グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

【 魚達の住宅事情 】

2010年05月19日 | 海の生物
伊豆大島に移り住んで20数年経ちますが、その間何回かの引っ越しを経験しました。
しかし、毎回感じたのは貸家が少ない事、住まい探しにとても苦労するのです。
空き家を見付けても、中々貸してもらえません。
一番多い理由は、「夏に親戚が帰ってくるから・・・。」 
確かに、子供達の9割以上が高校卒業と共に島を出てしまうという事情を考えると
何となく判ります。
あと・・・私が怪しい人物だから、“ウ~ン?それも有るかも知れません” 苦笑

さて、島の住宅事情はさて置き、海の中で魚達はどんな生活をしているのでしょう?

人間にとって住まいは生活のベース、本来一番安心できる場所だと思います。
遊泳性の生活を送るモノ達は別として、海の生き物もそれは同じ事。
己の身を守り、そして繁殖の場にもなります。今回は、そんな魚達の住まいのお話です。

まずこれは、おそらく知らない方は居ないかも知れませんね。“クマノミ”です。

イソギンチャクを住みかにしています。
クマノミにも色々な種類がいますが、大島で観察できるのはこの“クマノミ”だけです。

南方系のクマノミは、伊豆半島も含め一度も確認されていません。
季節来遊魚としても流れて来ないのです。
南の島では、
色々な種類のクマノミが、それぞれ違う決まった種類のイソギンチャクと共生しています。
夜潜ると、イソギンチャクにくるまって寝ているんですよ。

これは“ムチカラマツ”に住んでいる“ガラスハゼ”

滅多な事では、此処から離れません。
離れるのは、近くを餌となるプランクトンが流れて来た一瞬だけ・・・。
この棒の様な“ムチカラマツ”に卵を産み付け、孵化まで見守ります。

イシサンゴの間に身を潜める“ヒメゴンベ”です。

サンゴの表面に出ている事もありますが、近付くとすぐに隙間に隠れてしまいます。
勿論寝る時も、堅いサンゴに守られて眠っています。

単管(足場パイプ)に住みついた“カエルウオ”

普通は、水面近くの岩壁や岩場に生息し、岩の隙間(亀裂)を住まいにしています。
しかし、こんな人工物にも住みついてしっかり子育てもしています。
パイプの中に産卵時期が少し違う卵が産み付けられています。判りますか?

これは、ゴカイがサンゴに開けた穴を利用している“トウシマコケギンポ”

たまに巣穴を横取りされる事があるのか?出ている事もありますが
全身を観察できるのはかなり珍しいです。


最後は、ジョーフィッシュ(アゴアマダイの仲間)
何処に居るか判りますか?  石を咥えようとしています。

この魚の住まいは凄いです。巣穴の中を覗き込むと、綺麗に石積みされているのが判ります。
まるで城壁の様です。(画像が無くてごめんなさい)

何度か巣穴作りに遭遇したので、その様子をご紹介しましょう。

巣穴を作る場所は、砂や小石、貝殻等が程良く混ざっている“ガレ場“

まず凹地の中心に、自分の体(人間で言えば腹囲)より少し大きめに小石を丸く並べます。
次に石の周囲に砂や小石を運んで埋めます。そして更に石を重ね、また周囲を埋めていきます。
これを何度も繰り返し、すっかり凹地を埋めてしまいます。
そして今度は、下から石や砂を運び出しながらトンネルを掘るのです。

この魚は子育ても変わっていて、♂が卵を口の中に咥えて育てます。
しかし、数週間掛る孵化までの期間、ず~っと咥えている訳にもいきません。
巣穴の補修やお食事・・・

そんな時の為に、巣穴には卵の保管スペースも作られてるようです。
夜寝る時や子育て中は、しっかり石で蓋もします。

全て作業は口を使って・・・
だから顎が発達して、名前が”アゴアマダイ”になったのかも知れませんね。

この他に、かなり変わった住まいを持つ魚達

☆ ナマコの肛門に住む、“ナマコカクレウオ”
☆ クラゲに住む、“ハナビラウオ”や“クラゲウオ”

文・画像  海チーム KY

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする