「グルメの真実」の購入はコチラ
「覆面・自腹」を基本として、客御目線でグルメ界を斬るレストラン評論家である友里征耶(ともさと・ゆうや)さんが、一般客をないがしろにして暴走を続ける「飲食店ムラ」の住人たちをこれ以上放置することはできないと考え、できるだけ具体名を挙げて業界のウラを暴くことに徹した本となります^_^;)(ただこのブログではその具体名は良いお店以外は避けさせて頂きます)
闇を白日の下に晒して蹴破ってこそグルメ業界の健全な発展があるとのことで、素晴らしい考えだと思います。
本書は、具体的には食材、調理、メニュー、料理人、料理評論家やブロガー、飲食店業界関連企業などのウラについて書かれ、そして最後に飲食店業界からなめられない賢い客たれということでそのノウハウについて書かれています♪
特に以下についてはナルホドと思いましたね♪
・天然ものがすべて美味しいわけではない
・禁漁期に出てくるズワイガニは冷凍物?
・高額ではない白トリュフはエッセンス(オイル)を利用?
・スッポンはほとんどが養殖で店への卸値は1匹4千円もしない
・早松(さまつ)は、時期が早いだけの松茸で香りや味わいも頼りないなんちゃって早松が出されることが多い
・サマートリュフもなんちゃって高級品が多い。日本の流通業者の上代はアルバ産の白トリュフはキロ80万円に対し、サマートリュフは5万円前後
・店で「和牛」と書かれていないものは、乳用牛のオスの廃牛かF1と呼ばれる交雑種の「国産牛」。和牛は黒毛和種、日本短角種、無角和種、褐毛輪種の4種。
・肉と内臓の流通ルートは別で和牛の内臓を特定するのは難しい
・肉の低温ローストを店が好む理由は柔らかく仕上げられる、歩留まりが良くなる、火入れの失敗を急減できるから
・本来フレンチではスープやソースのベースとしてブイヨンや各種フォンを作るため長時間煮込む寸胴鍋がキッチンに必要だが、ない場合は業務用を安く仕入れ?
・イカ以外の生け簀料理は美味しくない?
・値段が高騰しているレア日本酒、焼酎は、実は蔵元の収入は変わらず、流通業者が儲けている
・赤ワインが冷えているとワインの善し悪しがわかりにくい
・シェフがどこで修行しているかを確認するのは有用
・撮影用の料理は味付けされていない
・再開発ビルテナントのお店はその費用負担が多い
・支店を作れば作るほど本店含めて料理やサービスのクオリティが落ちやすい
「グルメの真実」という本は、コスパ良く美味しい料理を頂けるレストランの参考となりとてもオススメです♪
以下はこの本のポイント等です♪
・天然物は当たり外れがあるといわれていますから小ぶりなウナギで養殖物より美味しいウナギに当たる確率はほとんどないのであります。
・たとえ魚介類とはいえ、何でも天然であれば美味しいという「天然神話」は必ずしもそうはいえないということがわかると思います。すべては食材の質。ウナギの場合は産地(川)、獲れた場所(上流か下流か、秋に河口付近で獲れた下りウナギが最高という説もあります)、大きさなどでウナギの美味しさはまったく異なってしまうと言うことをご理解ください。そして調理も重要です。
・間人蟹と津居山蟹は多少の違いはあるようですが、違いは価格(知名度)だけと言われているのが関アジ・関サバvs岬アジ(ハナアジ)・岬サバ(ハナサバ)であります。一時は生で食べられると高付加価値を生んだ関サバですが、そこらの居酒屋メニューにまで進出してブランド力は低下してしまった。しかし「岬」というブランドを東京で知っている方は少ないはずで(しかも「ハナ」と読むことまで)、アジやサバは連れて行かれた東(岬)と西(佐賀関)でその後の扱いが大きく異なってしまうわけです・
