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グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

元町林道北線リサーチ

2013年11月29日 | 火山・ジオパーク
昨日に引き続いて午前中は山のリサーチ、午後はボランティアに行ってきました。
リサーチの場所は元町林道北線(標高約300mライン)。

飼い犬が元気だったころは毎日のように通った場所です。カルデラの中の森とは違って樹種が多く、スダジイなどの巨木の姿を見ることができるので、ツアーでも時々使っていました。

林道の中間には、私の大好きな花「イズノシマダイモンジソウ」がこの時期花盛りを迎えているはず…そこまで行ってみることにしました。

歩き始めるとすぐに、深さ8~9mぐらいの深さまで道がえぐれています。


えぐれた部分の下は、溶岩流がむき出しになっていました。


この林道沿いには、1986年に山の中腹で起きた"割れ目噴火”の一番下の火口があります。「火口は埋まっていないのだろうか?」と思ってのぞいてみましたが、台風前と変わらない深さの穴があいていました。

が、火口の側の少し広くなっていた場所は…

広範囲に斜面が崩れ火山灰が一面を覆っていました。

山側斜面の様子はこんな感じでした。

斜面表面の大部分は、茶色の火山灰が覆っています。

林道は私が想像した以上に崩れていました。

こんなふうに所々で、崩れて来た木が道を塞いでいました。

大好きだった場所へ近づいた時、あまりの変化に驚きました。

ここは夏にはオオルリの美声が聞こえる、とても素敵な緑の森だったのです。
毎年実がなるのを楽しみにしていたサルナシ(キウイの原種)も、跡形もなく消えていました…。

「ここ、そばに火口があったんだね。溶岩が赤い。」と、同行していた嶋田が言いました。
確かに…。

今まで木々に覆われて見えなかった場所が、こんな景色だったとは…。

この沢の海側には、こんな景色が見えました。

大きく崩れた沢の斜面に長さ10mぐらいありそうなツル植物が垂れ下がり…
道路の下には、巨大な石がめり込んでいました。

こんな大きな石が、どこかから転がって来た時代があったのですね。

石の隙間から生えている木だけが土砂流に削られずに残っている姿に、なにか神々しいものを見るような気がしました。

そして、崩れた崖のすぐ側で…
咲いていました!

白いリボンのような花、イズノシマダイモンジソウです。
大好きだった森の無惨とも言える変化の中で、この花が残っていてくれたことがとても嬉しいです。

今回の災害でたくさんの傷を負ったけれど、残ったものたちが元となってまた新たな命が生まれる…

この小さな花が、それを伝えてくれているような気がしました。

(カナ)



コメント (8)
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