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グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

4学会合同調査

2013年11月10日 | 火山・ジオパーク
昨日と今日の2日間、台風26号の土砂流災害に対する土木学会・地盤工学会・日本応用地質学会・日本地すべり学会の4学会合同調査が行われました。

調査団の皆さんは、砂防ダムが今回どう働いたかの検証だけではなく、その上流がどうやって崩れたのかを、意見交換をしながら調べていました。

調査はまず、遠くから全体を眺めることから始まります。


その後、歩いて崩壊斜面を登って行きます。


時には、こんなスゴイ斜面も…。
崩れた斜面の一番上近くに、白い服を来た人が立っているのが見えるでしょうか?
(1mmぐらいの白い線に見えます)

つかまるところが何もない急斜面です。
ちょっと信じがたい光景でした。

「危なそう」と思うような場所も、どんどん登って行きます。
(写真には写っていませんが、もちろんチームで行動しています)

皆さん、どんなところでも歩けるスーパーマンなのかと思ったら、数人の人が転ぶ瞬間を目撃しました。“転ばない”のではなく“怪我をしにくい上手な転び方”が身に付いているのだそうです。

近づいて観察し、写真を撮ったり記録したり、時にはサンプリングもするようです。


そして…測ります。

赤白のシマシマの尺は2m。
20cm感覚で色分けされているそうです。

もっと長いものもありました。

深さや面積から崩れた量を計算し、それが砂防ダムを作る時の資料にもなるようです。
こういう地道な調査から、計画が作られるのですね。

道中、不思議な風景を見ました。
土砂流の上に、まるで島のように残った高まり。

なんでこんな風に、流されずに残ったのでしょう?

高台のような場所もありました。


高台の上流は、まるで山の尾根みたいになって、そこに倒木が集まっていました。

これは流れの速い場所と遅い場所があって、流れの遅い場所に倒木などが寄せられてできるものなのだそうです。(私が疑問を口にすると、隣にいる人が誰でもすぐに答えてくれるのが、感激でした。)

「水の流れだけでも1つの学問だなぁ」と感心していたら「水工学」という学問があると教えてもらいました。(今回の調査は水工学の専門家の方達が参加しているのを、後から知りました。←字としては読んでいましたが認識できていませんでした。)

どの世界も本当に奥が深いです。

今回の災害を解き明かし今後の対策を立てるために、火山地質も気象も、地中や地表の水の動きも、構造物の強度やその影響も植物も、本当に様々な専門知識の協力が必要なのだと感じました。

そして今回の災害の謎を解くために、それぞれの専門家の方達が危険を伴う調査をしてくれていることを知って、新たな世界をのぞいたような気がしました。
 
今回の調査の報告は1月中にまとめられ、都内で報告会が行われるそうです。
大島でもぜひ、命がけの調査の結果を聞きたいです。

ところで今回の調査には、1986年の噴火から大島に関わり、大島の赤色立体地図も作製している千葉達郎氏も参加していて、火山についても色々教えてくれました。

地面の下に残されている、昔の大きな出来事の数々。

今回の災害よりも、もっともっと島全体に影響するような大きな出来事が過去に起きていて、そして将来再び起こる可能性がある。

今はそのことが、実感として迫ってきます。

「今の科学でどこまで災害が予測できるのか?」
「起きる前の実感のない災害に対して、皆ができる限り適切な避難をできるようになるには、『学んで伝える』ことしかないのではないだろうか?」

歩きながら、あれこれ考えた1日でした。

(カナ)



コメント (2)
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