・知名度ある水産物のブランド王が「大間のマグロ」であります。漁場が同じながら北海道側に揚げられた戸井鮪は悲劇と言いますかその存在を知らない人も多いのではないか。この大間vs戸井の戦い、価格と反対に戸井に軍配を挙げる専門家も多い。小さな船で何時間もかけて一本釣りして引き揚げ、神経抜いて再び海中を牽引して港に水揚げする大間マグロは、身が焼けている確率が高いというのです。反面、戸井のマグロはパフォーマンス性が強い一本釣りではなく延縄漁法でありますが、身焼けしないように大型船に引き揚げて神経と血を抜くとすぐ氷結させるという処理をしています。
・私の知識では越前蟹、松葉蟹ともオスは11月6日から翌年3月20日まで。メスは養殖の関係からか期間が短く11月6日から翌年1月10日までとなっています。11月6日から各港ではこぞってズワイガニ獲りに励むのですが、解禁直後は価格の安い(オスの5分の1から10分の1くらい)メスガニ(せいこ・セコ・香箱・コッペと地域によって呼び名は違う)を獲りまくるそうです。価格は安いけど漁期が2ヶ月しかない上に、オスよりこの安いメスを好む人が結構多いんですね。ところがこのメスガニ、年を越えたどころか1月中旬から下旬にかけても出してくる店が結構あるのです。鮮度がウリのカニをなぜ禁漁期になっても提供出来るのか。安直に密漁と考えるより、ロシアものを含めた冷凍物と考えた方が無難であります。
・客側がエッセンスの添加を望んでいるのではないかと私は考えるのです。キロ数万円から最高級品は20万円する日本の松茸。白トリュフはさらに高額で、最高峰と言われるアルバ産は日本でキロ50万円以上すると言われております。ここ数年、本場のアルバへ白トリュフを食べに行っている友里ですが、現地でもキロ30万円は下らないことを確認しております。採算を考えたら、こんな高額なキノコをふんだんに使用して、誰もが満足する香り付けにすることは不可能。エッセンス(オイル)の助けを借りずに出したら、客は「物足りない」と文句を言うことになるでしょう。というか、客の多くが松茸や白トリュフの人工的な香りを店に期待しているのです。
・巷で高級と思われていながら、実は仕入れ値がそんなに高くない食材の代表格はスッポンです。流通しているスッポンのほとんどが「養べつ場」で生産される養殖ものでありますが、どこの店でもスッポン鍋をメインにしたコースは1万円以上(なかには簡単な小料理を出して客単価3万円にした店もある)と高額設定であります。素人である一般客は、この全国談合の設定価格を見て、スッポンは高級品だと錯覚してしまうのですが、実はこの養殖スッポン、店への卸値は1匹4千円もしないのです。1人分のコース(スッポン鍋)で1匹丸ごとつかうことはあり得ません。ひいき目に見て、1匹を2名客に提供したとしても、スッポンコースの原価はわずか2千円以下。そんなに高い物ではありません。
・スッポン以上に和食店でありがたがる客が多いのが早松(さまつ)であります。文字だけを見たら、旬(最高級と言われる丹波産なら10月)より早く出た松茸と錯覚するかもしれません。現に夏の時期に「さまつ」と称して自慢げに客に出す和食店が多いのですが、これは単に地域を限定せず(海外産含め)時期が早いだけの松茸。香りや味わいも頼りない「なんちゃって早松」なのであります。本当の早松とは5月下旬から6月にかけて有名産地の松茸が、旬の時期に似た気候であるゆえに間違えて地上に出てきたもの。希少で物珍しさから高額で取引されるものなので、普通の和食店で提供できるものではありません。香りや味わいは旬のものには及びませんが、海外産や下手な国産よりは上と言われております。真の早松は高級品でありますが、広く出回っている自称早松は高級品ではないのです。
