「大谷有花 展 - peace - 」 GALLERY MoMo

GALLERY MoMo港区六本木6-2-6 サンビル第3 2階)
「大谷有花 展 - peace - 」
3/29-4/26



瑞々しく透明感のある黄緑色の色面が、緩やかに運動しながら広がりゆく世界を表します。シェル現代美術賞、もしくはVOCAでも受賞歴を持つ、大谷有花の新作個展を見てきました。

ともかく目に染み入るのは、限りなく淡く、またそれ自体が春の柔らかな日差しを思わせるような、かの黄緑色ののびやかな色と形です。作家曰く、「芸術の向こうに見えた生命の根源を象徴するような風景」(画廊公式HPより。)を描いたという一連の油彩作品は、例えて言えば、温かい陽の光に包まれたような、静かな波のたゆたう海のようなイメージをもって広がっています。波の向こうにはなだらかな陸を望み、空を見上げれば数羽の海鳥が入道雲の合間をぬうようにしてゆらりゆらりと舞っていました。黄緑と白とが、互いに滲むかのようにしてせめぎ合い、その示された色面の濃淡、もしくはアクセント的な赤や青などのタッチが、モチーフを通り越した多様なイメージを喚起させています。黄緑色に全てが溶けていく、あたかもそれ自体が優しく微睡んでいるかのような絵画です。

以前よりも、色に抜けるような明るさが加わっているようにも見えました。思わずずっと眺めていたくなるような心地良さもまた魅力ではないでしょうか。

今月26日まで開催されています。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )