「谷口浩 写真展 - ただ、それがある - 」 FOIL GALLERY

FOIL GALLERY千代田区東神田1-2-11 アガタ竹澤ビル201)
「谷口浩 写真展 - ただ、それがある - 」
3/28-4/18



日常の何気ない情景が、独特の無機的な『白』の空間に切り取られています。1978年生まれの写真家、谷口浩の画廊初個展へ行ってきました。

谷口の写真から見出される特徴を一言で表せば、対象の事物だけでなく、例えばそれを包み込む空気までが濾過されたとも言えるような、極めてピュアな清潔感です。水を張った洗面所に一個のトマトを浮かべた光景や、排水孔を見下ろしながらバスタブを捉えた作品、それに花柄のボールに落とされた一つの新鮮な卵などが、眩しいばかりの白を基調とした横長のワイドな画面に静かに写し出されています。何かをなぞるかのように差し出された両手は、まるで無菌室で徹底的に浄化された一つのオブジェです。ここには一切の不純物が存在しません。

うっすらと白んだ緑色のもみじの葉からは、その生命力が失われていくかのような、朽ち果てていくものの儚さを感じました。何の変哲もない蛍光灯を写した作品など、日常で影を潜める半ばトマソンのような存在に瞬間的な美意識を見ることが出来ます。

「ただ、それがある/谷口浩/フォイル」

4月18日までの開催です。なお会期中は無休です。(フォイルギャラリーは、恥ずかしながら先日の「101アートフェア」で初めて見知った画廊です。馬喰町のラディウムに近い場所にあるので、これからは定点観測していきたいと思います。)

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