「ポール・ジョンソン - Sensitive Chaos - 」 ミヅマアートギャラリー

ミヅマアートギャラリー目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル2階)
「ポール・ジョンソン - Sensitive Chaos - 」
3/8-4/5



この作品の素晴らしさをWEB画像や写真で伝えるのは不可能です。細密かつ複雑なコラージュからなるポートレート作品で知られる(公式HPより。)イギリス人アーティスト、ポール・ジョンソンの日本初個展へ行ってきました。

大変失礼ながらも、DMの画像を見た時はそれほど興味がわきませんでしたが、いざ出向くとその精緻に作り込まれた作品に直ぐさま虜となってしまいました。一見、細い筆にて、半ば荒々しいタッチを露出して描かれているように思えるポートレートは、実はどれも僅か数ミリ単位で切り込まれた、自身の彩色による小さな紙片の集まりだったのです。これを表現のジャンルで示せばおそらくはペーパークラフトであり、またそれ自体も非常に高いクオリティを誇っているわけですが、個々の紙片が巧みなグラデーションを描きながら無数に繋がり、一つの像を作り上げる様子は、殆ど絵画であると言って相違ないほどの独得な味わいを生み出しています。このペーパークラフトでありながらも、結果見られる絵画的な表現とのせめぎ合い、そしてその見事な融合ぶりこそがポール・ジョンソンの制作の大きな魅力です。目における瞳孔の黒と周囲の白い膜、そしてさらに外側の皮膚のピンク色の質感へと繋がっている紙片の様子をなぞると、まさに冴えた職人の至芸を見たかのような気分にさせられました。凛とした表情を漂わせた一人の男性の肉感的な肌や唇が、半ば木彫の表面のようなマチエールをもって表されています。驚きです。

合わせて展示されているフラッグもお見逃しなきようご注意下さい。思いもよらぬ部分にまで細かな紙片がびっしりと敷きつめられていました。

今週の土曜日までの開催です。会期末ですが強力におすすめします。
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