都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
常設コレクション@笠間日動美術館
先日、企画展の「佐伯祐三展」についてあれこれ書きましたが、この美術館の真の魅力はそれに続くコレクション展にあります。笠間日動美術館の常設展示です。
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同美術館は笠間市街地より東の小高い丘に位置しますが、敷地内には佐伯展会場の企画展示館の他、竹林の覆う芝生斜面を利用した野外彫刻庭園、アメリカ現代美術と珍しいパレットのコレクションがある日本・アメリカ館、それに所蔵品の中核を占めるエコール・ド・パリの作品を紹介したフランス館と、計4つの展示スペースが並んでいます。全体の面積はそれほどでもありませんが、じっくり見て歩けば企画展を除いてもゆうに1~2時間はかかるほどです。(上の三点の写真はパンフレットより転載。左より企画展示館、フランス館、日本・アメリカ館。)
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企画展示館より竹林の小径を経由して広がる野外彫刻庭園とは、主に国内の作家の具象彫刻、計19体の並ぶ、文字通り戸外の展示場です。鬱蒼とした木立を背景にした彫刻が、まさに森林浴をするかのような面持ちにて立ち並んでいます。もちろん本郷新、舟越保武などお馴染みの作品も健在です。彫刻を緑や花々を借景とすると、また館内で見るのとは別の味わいが感じられました。
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彫刻庭園を降り、向かって左手に位置する5階建ての建物が日本・アメリカ館です。ここでは主に日本の近代絵画と現在の洋画界を牽引する作家が紹介されていますが、それよりも印象深いのは、この美術館の極めて個性的なコレクションとしても世に知られる、画家のパレットの一覧展示です。その数は何と約350点。時に絵あり、またデコレーションありといったパレットには、それぞれの画家の個性が反映されていて興味深いものがありました。またフランス館、企画館も同様ですが、各階を結ぶ階段の踊り場には、彫刻の小品などがさり気なく置かれています。移動にはもちろんエレベーターが便利ですが、階段を利用することで思わぬ楽しみを得ることが出来るというわけです。
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常設でも最も充実しているのは、やはり印象派よりエコール・ド・パリと続くメインのフランス館ではないでしょうか。モネ、ドガ、ルノワール、ゴッホ、ボナール、マルケ、藤田、ピカソ、シャガールなどと、かの時代を作り上げた大家の作品が一揃え展示されていました。ここで個々の作品を挙げるとキリがありませんが、私が特に見入ったのは、まるでシャガールのような幻想性をたたえたエルンストの「夢創りの達人」と、ちょうど一階正面入口にあるポリエステル製の奇怪なオブジェ、デュビュッフェの「4つの標的」です。彼の彫刻は殆ど見たことがなかったので新鮮味があります。またデッサン室でのルドンのパステルやマグリットの水彩なども印象深い作品でした。
笠間日動美術館も先立ってご紹介した市内の県陶芸美術館同様、最寄りの笠間駅から歩くには少々距離があります。(約2キロ程度。)バス、タクシー、またはレンタサイクルがおすすめです。
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日動と聞くとすぐさま銀座の画廊を思い浮かべますが、まさかこの笠間の地(創業者長谷川氏ゆかりの地だそうです。)にこれほど魅力のある美術館があるとは知りませんでした。企画展示抜きでも一見の価値があるコレクションです。
*関連エントリ
笠間、水戸、アートミニ紀行 2008/4
「没後80年 佐伯祐三展 鮮烈なる生涯」 笠間日動美術館
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同美術館は笠間市街地より東の小高い丘に位置しますが、敷地内には佐伯展会場の企画展示館の他、竹林の覆う芝生斜面を利用した野外彫刻庭園、アメリカ現代美術と珍しいパレットのコレクションがある日本・アメリカ館、それに所蔵品の中核を占めるエコール・ド・パリの作品を紹介したフランス館と、計4つの展示スペースが並んでいます。全体の面積はそれほどでもありませんが、じっくり見て歩けば企画展を除いてもゆうに1~2時間はかかるほどです。(上の三点の写真はパンフレットより転載。左より企画展示館、フランス館、日本・アメリカ館。)
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企画展示館より竹林の小径を経由して広がる野外彫刻庭園とは、主に国内の作家の具象彫刻、計19体の並ぶ、文字通り戸外の展示場です。鬱蒼とした木立を背景にした彫刻が、まさに森林浴をするかのような面持ちにて立ち並んでいます。もちろん本郷新、舟越保武などお馴染みの作品も健在です。彫刻を緑や花々を借景とすると、また館内で見るのとは別の味わいが感じられました。
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彫刻庭園を降り、向かって左手に位置する5階建ての建物が日本・アメリカ館です。ここでは主に日本の近代絵画と現在の洋画界を牽引する作家が紹介されていますが、それよりも印象深いのは、この美術館の極めて個性的なコレクションとしても世に知られる、画家のパレットの一覧展示です。その数は何と約350点。時に絵あり、またデコレーションありといったパレットには、それぞれの画家の個性が反映されていて興味深いものがありました。またフランス館、企画館も同様ですが、各階を結ぶ階段の踊り場には、彫刻の小品などがさり気なく置かれています。移動にはもちろんエレベーターが便利ですが、階段を利用することで思わぬ楽しみを得ることが出来るというわけです。
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常設でも最も充実しているのは、やはり印象派よりエコール・ド・パリと続くメインのフランス館ではないでしょうか。モネ、ドガ、ルノワール、ゴッホ、ボナール、マルケ、藤田、ピカソ、シャガールなどと、かの時代を作り上げた大家の作品が一揃え展示されていました。ここで個々の作品を挙げるとキリがありませんが、私が特に見入ったのは、まるでシャガールのような幻想性をたたえたエルンストの「夢創りの達人」と、ちょうど一階正面入口にあるポリエステル製の奇怪なオブジェ、デュビュッフェの「4つの標的」です。彼の彫刻は殆ど見たことがなかったので新鮮味があります。またデッサン室でのルドンのパステルやマグリットの水彩なども印象深い作品でした。
笠間日動美術館も先立ってご紹介した市内の県陶芸美術館同様、最寄りの笠間駅から歩くには少々距離があります。(約2キロ程度。)バス、タクシー、またはレンタサイクルがおすすめです。
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日動と聞くとすぐさま銀座の画廊を思い浮かべますが、まさかこの笠間の地(創業者長谷川氏ゆかりの地だそうです。)にこれほど魅力のある美術館があるとは知りませんでした。企画展示抜きでも一見の価値があるコレクションです。
*関連エントリ
笠間、水戸、アートミニ紀行 2008/4
「没後80年 佐伯祐三展 鮮烈なる生涯」 笠間日動美術館
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