都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「CHIKAKU/四次元の対話」 川崎市岡本太郎美術館 6/25
川崎市岡本太郎美術館(川崎市多摩区枡形7-1-5 生田緑地内)
「CHIKAKU/四次元の対話 - 岡本太郎からはじまる日本の現代美術」
4/8-6/25(会期終了)

森山大道、杉本博司、やなぎみわ、須田悦弘と聞けば足を伸ばさないわけにはまいりません。前々からかなり気になっていた展覧会だったのですが、会期最終日にようやく見ることが出来ました。昨年、オーストリアとスペインで開催されていたという、「日本の知覚」展(EU市民交流年事業)の帰国展です。

岡本太郎を出発として、1970年代以降の日本の現代美術を紹介していきます。残念ながら、杉本の「劇場」シリーズや、やなぎみわの「砂女」などは、以前に別の展覧会で拝見したことのあるものでしたが、それでもインスタレーションや写真、それにオブジェなどを組み合わせて、ビックネーム揃いのコンテンポラリーの面白さを伝えてくれました。楽しめます。

まずは、いつも何気ない場所に展示されている須田の花のオブジェです。今回は二点ありました。一つは目立つ場所に堂々と飾られていましたが、もう一つがこれまた分かりにくい場所に展示されています。しばらくこの花探しをしていると、昨年度の資生堂ギャラリーでの「life/art'05」展を思い出しました。結局、あの展覧会も、須田の花が何個飾られているのかと言うことばかりに目がいっていたと思います。やはりどうしても探してしまうものです。

大掛かりな装置で、まるで風に靡く葦を表現した渡辺誠の「Fiber Wave2」も存在感がありました。無数に林立するプラスチック製の葦。巨大なファンによって絶え間なく風が送られている。中に入ることが出来ました。ちょっとした通路のようになっています。美術館入口すぐに展示されていた森脇裕之の「Lake Awareness」(こちらは青色のLEDが半円立体状にて美しく映える作品です。)と合わせて、とても居心地の良いインスタレーションでした。

荒れ狂う奄美の海をカメラに収めた、中平卓馬の「奄美大島」も見応え十分です。青い海と空。打ち砕かれた白波に注ぐ陽の眩しい光。ともかく海の重み、その質感が非常に良く伝わってくる美しい作品です。まるで波が粘り気を帯びているかのように一個の塊となっている。粘土のように延びては縮んでいく。その姿を自在に変えていく海の圧倒的なダイナミズム。決して大きな作品ではありませんが、そのボリューム感は強烈です。海にのまれてしまう錯覚さえ起こします。

日高理恵子の「空との距離」もなかなか魅力ある絵画です。麻紙に岩絵具という素材で、モノトーン的な味わいを最大限に生かしながら、空に舞った木の枝を表現しています。ちょうど春を間近に控えた頃の寒空にて、木を下から真上にして見上げた感覚でしょうか。まだ葉が一枚もなく、蕾みが大きく膨らんでいる。絵の中にある独特の遠近感が、空、木、そして見る者の距離感を巧みに表現しています。一見、地味な印象ではありますが、私は好きな作品です。

草間のオブジェ「死の海を行く」や、中村哲也や小谷元彦のオブジェ(パンフレットの表紙です。鍾乳洞のようです。)も見応えがありました。岡本太郎との繋がりがあまり見えてこないのと、タイトルの意味が今ひとつ伝わってこない部分もありましたが、まずは見て良かったと思う内容でした。出来れば、これからもこの美術館の企画展はチェックしていきたいです。
「CHIKAKU/四次元の対話 - 岡本太郎からはじまる日本の現代美術」
4/8-6/25(会期終了)

森山大道、杉本博司、やなぎみわ、須田悦弘と聞けば足を伸ばさないわけにはまいりません。前々からかなり気になっていた展覧会だったのですが、会期最終日にようやく見ることが出来ました。昨年、オーストリアとスペインで開催されていたという、「日本の知覚」展(EU市民交流年事業)の帰国展です。

岡本太郎を出発として、1970年代以降の日本の現代美術を紹介していきます。残念ながら、杉本の「劇場」シリーズや、やなぎみわの「砂女」などは、以前に別の展覧会で拝見したことのあるものでしたが、それでもインスタレーションや写真、それにオブジェなどを組み合わせて、ビックネーム揃いのコンテンポラリーの面白さを伝えてくれました。楽しめます。

まずは、いつも何気ない場所に展示されている須田の花のオブジェです。今回は二点ありました。一つは目立つ場所に堂々と飾られていましたが、もう一つがこれまた分かりにくい場所に展示されています。しばらくこの花探しをしていると、昨年度の資生堂ギャラリーでの「life/art'05」展を思い出しました。結局、あの展覧会も、須田の花が何個飾られているのかと言うことばかりに目がいっていたと思います。やはりどうしても探してしまうものです。

大掛かりな装置で、まるで風に靡く葦を表現した渡辺誠の「Fiber Wave2」も存在感がありました。無数に林立するプラスチック製の葦。巨大なファンによって絶え間なく風が送られている。中に入ることが出来ました。ちょっとした通路のようになっています。美術館入口すぐに展示されていた森脇裕之の「Lake Awareness」(こちらは青色のLEDが半円立体状にて美しく映える作品です。)と合わせて、とても居心地の良いインスタレーションでした。

荒れ狂う奄美の海をカメラに収めた、中平卓馬の「奄美大島」も見応え十分です。青い海と空。打ち砕かれた白波に注ぐ陽の眩しい光。ともかく海の重み、その質感が非常に良く伝わってくる美しい作品です。まるで波が粘り気を帯びているかのように一個の塊となっている。粘土のように延びては縮んでいく。その姿を自在に変えていく海の圧倒的なダイナミズム。決して大きな作品ではありませんが、そのボリューム感は強烈です。海にのまれてしまう錯覚さえ起こします。

日高理恵子の「空との距離」もなかなか魅力ある絵画です。麻紙に岩絵具という素材で、モノトーン的な味わいを最大限に生かしながら、空に舞った木の枝を表現しています。ちょうど春を間近に控えた頃の寒空にて、木を下から真上にして見上げた感覚でしょうか。まだ葉が一枚もなく、蕾みが大きく膨らんでいる。絵の中にある独特の遠近感が、空、木、そして見る者の距離感を巧みに表現しています。一見、地味な印象ではありますが、私は好きな作品です。

草間のオブジェ「死の海を行く」や、中村哲也や小谷元彦のオブジェ(パンフレットの表紙です。鍾乳洞のようです。)も見応えがありました。岡本太郎との繋がりがあまり見えてこないのと、タイトルの意味が今ひとつ伝わってこない部分もありましたが、まずは見て良かったと思う内容でした。出来れば、これからもこの美術館の企画展はチェックしていきたいです。
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