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目白バ・ロック音楽祭2006 「バッハ:無伴奏チェロ組曲」 6/17

目白バ・ロック音楽祭2006 「こだわり」のリサイタル・シリーズ

バッハ 無伴奏「チェロ」組曲 第1・2・3番

奏者 寺神戸亮(ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ)

2006/6/17 19:00 目白聖公会

 

以前にも拙ブログで取り上げた「目白バ・ロック音楽祭」へ行ってきました。会場は目白駅から徒歩5、6分、目白通り沿いに建つロマネスク様式の「目白聖公会」。(1929年建立)東京の聖公会教会の中では、唯一、大戦の被害を受けることがなかった建物です。白いどっしりとした構えは大変に趣きがあります。アーチ型の天井と、整然と並んだ木製の長椅子。響きは驚くほど良好でした。コンサート会場としても問題が少ないような場所です。

タイトルに「こだわり」という文言が入っていますが、その「こだわり」とはつまり楽器のことでした。通常、無伴奏「チェロ」組曲は当然ながらチェロで演奏されますが、それをこのコンサートではヴィオロンチェロ・ダ・スパッラという古楽器にて演奏していくわけなのです。しかもそのスパッラはほぼ失われた楽器と言って良いほどにマイナー。当然ながらバロックチェロでもありません。サイズはチェロよりも小さく、首からひもでぶら下げてヴィオラのように演奏します。ヴァイオリン奏者でもある寺神戸がスパッラで弾いた無伴奏「チェロ」組曲。かなり意欲的な試みと言えるでしょう。(スパッラの画像は寺神戸氏のブログをご参照下さい。)

非常に有名な曲なのでたくさんの録音もリリースされていますが、私は積極的な聴き手ではありません。(それこそカザルスの録音くらいしか聴いたことがない。)と言うことで、いつも以上に大まかな感想となってしまうのですが、一言で示せば非常に主観的な演奏だったと思います。長い奏者とチェロとの対話が、時に感情的になってぶつかり合うように激しく進行していく。特に一気呵成に弾き抜いたクーラントやジーグなどでの集中力は見事です。弛緩しません。ただ逆に穏やかな前奏曲では、少し響きの厚みが不足してしまうようにも感じました。つまりオルガン的な広がりある響きが、ややこじんまりと聴こえてしまう。もう少し音の濃縮された密度が欲しかもしれない。ただし思っていたよりもはるかに響く楽器です。チェロの艶こそなけれども、空気を多分に揺らすような、フワッとした丸みを帯びた響きが印象的でした。

演奏の合間には、寺神戸自身によるスパッラについての詳細なレクチャーがありました。その模様については、ぶらあぼの音楽配信サイト「ブラビッシモ」から無料にてダウンロードすることが可能です。ご興味のある方は一度試して見ては如何でしょうか。(ちなみに同サイトでは演奏自体も配信しています。そちらは当然ながら有料です。)

目白界隈をぶらぶらする余裕がなかったので、音楽祭で賑わう街の雰囲気を体感することは出来なかったのですが、こうした歴史ある建物で味わうバロックの調べもまた格別です。是非、来年もまた行ってみたいと思います。
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今週の「ベストオブクラシック」はショスタコーヴィチ・ウィーク!

今週のNHK-FMベストオブクラシックは、生誕100年(没後30年)を迎えたメモリアルイヤーのショスタコーヴィチが特集されます。お馴染みのシンフォニーや弦楽四重奏曲だけではなく、あまり聞き慣れない曲までがカバーされたプログラムです。なかなか魅力的です。(私の苦手な指揮者がチラホラといらっしゃるのはさておいて…。)

ベストオブクラシック ショスタコーヴィチ・ウィーク(19:30-21:10)

19日(月)
 交響曲第1番 作品10 マリインスキー劇場管弦楽団/ワレリー・ゲルギエフ
 弦楽四重奏曲第4番 作品83 エマーソン弦楽四重奏団
 アレクサンドル・ブロークの7つの詩 作品127 ランディ・ステネ/トリオ・コン・ブリオ
 
20日(火)
 チェロ協奏曲第1番 作品107 グザヴィエ・フィリップス/ロシア・ナショナル・フィルハーモニック/ウラディーミル・スピヴァコフ
 交響曲第4番 作品43 フランス国立管弦楽団/ウラディーミル・アシュケナージ

21日(水)
 タヒチ・トロット 作品16 アイスランド交響楽団/ラモン・ガンバ
 ピアノ五重奏曲 作品57 ドミニク・モレル/ルノアール四重奏団
 交響曲第5番 作品47 バイエルン放送交響楽団/マリス・ヤンソンス

22日(木)
 「バラエティ・オーケストラのための組曲」から アイスランド交響楽団/ラモン・ガンバ
 交響曲第7番「レニングラード」 作品60 フランス国立管弦楽団/クルト・マズア

23日(金)
 交響詩「十月」 作品131 フランクフルト放送交響楽団/ヒュー・ウルフ
 バイオリン協奏曲第2番 作品129 ジャニーヌ・ヤンセン/スウェーデン放送交響楽団/アンドレス・オロスコ・エストラーダ
 交響曲第12番「1917年」 作品112 スウェーデン放送交響楽団/ダーヴィッド・ビェルクマン

総務省による例の懇親会一件で何やら急に雲行きが怪しくなってきたNHK-FMですが、ここは素直に楽しみたいところです。常にタイムリーにとはいきません。録音などして聴いていきたいと思います。
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