・そして早松以上にイタリアンなどで目立つなんちゃって高級品がサマートリュフです。丹波の松茸を茸の王様と例える人もいますが、香りの強さと価格の高さを考えると、茸の王様はアルバ産の白トリュフに軍配が上がります。10月から12月にかけて出回るものですが、最近はその前に、サマートリュフとわざわざ銘打って付加価値を付けて出す店が多くなりました。しかしサマートリュフの実態は、どちらかというと白トリュフより価格が安いので大量に使え、加熱調理にも使える黒トリュフ(旬は1月から2月)と同じ種のはず。香りも白トリュフどころか黒のウィンタートリュフにも遠く及ばないものではるかに安いのです。白トリュフの価格を100としたら、黒トリュフは30以下か。サマートリュフに至っては5~6くらいにしかなりません。日本の流通業者の上代価格で言いますと、白トリュフはキロ80万円、サマートリュフはわずか5万円前後と覚えてください。
・廉価な店に限らず普通の焼き肉屋で出てくる肉はほとんどが国産牛。つまりホルスタイン種(乳用牛)のオスの廃牛か、F1と呼ばれる交雑種(肉用種と乳用種の掛け合わせ)であって、肉用種である和牛ではありません。店でわざわざ「和牛」と書いていない牛肉はほぼ100%乳牛系だと思って間違いないでしょう。国産と聞きますと日本産か、では和牛なのかと思いがちですが、種はまったく違うのです。有名鉄板ステーキ屋や高額しゃぶしゃぶ・すき焼き屋でも、わざわざ「和牛」と銘打っていない場合は「国産牛」であると思ったほうが無難であります。そして和牛は黒毛和種、日本短角種、無角和種、褐毛輪種の4種に区別されております。最高峰の黒毛和牛はサシも入りやすく、脂好き、柔らかいもの好きな人に好まれますが、フレンチやイタリアンのメニューでは「短角牛」という単語を最近よく見かけます。岩手が中心の日本短角種という和牛なのですが、比較的赤身が多い種でして、黒毛牛より価格も安いことから、この手の店では好んで使われるようになりました。
・最近アメリカのレストランで、「ワギュー」という単語をよくメニューで目にします。「ほー、高い神戸ビーフでも輸入したのか」と産地を聞いてみるとアメリカ産なんですね。和牛というか、和牛種(多分黒毛和牛)をアメリカで繁殖・肥育させただけのもの。法的な縛りはないですが、各銘柄牛はそれなりの基準で肥育されていますから、アメリカのこの牛は単なる「ワギュー」、無理に言えば「和牛種」であって「和牛」ではありません。勝手にアメリカで肥育しているのですから。
・実は日本の肉と内臓の流通ルートは別なのであります。肉は肉専門、内臓は内臓専門のルートに乗って流通することになりますので、なかなか和牛の内臓を特定することは難しいのです。ロースやヒレと同じルートで同時に購入することはできないのですが、逆に内臓肉に強いという業者も多く存在しているのです。しかも国産牛より和牛の内臓肉が必ずしも美味しいというものでもありません。まずは鮮度が命。ロースヤヒレといった肉と違って熟成させるものではないからです。鮮度の悪い和牛の内臓肉より鮮度の良い国産牛の内臓肉のほうが美味しいはず。
・昔からよく言われているのが「魚沼産のコシヒカリ」の流通量の怪であります。正確には「南魚沼産のコシヒカリ」がコシヒカリ米の最高峰ブランドのようですが、全国のスーパーなど食料品店には「魚沼産コシヒカリ」があふれかえっております。この全国に散らばった「魚沼産コシヒカリ」をすべて合計したら、実際の魚沼産コシヒカリの生産量の数倍、数十倍になってしまうと昔からよく言われております。
・オーブンの温度を150℃以上ではなく120℃以下に落として焼き上げる低温ロースト、本来の目的は肉にストレスを与えないよう、肉汁がにじみ出ないことを目的にしております。最近の若手シェフがこの調理法を好む真の理由は大きく分けて以下の三点があります。
1、柔らかく仕上げることができる
2、歩留まりが良くなる
3、火入れの失敗を急減できる
