グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

崩壊斜面モニタリング調査・2018年5月

2018年05月17日 | 火山・ジオパーク
5月11日、今季初の崩壊斜面モニタリング調査があったので参加しました。

この日の調査には、農工大、環境省、気象庁、大島支庁土木課、ジオパーク推進委員会事務局、自然愛好会、ジオガイドの会から、合計10名が参加しました。

ワシャワシャ生えた元気な木々の合間を抜けて、調査地Bに向かいます。

みんなで手分けして、気象情報のデータ (雨量、風向風速、湿温度等)、植生回復状況 (植物の種類、数、樹高等)、土壌流出状況 (流出土砂と枯葉や落葉の量)などを調べます。

木々の隙間からしか見えませんが、下の写真に写っている人は、流出土砂と枯葉や落葉の回収作業中です。

私は、調査地の中に生えている植物の名前を調べていきます。

数mに成長したヤシャブシ(またはオオバヤシャブシ)が繁茂する場所の地面は、植物が生きていくために必要な光が少なく、生きるのには過酷な環境です。

それでも、暗いところでも生きていけるタイプの植物「ミゾシダ」の若葉や…


シロダモの幼樹が生えていました。(元気なし)


暗いところが苦手なはずのカジイチゴが生えていて驚きました。

きっと比較的長い時間、木漏れ日が当たる場所なのでしょう。

名前のわからない小さな草も生えていました。
(かなり昔にどこかで見たような気もしましたが、思い出せませんでした)

調べてみたら「帰化植物」の仲間で、草地などに生えるハナヤエムグラのようでした。

後から知ったのですが、以前の調査票には、同じ植物が記録されていたようです。
記録するって大事ですね!😃

プロットBの調査を終え、プロットAに移動。

人の踏み跡でなんとなく道はできているものの、かなりジャングルっぽい風景です(笑)

プロットBと同じように、ロープを張って調査地を10のブロックに分け、生えている植物を調べていきます。

同じ時に崩壊し、同じようにヘリで種子散布が行われたのにも関わらず、プロットAの植物の回復は遅く、種類も量も少ないです。

なぜなのでしょう?

プロットBに比べて地面に「穴だらけの小石(スコリア)」が積もっているのも影響しているのでしょうか?

あるいは、もう少し大きな地形の違いによるのでしょうか??

そして、不思議なことに…

ここでは、葉をつけていないヤシャブシが数本ありました!

「病気で死んでしまったのかな?」と思ったら…

4月から新しくジオパークの事務局になった Iさんが「こんなところで芽生えてますよ」と教えてくれました。

小さいけれど、元気な緑!
まだ生きているみたいです!!

「ヤシャブシは、いっぱい生えてくるとやがて間引きを始める」と、ある専門家の方から聞いたことがあります。

今回の立ち枯れのような状態と小さな芽生えは、今後どのような経過をたどるのでしょうか?

さて、植生調査が終わり、ふと足元に目をやると…

美しい光沢を放つゴミムシの仲間がウロウロ!

店の仲間のMLで「アトボシアオゴミムシ」だろうということになりました。
(私たちの仲間内では初確認です!)

様々な成長段階のマイマイガの幼虫(たぶん)が、集合していたのにも驚きました!

なかなか見ることのない風景です!
植物が回復すると、様々な虫たちがやってきますね😃

何かの幼虫が蟻に襲われて、土の中から地上に引き上げられようとしていました。

抵抗して潜ろうとしていたけれど、結局蟻の攻撃に勝てず…
自然界で生きるのは本当に大変ですね。

さて、私たちが植物を調べている間に、データ収集班は雨量計の修理などに取り組んでいたようです。 

できるだけ予算を抑え工夫をしながら継続しているため、計器類の修理はなかなか大変みたいです(^^;;。

調査終了後、みんなでミーティングをしました。

「今後担当者が変わっても調査を継続できるようにするための方法」や「調査結果を住民に還元する方法」などなどを、話し合いました。

災害後の緑化がどのような経過を辿り、島の自然や人の暮らしにどのような影響を与えるのか、ありのままの事実を見続け、考え、記録を残していくことは、噴火も土砂崩れも将来また必ず起こる火山の島で生きる上で、必ず役に立つはず…

そのために「続けることが大切」だということを、みんなで話しました😃

(かな)
コメント
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