今週月曜日から今日まで、毎日島内7地域での「大島ならではの宝物から新たなジオパークを考える」ワークショップが行われました。
私は昼のワークショップは参加できませんでしたが、19時~21時の時間帯には、5日間とも出席しました。
ワークショップのだいたいの流れは…
1.町長または副町長挨拶
2.「ジオパーク」について ジオパーク推進委員会事務局 臼井さん
3.「国立公園」について 環境省 服部さん
4.グループワーク
町長挨拶の中の「大島町の町の基本構想にジオパークを据えて推進していく所存です」という言葉が、とても嬉しかったです。
グループワークでは、様々な「地域のお宝」が見つかりました。しかし全ては書き切れないので…本当に簡単に、私が出席した5地域分を報告します。(あらかじめ『お宝』として地域で認識されている場所は既にマークがされていて、そこ以外の『お宝』を探しました)
12月14日(月)元町地区
元町は伊豆大島の中心地・1338年に山腹からの溶岩流で広く覆われ、その後も大火や土砂災害を体験してきた地域です。
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<元町のお宝>
大島高校の椿園(椿園に来てくれたら高校生が案内できる)。空港下のYさん宅も椿がキレイ(人の暮らしの中の椿…良いですね!)。赤門とセットで高田製油所(椿油の製油所)。椿の実の買い取りの風習。元町墓地の中にある忠魂碑。若い火山島ゆえの水の苦労が忍ばれる昔の井戸の跡(ハマンカー)。海の中にも井戸がある。富士山を望める道。薬師堂。大金沢砂防ダム。第1回椿サミットの会場の椿公園(園芸種が植わっているが現在活用されていない)。薬師堂~椿の森公園までの道が復活できれば…。 登山道の6地蔵。小清水の椿の大木。
「昔の事をよく知っている人に、出向いていって話聞くのも良いかも」という意見も出ていました(大賛成!)
12月15日(火) 泉津地区
数10万年前の古い火山が波に削られてできた高い崖が、背後にそびえる地域。昔から水が豊富な場所だったようです。
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<泉津のお宝>
水源の「フノウの滝」水1日500トン平均出ていて元町岡田まで引いている。泉津の人達は大島で最も美味しい水を飲んでいる。鉄砲場や岩陰遺跡。船で行者窟(海岸の洞窟)へ行くツアーをしてはどうか? 6月15日の行者祭。橋から見える土砂崩れの現場を災害と復興の見所に。大銀杏の木やスダジイの切り通し。スダジイの向かい側にあるイズノシマダイモンジソウも残したい。泉津診療所(レトロな古い建物)は味わいがあるから、そこでお茶が飲めたら…とのことでした。
そして泉津は、やはり日忌様伝説!
「1月24日の夜。悪代官を征伐した25人の若者の霊が帰ってくる。泉津では職員会議開いたらいけない、火も燃しちゃいけない、枝も切っちゃいけない。建前、お葬式もダメ。海見ちゃいけない。おもち25個、トベラやノビルをさして全ての穴(鍵穴や節穴)を塞ぐ。門に網を。石を玄関まで引いて帰ってくる人が通れるようにした。昔は25件しか家がなく1人ずつ若者が出て悪代官を征伐(韮山代官)。」今は簡略化され紙芝居が本になっているそう(成瀬書店で売っている)。日忌様から石の反り橋まで1月30日に歩く予定とのことです(ジオ研)。
12月16日(水)差木地・クダッチ地区
差木地・クダッチは、過去に火口が連なって開く『割れ目噴火』がおこり、噴火でできた山や丸い穴が点在する地域です。
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<差木地・クダッチのお宝>
裏砂漠が財産。潮吹き(海岸に空いた穴から海水が吹き上がる)。観音堂の犬クス800年。シクボ(側火山)に椿の木がある。23夜様。差木地の歌、踊りある。奉納の踊りを「ジネンジョ」という。大祭り4年に1回、それ以外は毎年。木星号が墜落した場所。GHQの話などでも楽しめるのでは?
