グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

春を待つ生きた枯葉?

2009年12月08日 | 
 12月になったというのに暖かい日にはまだ虫の姿を見かけることがあります。

 先日のスタッフ勉強会で野鳥観察している時のことです。林の中の小道をひらひらと飛んでいるものがいます。

 止まるのを待って種類を確認しようと目で追うと、道端の落ち葉の上に降りました。その時の写真が上の画像です。見事な擬態で最初数人で目を凝らしてもまったく見つかりませんでした。
 どこにいるかわかりますか?ちょっと葉っぱが被っていて意地悪な画像ですね。

そっと手前の枝をどけて撮ったのが下の画像です。



さて、この虫の正体は?!
蛾ではありませんよ~。地味ですがチョウです。
 クロコノマチョウという種類です。
ジャノメチョウ科に属するチョウで、日本では本州南西部(静岡県など太平洋沿岸部から紀伊半島、瀬戸内海沿岸部)から四国、九州、屋久島、種子島にかけて分布しますが、本州中部地方の太平洋岸に定着するようになったのは昭和30年代以降のことなのだそうです。
 とても近い親戚にウスイロコノマチョウという種類が居ますが、こちらはより南方系で奄美諸島以南に分布するとされています。
 薄暗い林の中に居るので漢字では「木間蝶」と書くそうです。

こんな時期に成虫でうろうろしているのは、彼らが成虫で越冬するからなのです。真冬でも暖かい日にはちょっと飛び回ったりするのかも知れません。
 ちなみにこの蝶には形がちょっと異なる夏型と秋型がありますが、越冬するのは秋型です。

 日本産ジャノメチョウ科のうちで成虫で越冬するのは、本種とウスイロコノマチョウくらいです。

 幼虫の食草はススキ、ジュズダマなどらしいので、来年の春には伊豆大島でも幼虫が見られるかもしれませんね! 

(あまの)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする