都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
笠間、水戸、アートミニ紀行 2008/4
先日、水戸芸術館の宮島達男展に合わせ、同市内の茨城県立近代美術館、それに笠間の日動美術館と茨城県陶芸美術館を電車でぐるっと巡ってきました。
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水戸は上野からスーパーひたちで約1時間強と意外に近場ですが、今回は上に挙げた美術館をなるべく『安上がり』で廻るため、あえて旅の出発点を取手駅に設定しました。と言うのも同駅にて、この春、土日限定で発売されている「ときわ路パス」(pdf)を購入するためです。このパスは何と2000円で茨城県内、例えば常磐線なら取手から大津港までが乗り降り自由だと言うお得なきっぷで、もちろんこの行程もばっちり全ておさまる優れものです。(パスは茨城県内のJR駅のみ発売。)使わない手はありません。
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目当ての水戸芸は最後にまわすとして(閉館も18時までと一番遅い。)、まずは手前の笠間へと向かいます。取手から普通電車で友部経由、1時間に1本の水戸線にうまく乗り継ぎ、笠間駅には着いたのは10時半頃でした。駅から少々離れている笠間の二つの美術館を歩くのは難しそうなので、駅前の観光案内所でレンタサイクルを借りてみることにします。一台、先立って取手駅でいただいたJR発行の小冊子、「小さな旅 春かほる 花とアートのときわ路へ」についていたクーポン券を使って400円です。(これがまたまた優れものです。笠間の県立陶芸美術館、または水戸の近美が団体割引料金で入れます。)この日はあいにくの曇り空でしたが、自転車を飛ばし、まずは笠間と言えばどこかで聞いたことのある稲荷神社に少し立ち寄りました。ここは意外にも観光地化されていて盛況です。大型の観光バスも駐車場に何台か停まっています。仲見世から重文の社殿、そして門前の土産物店を冷やかしながら、しばしアートと離れた観光客気分を味わいました。また陶芸の町、笠間ということで、焼き物を扱う店が多いのも特徴です。自転車でなければ一つ買ったかもしれませんが、酒屋の店頭の地酒などにも目移りしつ、狐の置物に見入りながら、後ろ髪を引かれる思いで神社を後にしました。
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稲荷神社から少し山の方へ入った場所にあるのが笠間日動美術館です。小高い丘の両斜面を利用して並ぶアメリカ館、フランス館、そして屋外彫刻庭園と続く広い館内には、洋の東西を問わない充実したコレクションが揃っていました。今回、同美術館で開催されている企画は佐伯祐三の回顧展です。展示の詳細はまた別エントリに書くとして、その他常設の西洋近代美術、特にエルンストやカンディンスキーの良質な作品、または国内画家の使った無数のパレットなどと言う、一風変わった展示にも見入るものがありました。凛とした竹林に包まれながら、静かに近代美術を楽しむには最適な空間かもしれません。ここはおすすめ出来ます。
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日動美術館より茨城県陶芸美術館の位置する芸術の森公園へは、かなり高低差のある山道を進まなくてはなりません。ロードサイドに点在するカフェや、陶芸品の土産物屋を横目に自転車で必至に漕ぐこと10、15分、広大な丘を利用して建てられた茨城県陶芸美術館に到着しました。ここでは時間の都合から(この後、水戸へ移動しなくてはいけません。)常設のみ観賞しましたが、県内は下館出身の波山らの陶芸品などもずらりと揃っていてなかなか見応えがあります。また併設のレストランは、料理が笠間の焼き物の器で提供されるのでしょうか。時間に余裕があれば少し試してみたいところですが、あいにく予定していた電車の時間が迫っていたので、観賞後は自転車で一気に坂を降り、再びスタート地点の笠間駅へと舞い戻りました。ここから水戸までは友部を経由して再びJRを利用します。乗り継ぎも良く30分とかかりません。
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水戸に着いたのは14時前だったでしょうか。目的地の水戸芸と茨城県美はあいにく駅を挟んで全く正反対のところに位置していますが、まずは閉館時間の早い後者からということで、南口より桜川沿いをてくてく進み、雑多極まりない歓楽街を抜け、突如視界の広がる湖そばの美術館まで歩きました。湖畔に面する茨城県美は思いの外、重厚かつ立派な建物です。つい19日にリニューアルオープンしたばかりのどこか清潔感の漂う館内にて、事実上所蔵品の名品展である全館規模の企画展をじっくり拝見しました。この手の郷土の美術館では、先の陶芸美術館と同様、ご当地の作家の作品が充実しているのも嬉しいところです。水戸出身の大観らは言うまでもなく、その他近代日本洋画、または戦後の抽象などもじっくり楽しむことが出来ました。また別エントリでも触れたいと思いますが、田舎の『精霊』を描いたという牛久市出身の画家、小川芋銭の作品がおすすめです。
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この日は一人旅だったせいかもしれません。近美から水戸芸までは約2キロ以上ありますが、ここは湖の彼方に望んで見える例のタワーを目印に歩いて行ってみることにしました。所要時間は約30分強。湖をわたり、水戸の目抜き通りへ進み、さらにはその裏手の水戸芸に着いた頃には早くも16時半を廻っています。ここに来てようやく最終目的地、水戸芸に到着です。喧々諤々、賛否両論(?)の宮島展を恐る恐る拝見します。これまた感想は別に書きますが、一言で申せば、量の面で物足りなさは残るものの、宮島の新境地を見る展覧会であったのは事実だと思います。(ちなみに併設の展示の納豆カップは是非商品化していただきたいものです。)
帰りは特急でと思いましたが、何やら大変に混雑しているようなので、普通車+グリーンでのんびりと戻りました。ガラガラのグリーン車二階は本当に静かです。約1時間半強で最寄り駅までらくらく帰ってくることが出来ました。
日動の佐伯展、陶芸美術館の常設、また茨城県美の企画、水戸芸の宮島展についてはまた別の記事で感想を書きたいと思います。
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水戸は上野からスーパーひたちで約1時間強と意外に近場ですが、今回は上に挙げた美術館をなるべく『安上がり』で廻るため、あえて旅の出発点を取手駅に設定しました。と言うのも同駅にて、この春、土日限定で発売されている「ときわ路パス」(pdf)を購入するためです。このパスは何と2000円で茨城県内、例えば常磐線なら取手から大津港までが乗り降り自由だと言うお得なきっぷで、もちろんこの行程もばっちり全ておさまる優れものです。(パスは茨城県内のJR駅のみ発売。)使わない手はありません。
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目当ての水戸芸は最後にまわすとして(閉館も18時までと一番遅い。)、まずは手前の笠間へと向かいます。取手から普通電車で友部経由、1時間に1本の水戸線にうまく乗り継ぎ、笠間駅には着いたのは10時半頃でした。駅から少々離れている笠間の二つの美術館を歩くのは難しそうなので、駅前の観光案内所でレンタサイクルを借りてみることにします。一台、先立って取手駅でいただいたJR発行の小冊子、「小さな旅 春かほる 花とアートのときわ路へ」についていたクーポン券を使って400円です。(これがまたまた優れものです。笠間の県立陶芸美術館、または水戸の近美が団体割引料金で入れます。)この日はあいにくの曇り空でしたが、自転車を飛ばし、まずは笠間と言えばどこかで聞いたことのある稲荷神社に少し立ち寄りました。ここは意外にも観光地化されていて盛況です。大型の観光バスも駐車場に何台か停まっています。仲見世から重文の社殿、そして門前の土産物店を冷やかしながら、しばしアートと離れた観光客気分を味わいました。また陶芸の町、笠間ということで、焼き物を扱う店が多いのも特徴です。自転車でなければ一つ買ったかもしれませんが、酒屋の店頭の地酒などにも目移りしつ、狐の置物に見入りながら、後ろ髪を引かれる思いで神社を後にしました。
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稲荷神社から少し山の方へ入った場所にあるのが笠間日動美術館です。小高い丘の両斜面を利用して並ぶアメリカ館、フランス館、そして屋外彫刻庭園と続く広い館内には、洋の東西を問わない充実したコレクションが揃っていました。今回、同美術館で開催されている企画は佐伯祐三の回顧展です。展示の詳細はまた別エントリに書くとして、その他常設の西洋近代美術、特にエルンストやカンディンスキーの良質な作品、または国内画家の使った無数のパレットなどと言う、一風変わった展示にも見入るものがありました。凛とした竹林に包まれながら、静かに近代美術を楽しむには最適な空間かもしれません。ここはおすすめ出来ます。
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日動美術館より茨城県陶芸美術館の位置する芸術の森公園へは、かなり高低差のある山道を進まなくてはなりません。ロードサイドに点在するカフェや、陶芸品の土産物屋を横目に自転車で必至に漕ぐこと10、15分、広大な丘を利用して建てられた茨城県陶芸美術館に到着しました。ここでは時間の都合から(この後、水戸へ移動しなくてはいけません。)常設のみ観賞しましたが、県内は下館出身の波山らの陶芸品などもずらりと揃っていてなかなか見応えがあります。また併設のレストランは、料理が笠間の焼き物の器で提供されるのでしょうか。時間に余裕があれば少し試してみたいところですが、あいにく予定していた電車の時間が迫っていたので、観賞後は自転車で一気に坂を降り、再びスタート地点の笠間駅へと舞い戻りました。ここから水戸までは友部を経由して再びJRを利用します。乗り継ぎも良く30分とかかりません。
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水戸に着いたのは14時前だったでしょうか。目的地の水戸芸と茨城県美はあいにく駅を挟んで全く正反対のところに位置していますが、まずは閉館時間の早い後者からということで、南口より桜川沿いをてくてく進み、雑多極まりない歓楽街を抜け、突如視界の広がる湖そばの美術館まで歩きました。湖畔に面する茨城県美は思いの外、重厚かつ立派な建物です。つい19日にリニューアルオープンしたばかりのどこか清潔感の漂う館内にて、事実上所蔵品の名品展である全館規模の企画展をじっくり拝見しました。この手の郷土の美術館では、先の陶芸美術館と同様、ご当地の作家の作品が充実しているのも嬉しいところです。水戸出身の大観らは言うまでもなく、その他近代日本洋画、または戦後の抽象などもじっくり楽しむことが出来ました。また別エントリでも触れたいと思いますが、田舎の『精霊』を描いたという牛久市出身の画家、小川芋銭の作品がおすすめです。
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この日は一人旅だったせいかもしれません。近美から水戸芸までは約2キロ以上ありますが、ここは湖の彼方に望んで見える例のタワーを目印に歩いて行ってみることにしました。所要時間は約30分強。湖をわたり、水戸の目抜き通りへ進み、さらにはその裏手の水戸芸に着いた頃には早くも16時半を廻っています。ここに来てようやく最終目的地、水戸芸に到着です。喧々諤々、賛否両論(?)の宮島展を恐る恐る拝見します。これまた感想は別に書きますが、一言で申せば、量の面で物足りなさは残るものの、宮島の新境地を見る展覧会であったのは事実だと思います。(ちなみに併設の展示の納豆カップは是非商品化していただきたいものです。)
帰りは特急でと思いましたが、何やら大変に混雑しているようなので、普通車+グリーンでのんびりと戻りました。ガラガラのグリーン車二階は本当に静かです。約1時間半強で最寄り駅までらくらく帰ってくることが出来ました。
日動の佐伯展、陶芸美術館の常設、また茨城県美の企画、水戸芸の宮島展についてはまた別の記事で感想を書きたいと思います。
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