「トウシキのキャンプ場まで歩いていける、探検気分のコースできるのではないか?」という話から「差木地4番地にプールがあり、トウシキにいく道がある。波がくる海沿いの道は、そこしかないのでは?」という話が出て「いつか行ってみたい」と思いました。
「差木地は柄が悪いと有名。声がでかくなる」という発言から「なぜ声が大きくなるのだろう?」という理由を皆で考えました。正解はわかりませんでしたが、面白かったです。
「パンフレットの作り方が大事。的を絞って解説してはどうか?」「現地観察会は、学校に働きかけて子ども達に参加させてはどうか?」などの意見も出ました。
12月17日(木)北の山地区
北の山は約3000年ほど前の活発な火山活動で溶岩が沢山流れ、島内では比較的平らな土地が広がる地域です。
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<北の山のお宝>
北の山は歴史的に古いものではない。平らなので畑や飛行場になった。開拓で栄えたので移民も多い。畑の周囲に椿が防風林で植えられているのが、この地域の風景。溶岩流が海までながれた海岸線にサンセットパームラインという道路が走り、そこからの夕陽が最高。噴火でできた赤い丘「赤禿げ」の、赤と黒のコントラストが美しい。愛宕山の極相林、戦時中の跡もある。富士見観音(日本に帰ってきたくても来られなかったブラジル移民の人々を思い、富士山が見える場所にイペの木を植えた。現在2本しか残っていない)
宮沢賢治の掘り起こし。栽培漁業センター。泉浜にまつりごとの跡。乳が崎のアシタバは成分が違うらしい。椿油絞り体験は皆感動してくれる。昔の子どもは海で泳いだ後、湧き水のある場所で真水につかって帰った。ツルツル温泉。海岸線に溶岩樹形など、面白いものが沢山ある。ハワイ植物園は活用できないのか? 等々…。
で、今日早速、椿の防風林に囲まれたアシタバ畑を、昨日ワークショップに参加していたIさんに、見せてもらいました。
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とても美しい畑…この風景はお客様に喜ばれるかも!!
12月18日(金) 岡田地区
岡田は泉津と同じく、古い火山の残骸が波に削られて崖になり、沢から海に流れて広がったわずかなスペースに広がる港町です。
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<岡田のお宝>
大島は地域毎に特色があるが、岡田は教育熱心な地域で教員も多かったそう。椿山があちこちにあり、椿の実を拾ってお金に換え、学資にしていたそうです。
ここに「日本一品格のある椿の木がある」という事で話が盛り上がりました。それはとても太くて大きいけれど「出しゃばらない椿の木」で、周囲には213本の椿が植わっている…のだそうです。この話を聞いて「ぜひ見たい」という意見が出て、近いうちに見学会が開かれることになりそうです。
正月の船祝いは岡田以外に泉津もやる。元町はやらない。祭りの後、海に落ちている『おひねり』を、子ども達が拾いに行った。無形文化財の「天古舞い」の他、250~300の歌が地域に残り歌い継がれている。他の港町の歌も歌い継がれている。(1944年から岡田に住んでいるSさんは、その歌をCDに入れ、歌に出てくる地域を訪ねているのだそうです。江差の歌をCDに入れて訪ねて行ったら「歌そのものは知らないけれど、歌詞はそのまま江差の風景」と言われたそうで、素敵なお話だなぁ…と思いました)
日の出浜では日の出が見える。手作りのおぼろ寿司、鯖寿司。サンマの一夜干しがクオリティ高い。「ナポリ祭り」など新しい動き。50年前ぐらいに海底から小判が発見された、等々…。
日忌様は岡田地区にも残り、1月24日まで葬式もできないので4日に亡くなって2回もお葬式をした話も出ていました。
5日間で出された様々な地域毎のお宝。探せばまだまだ出てくるはず…。次はこのお宝を、火山、植物。歴史、土砂災害の専門家と一緒にフィールドを歩きながら、科学的な価値を検証していくフィールドワークが2月6~8日に予定されているようです。
詳細は島の広報などに載るようですが、大島在住の方は、ぜひご参加ください。この「宝探し」きっと、かなり楽しいと思います~。
(カナ)