最近は柔らかいだけで美味しいと勘違いする客がほとんどですから、ゆっくり焼いて肉汁の逃げが少なく、食材(主に肉)の縮みが少なくなり(歩留まりが良い)、火入れの失敗がなくなるから食材の無駄がなくなると、客のことを考えなければ店側にとっては正に良いことずくめ。最新のスチームコンベクションを使用すれば、芯温管理も調理時間もコンピューター任せで出来ますので人件費(シェフの負担も)の節約にもなるのです。
・オープンンキッチンをウリにする店も多いですから、訪問したならばそのストーブ(加熱調理器具)辺りに注目してください。家庭にはない大きめの寸胴があるでしょうか。本来フレンチではスープやソースのベースとしてブイヨンや各種フォン(牛、仔羊、鶏など)は必須でありました。そしてそれらを自店でつくるため長時間煮込む寸胴鍋が常備されていたのです。でもこのブイヨンやフォンは、手間と人と場所が必要なのです。最近は業務用半完成品が多く出回っており、自店で作らなくてもブイヨンや各種フォンはいくらでも安く購入できます。ただしこれらの業務用完成品には安くて手間が省けるだけに欠点があるのです。それは独特の味わいであります。化学調味料はじめ各種添加物を入れているので当たり前なのですが、どれも似たような味のトーンでありまして、違う料理を食べたとしてもベースにこれらを使用しているとすぐ飽きがきてしまうのです。
・現在の予約困難な店を見てください。たいてい予約受付日を「前月(前々月)」の1日から」とか「2ヶ月前の同日から」に指定しております。しかし実態は、その受付日のはるか前に、常連やリピーターの予約を先に入れているのです。しかも予約競争の激化を演出するため予約電話を1本に限定している店もありまして、電話がつながりにくいという相乗効果も手伝って一般客にはまったく予約が困難な店が出来上がっているのです。
・魚介類は鮮度も重要な要素でありますが、「寝かし」という熟成も白身などには必要と考える料理人や客は多い。肉と同じく、釣り上げた魚をその場で神経飛ばして〆て、何時間か寝かせる(熟成)ことによって「旨味」を引き出すという手法であります。熟成させることによってねっとりした食感になって旨味も増した白身、フグなど白身魚には特に関東で求められる手法であります。生け簀料理最大の欠点は、即〆のコリコリ感ではなく、ベチョベチョ感なのであります。ピチピチと威勢の良い魚を〆て血抜きをする暇もなく捌くわけですから、捌くとき血の処理のため水をかけまくるわけです。当然ながら捌かれる魚の身にも水が大量に降りかかりますから、身の旨味も洗い流されてしまうのではないか。速攻で捌いて皿に盛りつけられますから、旨味が回らないだけではなく水を吸って身はベチャベチャ。美味しいはずがありません。しかしこの生け簀料理でも唯一最適な食材があります。イカは白いものと勘違いしそうですが、生きた新鮮なイカの身は透明であります。イカはわずかな例外を除いて、熟成させず新鮮であれば新鮮なだけ美味しいとされております。むろん捌きたてのイカの身は透明でありますから、生け簀料理にはもってこいの食材と言えるでしょう。
・私が普段購入している「スペシャルティ コーヒー」(産地だけではなく栽培農園や品種が明記されているハイクオリティもの)でさえ小売価格で200g千円台半ばですから、6倍以上の高値付け。
・さぞかしレア日本酒、レア焼酎の蔵元は儲けていると思いがちでしょうが、実は末端でどんなに高い値がつこうと蔵元の収入はまったく変わらないのです。はっきり言いますと、「蔵出し価格」はレアだろうが何だろうがみな同じ。一升換算でもせいぜい数千円と言ったレベルであります。ではなぜ10倍、20倍にふくれあがるのか。それはその差額をぜーんぶ流通業者たちがポケットに入れてしまうからであります。
