グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

ハチジョウイボタ

2010年05月21日 | 
 白く可憐なイボタの花が咲く時季が来ました。大島でイボッタ・エボタなどと呼ばれる、この木の和名はハチジョウイボタです。

 ハチジョウイボタ、ハチジョウイタドリ、ハチジョウススキ、ハチジョウオトギリ・・・ 

 「大島なのに、何で八丈?」と時々お尋ねがあります。遠く離れた八丈島と大島は同じ伊豆諸島と言っても、観光にいらっしゃるお客様にとっては、違う場所。

 これには伊豆諸島の成り立ちや、植物の分化の仕方などから考えなくてはならないようです。私たちも見てきたわけではないので・・・詳しいことは言えませんが、ずっと遥か大昔に伊豆諸島の島々は地続き(あるいは地続きに近い状態)になったことがあったとする説があります。

 数十万年前のこと、本州と一体化する前の伊豆半島もいくつかの火山島だったそうです。フィリピン海プレートにある伊豆半島・諸島の成り立ちを想像するのも楽しいものです。

【ハチジョウイボタの花】

 ハチジョウイボタのラテン語の学名には、var.pacificum(太平洋の)とあり、ハチジョウは登場しません。
 伊豆諸島の固有・準固有種の和名には、シチトウ○○、イズノシマ○○、オオシマ○○、ハチジョウ○○などがあり、島嶼型・海洋型の分化と言われています。 



 この花は強烈な香りで虫たちを誘います。でも、ここでご紹介するのは、花の咲く前にイボタにいた虫です。



 細い枝に直径1.5ミリ程の卵が産み付けてありました。11個ありますね。
しばらくして見たら、みんな孵化していました。孵化率100%?!



 長ーい、角(ツノ)?を持った大きな幼虫が一生懸命にイボタの葉を食べていました。
イボタガという餓(ガ)の幼虫です。卵から孵化したての小さな幼虫は、しま模様があるので、
これは2齢幼虫でしょうか。見逃してしまいました(汗) 





 3~5センチ程の、このタイプの幼虫が、他の場所でもたくさん見られました。
いままで、こんなに見た年はありません。

 頭の方に4本、後ろに3本、
いったい、この長い角(突起?)は、何のためにあるのでしょう???

 じゃまじゃない?



 イボタの枝先に、昨年の花柄が残っていて・・・何となく、幼虫の角に似ています!!

 これに擬態していたのか?!(笑)




 いい場面に遭遇しました。角の衣装を脱皮して、7センチ程の特大の幼虫になりました。

 

 こちら(↓)は、3月30日頃に近くの果樹園で見つけた、イボタガの成虫です。
幼虫たちのお母さんかも知れません。

【イボタガ(裏)】


 幼虫たちは、やわらかい葉をたくさん食べて、土にもぐって蛹(さなぎ)で越冬します。
昨年は、3月上旬に成虫を見つけました。
 半常緑のハチジョウイボタは、低地では早春でも葉があるので、幼虫は食べ物に困りません。

【イボタガ(表)】



 羽化したてのようでした。何とも綺麗ですね。

 イボタの化身、イボタガ。


 (なるせ)




コメント
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