浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

【本】佐竹直子『獄中メモは問う』(北海道新聞社)

2019-09-19 21:30:44 | 近現代史
 治安維持法が制定され、多くの共産主義者が獄中に送られた。中には「転向」して獄外に出られた者もいたが、かなり早い段階で、共産主義者は活動が出来ない状態に追い込まれた。

 しかしそれでは特高は困るのだ。

 警察官僚はじめ、官僚は仕事がなくなるのを怖れる。予算が減らされてしまうし、人員も削られてしまう。

 特高は、とにかく治安維持法をつかって何者かをつかまえなければならない、また検察官も同じである。治安維持法体制下、思想検事という分類があった。彼らも、仕事がなくなっては困るのだ。

 特高は、獲物はないかと探しまわる。北海道では、子どもたちに作文を書かせていた教員たちが狙われた。子どもに作文を書かせていた、ただそれだけで捕まり、拷問を受け、自分が共産主義者であると認めさせられ、これからは心を入れ替えますと誓約しなければならなくなった。

 その教員たちは、共産主義の本なんか読んだこともなかった。しかし彼らは共産主義者だとされた。

 教員たちは子どもたちに慕われていたが、以後、教壇に立つことはできなくなった。

 この事件は「北海道綴方教育連盟事件」といわれる。

 戦後、この時に逮捕拷問された人が「教育出版」という教科書会社に入り、社長にもなった。教育出版は良い教科書を発行し続けた。

 だが今、教育出版の教科書は、文科省の意向に沿ったものとなっている。教育出版のものを、選びたくない教科書として、意識ある教員たちは認識している。

 時代が戻っている、治安維持法があった時代に・・・・・
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オドロキの区議会議員

2019-09-19 09:20:15 | 政治
 こういう人を議員とした杉並区民の知性が疑われるよ。こんなあり得ないことを議会で平然と話すこの人の人格を疑う。

「朝鮮通信使は凶悪犯罪者集団」杉並区議、本会議で発言

 NHKなんとかという政党の人びとは、議員になってはいけない人がどういう人物であるかを教えているようだ。
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【本】大木毅『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』(岩波新書)

2019-09-19 08:42:17 | 
 発売されて間もなく購入したのに、4刷であった。売れているのだ。

 私は歴史については勉強しているが、軍事学はまったくの素人であるから、この本のどれくらいを理解できたかはわからない。しかし、第二次世界大戦においてもっとも死傷者数が多かったのがソ連であるから、独ソ戦は想像できないほどの規模であったことは理解できる。

 さてこの本を読み、スターリン体制下のソ連、ナチスドイツ支配下のドイツでは、軍事的合理性よりも独裁者の意向が貫かれ、そのためにムダな戦闘、ムダな死傷者が出されたことが予想されることである。またソ連では多くの将校が粛清されたことにより、対独戦争に支障を来すほどであったことが記される。独裁者の跳梁を許さないことが、歴史の教訓であることは、戦争においても同様なのである。

 ヒトラーは、ドイツ国民の経済生活を戦時下でも維持すべく、周辺諸国からの略奪や労働力の簒奪を展開したことが記される。ドイツ国民も、ナチスドイツ、ヒトラーの「共犯者」であること、またドイツ国防軍は戦後、戦争の責任をヒトラーに押しつけていたが、もちろんドイツ国防軍も「共犯者」であったことが暴露される。

 読んでいて、戦争というものがムダであること、バカらしいものであることがよく理解できた。

 多くの箇所で赤線を引いたが、戦闘の詳細についてはあまり関心が無いが、それらを通して出された結論については、教えられるところが多かった。

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