・世界で一番高いといわれているワインはロマネ・コンティでありましょう。ヴィンテージにより必ずしもその年のワインの最高値とは限りませんが、生産本数が少ないこともあり、最新の売り出し価格でさえ日本では20万円前後(普通の大きさのボトルです)と超高価。ちょっと年数が経つとすぐ50万円、100万円に急騰する超高額ワインであります。でもその原価(生産しているDRC社)が1本あたり数千円と聞いてしまうと、バカらしくて買う気は失せる(でも飲む気は失せない)のではないでしょうか。限りなく人件費がタダに近く、土地代も比べものにならないくらい安い国で生産するからこその数字でありますが、酒類の値付けなんてこんなボッタクリが多いものなんです。
・スタッフが提案する「オススメ料理」は客の嗜好を考えたもの、つまり客の立場で考えたものではないことがわかると思います。そうです、店にとってオススメというか都合の良い料理を勧めてくるだけなのです。そろそろ賞味期限(熟成期限)が切れそうなもの、意外に安かったので多く仕入れてしまったもの、などなど。店はオープン前にこの「オススメ料理」をホールスタッフに通達しているとも漏れ聞いております。またビストロやトラットリアなどにある黒板メニューや和食系に見られる壁に貼られたメニューも似たような意図で書かれたものが多いのです。
・廉価な店によく見られるのですが、赤ワインを冷やして出してくる場合があります。セラーではなく冷蔵庫のようなものに入れている店もあります。むろん室温にさらして温度を上げることもなく、冷えたままグラスに注いでくるのですがこの目的は何なのか。それはずばり、冷えているとワインの善し悪しがわかりにくくなるからなのです。高いワインも安いワインも冷やしてしまえば大差なし。と言いますか、常温では不味くて飲めないと思う安い赤ワインも、冷やせばそこそこ飲める味わいになるということです。
・世にこれほどビール好きが多いというのに売れるはずのビールをなぜ置かないのか。この理由は飲食店のセコイ戦略からなのです。ビールの値段は、小売り希望価格が世に開示されておりますから、ほとんどの客が知っています。大瓶で三百数十円というのはお酒に興味がない人以外誰でも知っている数値です。元値が客にばれていますから、料亭など超高額店でもビールの価格はどんなに頑張っても、千円を超すのは難しい。面の皮が厚すぎなければ、せいぜい900円が限界ではないでしょうか。相場価格が世に知れ渡っているからなかなかふっかけられないのです。しかい同じ食前酒でもビールのライバルであるシャンパンはどうでしょうか。グラス売りするノンヴィンテージものだと720ミリリットル1本は3千円前後で十分仕入れるこの代物が、店ではグラス一杯で1500円、なかには2000円を超す価格で出している厚顔な店もあるのです。グラス売りが1杯80ccとすると、1ボトルからとれるグラス数は9杯分。1杯あたりの仕入れ値は3000円/9杯ですから400円に満たないのです。150円前後の小瓶ビールを900円で売るよりも三百数十円のシャンパンを2千円で売る方がはるかに儲けがでかいということがおわかりいただけるでしょう。
・友里はレストランを初めて訪問するとき、あれば必ずその店のHPを確認します。何をチェックするかといいますと、主にメニュー構成とシェフの経歴。料理はコースだけなのか、アラカルトもあるのか。シェフはどこで修行していたのかなどなど。100%の確率と言えませんが、アラカルトのメニュー構成や料理のネーミングを見るだけで良さそうな店かどうかが大体想像出来ます。料理写真があればなおさらのこと。そしてシェフの修業歴を見て、どのような料理が得意かどのようなポリシーで修業をしてきたのかも考えて、料理のクオリティを予想するのです。
