晦日にテレビで紅白歌合戦なんか見る人たちである。
-あんなもの見て何が面白いのかさっぱりわからない。
初詣に出かけて新しい年のことを祈る人たちの気持ちもわからない。祈るくらいで何かが変わるなら、私なんぞ毎日祈りますがな。
だから正月の記憶なんてほとんど何もない。
よく覚えているのは子供の時、寒風の中をステテコ1枚で素足、びっしり刺青をした兄さんが全速力で走ってきて、すぐあとから同じようにステテコ穿いた刺青だらけの丸坊主の兄さんが日本刀を抜いて大声で追走してきて、少しして今度は血だらけの長襦袢の女が悲鳴を上げながら数人のこれも上半身裸の兄さんと走り抜けた。
あとから聞けば、刑務所から出所してきたヤクザの組の者が服役中に女を寝取られたらしく、元旦から大騒ぎになったと言う。
すると走り去った連中が今度は走って引き返してきた。
今度は日本刀を持っていた兄さんが先頭で逃げて来て、追いかけているのは長襦袢の女だった。彼女が日本刀を持っていた。
-あれが印象に残った正月の風景だったな・・・・・・。
(3)そう言えば暮れにヤンキースの松井秀喜選手と食事をする機会があった。
またひと回り身体が大きくなっていたようである。
「君、また大きくなってない?この調子だと4、5年先には3メートルくらいになるんじゃないの」
「いや、そこまでは無理だと思います。せいぜい2メートル50くらいじゃないですかね。」
「本当だね。2メートル50までいったら私、君を連れて見世物小屋を回るからね」
「よろしくお願いします」
さすがにニューヨークへ行くとジョークの質が良くなるものだ。
(4)テレビを点けると、防府競輪と大津びわ湖競輪のS級線を中継していた。1レースの売上を見て口があんぐりとなった。最終レースまでには売上も上昇するだろうと見ていたが、その気配はない。
-これって昨日、私が抑えで取り込んだ車券の配当より少ないんじゃないのか。
この売上でどうやって車券を買えばいいのだろうか。
客が減ったのが一番の原因だが、競輪を支えていたファンを裏切るルールをどんどん作ったのは競輪界なのだからしかたない。あんな阿呆みたいなコマーシャルフィルムを見て、昔、男の本当のギャンブルは競輪だと信じていた男たちはさぞ草葉の陰で嘆いているのだろう。
その男たちを満足させる後閑のような選手が出現したのが嬉しい。
<目次>
どうにかなるか・・・・・・、いいえ、どうにもなりません
勝てる勝負ならいくらでも・・・・・・
オッサン、麻雀の話かよ
競走馬の名前
サイン会と皐月賞
情報信ずべし、情報信ずべからず
そこで何をしてたんだ?
人間は不可解である
春の旅の終わりに・・・・・・
せっかく命拾いしたのに
安手を引かなかった男
あと一人が大変
台風に揺れながら
なぜかイスタンブール
誰だ、それは
弥彦の打ち合い
友って何だろうナ
あっと言う間ですよ
メール打ってて死ぬのか
何がいいのかオリンピック
捲りはヤワ
ひでえ夏だった
一人の少年の死
メジャーと日本の野球
プロスポーツなら闘え
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66レースを戦ってみた
何が起きても平気
クリップバンドが外れた?
スポーツを、戦いを楽しむ?
ポーカーがなかなか
こんな所に居たんですか
どっかにあるんじゃないの
おかしいナ風邪引いた
旅へ出てもギャンブル
六日酔いです
黙って笑ってろ
あのCMで誰が競輪へ行くんだ?
2005年もこりゃダメだ
そりゃ、そうだな
新婚旅行は怖い
医者がくわえ煙草で
いろんな人に逢うもんだ
良いニュースは後閑の初栄冠
組織に狙われる
どっちがジミかね?
金はワルに寄る
後閑、失格の大失態
アホー犬は私だった
ワニは馬より速い
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2歳11ヶ月の息子が「傷ついちゃった心はなかなか消えない・・・」と言っていると思っていたら、真相は「傷ついちゃった所はなかなか消えない」と自分が傷つけた机のことを言っていました^_^;)「心」と「所」は発音が似ていますが、意味は大違いですね^_^;)