・拙著「ガチミシュラン」(講談社)を出版する準備段階として、一年間、講談社のサイトで店評価のサイトを担当したのですが、そのトップページにレストランで食事中の写真(顎から下)を載せることになりました。シックな内装のフレンチで、用意された料理を前に写真撮影を終えたのですが、そのときのシェフの言葉が意外でありました。「撮影用なので味はつけておりません」なんと見た目だけの料理なんですね。料理雑誌やガイド本での取材では、このように味をつけず冷めた料理で充分なのだそうです。私が思うに、料理店紹介雑誌に掲載されている料理写真のほとんどはこの「見た目だけの料理」でありましょう。そしてさらに驚いたのは、取材に同行してくるこれらヨイショライターたち、ほとんどが料理など食べず店主やシェフの話をメモして帰って行くだけだそうです。
・飲食店の数が激減したアークヒルズ、高額店の集客率が激しく落ちた丸ビル、注目が数年しかもたず撤退が続く六本木ヒルズ、最初から客入りが悪かった交詢ビルや銀座ベルビア、2年ももたず撤退が出ているミッドタウンなど、「再開発ビルテナント店」の悲惨さは目を覆うばかりであります。再開発ビルの地代が高いのは当たり前です。地代のほか売り上げの一部を要求される場合もあります。内装工事も業者を指定されるなど制約があることが多く、そのような指定業者が割高なのはこれまた世間の常識です。再開発ビルのコンセプト(観光客目当て)上、年末年始や夏期、そして土日の営業を要求されるのも当たり前。定休日を自由にとれませんからスタッフのやりくりも難しく人件費も割高となります。その他入居して数年間はテナント側から撤退出来ないようなキャンセルポリシー契約など不平等条件がてんこ盛りとなっております。こんな厳しい条件の中で利益を上げるとしたら、食材の質、料理の手間暇、サービスの質、客単価をいじらざるを得ません。制約や条件が厳しくない店とは比べものにならないハンディを背負っているのが再開発ビルの店なのです。
・支店を作れば作るほど、本店含めて料理やサービスのクオリティが落ちていくという主張でありますが、なぜ彼ら料理人や経営者は支店を作りたがるのか。それは売り上げ増による利益拡大を狙っているからであります。つまり自分の店の規模を限りなく拡大したいという「上昇志向」の現れなんですね。
・ワインの値付けの安さで集客をはかっている店の例を挙げましょう。広尾近辺にある小さなフレンチ「ボン・ピナール」、料理は発展途上の状態であったオープン当時から、ワインの価格は仕入額に一定値の粗利しか乗せていなかったようで、物によっては市場価格(ワインショップ価格)より安いワインがあるほど値付けが安かった。高額ワインになるほど割安感が出たので、ワイン好きが集まってオープンしてから注目されるまでそうは時間がかからなかったのです。HPでワインリストを公開している店は少ないですが、料理価格だけではなくワインの値付け情報も得るよう努力する賢い客にならなければなりません。
・友里征耶がいちばん力を入れている定説が「性格の悪い料理人(経営者)の店に美味しいものなし」であります。本著で述べてきた、
・クオリティの劣化を知りながら支店を増やす、多店舗展開をする
・限りなく嘘に高い客釣りキャッチを発信する
・酒類の値付けを無茶苦茶高くする
・肝心の料理以外で客を釣ろうとする
・料理評論家やライターにタダ飯を振る舞って宣伝してもらう
・満席偽装など予約困難店であるよう演出する
・品のない常連客をのさばらせ続ける
・文化人や業界人を甘やかす
・見栄を張りすぎる
・本当の修業歴を披露しない
・そして一番悪いが嘘を平気でつく
とみられる料理人は、友里が言うこの「性格の悪い」の範疇であります。このような料理人や経営者の店ヘは近づかないのが外食で失敗しない一番の対応策であります。
良かった本まとめ(2018年下半期)
<今日の独り言>
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